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チェリビダッケの小箱

音の出るパンケーキ

Mussorgsky(Ravel)&Tchaikovsky

2008-03-04 21:24:14 | METEOR
・Mussorgsky(Ravel):Pictures at an Exhibition
Stuttgart RO/1976.06
・Tchaikovsky:Romeo and Juliet, Fantasy Ouverture
Stuttgart RO/1980's?


レーベル:METEOR(MCD 026)

演奏評価
・Mussorgsky(Ravel)
☆☆☆☆☆☆
・Tchaikovsky
☆☆☆☆☆☆

録音評価
☆☆☆☆☆☆☆


シュットゥトガルトとの展覧会とロメジュリ。

展覧会はミュンヘン時代のスタイルとは一線を画した演奏。
ロンドン響よりもミュンヘンのスタイルから遠いですね。

良演だと思いますが、テンポの速い細かい曲の精度が木管・弦楽器共にいまいちです。
重厚さという点ではミュンヘンには勿論及ばないのは分かりきっているので、切れのよさやエネルギーの凝縮力、音の輝かしさという点をシュトットガルトには期待しているのですが、ちょっと残念です。
しかし、トランペットは出色の出来ですね。
EMI盤以外のミュンヘンとの演奏や、ロンドン響との演奏はトランペットがいまいちだったりするのに対し、このMETEOR盤はなかなかのものです。


ロメジュリは序奏は遅めの設定ですが、ミュンヘンとの同曲と違いアレグロから普通に速くなります。
ベルリンやトリノとの演奏と比べても速く感じますね。
ただ、アレグロになった瞬間にややテンポが不安定でオケが乗り切れていない気がしますね。
管打の変拍子気味の箇所の後でピッコロの音程が飛んでるのも気になります(全体的にピッコロの音程悪い)。
ロメオとジュリエットのテーマの前はテンポがかなり落ちます。
アングレのフレージングはちょっと面白いですね。

ただ、全体的にミュンヘンのように巨大で不気味なほど濃密な演奏ではなく、チェリの叫び声が頻繁に聞こえる熱演ではありますが、演奏の精度・キレがいまいちなのが残念です。


録音は両曲ともMETEORらしく美しく空間的な響きがしますが、やはりこれもMETEORらしくやや高音域に偏重していて響きが薄く聴こえます。
この辺は好みの問題でしょう。

Mozart:Sym No.40&Beethoven:Sym No.4

2008-02-05 21:36:47 | METEOR
・Mozart:Symphony No.40 in G minor, K 550
Stuttgart/1982
・Beethoven:Symphony No.4 in Bb major, op.60
Munich Phil/????

レーベル:METEOR(MCD 052)

演奏評価
・Mozart
☆☆☆☆☆☆☆☆
・Beethoven
☆☆☆☆☆☆☆☆


録音評価
・Mozart
☆☆☆☆☆☆☆☆
・Beethoven
☆☆☆☆☆☆☆


シュトゥットゥガルトとのモーツァルトと、ミュンヘンとのベートーヴェンという組み合わせの一枚。

モーツァルトの40番は非常に端正な演奏。
テンポも両端楽章はむしろ速めの設定で、旋律を愛でるのではなく、美しくも「疾走」する演奏です。
2楽章も透徹した美演。
ミュンヘンとの同曲よりもこの楽章に関しては遅めのテンポ設定なのも面白いですね。

シュトゥットゥガルトとのモーツァルトは35番41番もありますが、どれも一聴の価値があります。

EXCLUSIVEやGNPからも1982年のシュトゥットゥガルトとの同曲が出ていますが、咳の入り方などから考えるにおそらく同一演奏です。

音質に関しては、EXCLUSIVEが2ランクくらい下で、GNPとMETEORはどちらかというと後者の方が上といった感じです。



ベートーベンの4番はCeLISTでは演奏年月日が不明になっていますが、聴いたところEMI(CDC 5 56838 2)と同一演奏の模様。
すると、1987.04.12or13ということになるかと思います。

録音に関しては、このMETEOR盤は録音のレヴェルがやや低く、同一ディスクの40番よりボリュームを上げて聴く必要があります。
その点で録音の評価を下げましたが、音質自体は非常に素晴らしいものです。

EMI盤との比較は他と同様で、各楽器の音が明瞭に鮮やかに聴こえるEMIと、響きの美しさと空間性を堪能できるMETEORということになります。
EMIはともすれば各楽器の音が分離して一つの響きとして聴こえないのに対し、METEORは音の輪郭がぼやけると感じる人がいるかもしれません。
ブルックナーに関してはEMIはお薦めしませんが、ベートーヴェンに関しては好みの問題といえるでしょう。
私自身はMETEORの方が好きですが。


演奏は素晴らしいもので、まず長大な序奏から度肝を抜かれます。
特にAdagioからAllegro vivaceへの移行に現れる一つ目の上昇音型の後のゲネラルパウゼの長さには一瞬何が起こったのかと吃驚させられます。
序奏冒頭の木管楽器の音色の美しさ、音程も素晴らしさも特筆に価するでしょう。

Allegro vivaceになっても響きの豊かさは失われず、それでいて実に鮮やか。
これはミュンヘン時代の演奏全てに言えることですが、一音一音に至るまで丁寧に色付けされていて表情豊かです。

二楽章の透明な響きの美しさもチェリならでは。
3楽章と4楽章も空間いっぱいに広がるシンフォニックな響きに驚かされます。
かと思えば遅いテンポながらどこかユーモラス。

チェリビダッケ、ミュンヘンのベートーヴェンは最初はとっつきにくいかも知れませんが、一度はまってしまうと病み付きになりますね。

Shostakovich:Sym No.9&R.Strauss :Don Juan

2008-02-03 11:03:51 | METEOR
・Shostakovich:Symphony No.9 in Eb major, op.70
Munich Phil/1990.02.09
・Strauss, R:Don Juan, op.20
Munich Phil/1989.10.08

レーベル:METEOR(MCD 047)

演奏評価
・Shostakovich
☆☆☆☆☆☆☆
・Strauss, R
☆☆☆☆☆☆☆

録音評価
☆☆☆☆☆☆☆☆


ショスタコはEMIと同一演奏です。
録音の質も大差ありません。
敢えて言えば、響きならMETEOR、音のクリアさならEMIといったところです。
演奏評価はEMI盤を参照してください。


リヒャルトのドンファンは、シュトゥットゥガルトより遅いテンポですが、それほど極端なものではありません。

抒情部の美しさはさすがです。
長い息で歌い上げるオーボエソロも出色の出来といえます。

しかし、ミュンヘンとの死と変容のように濃密で巨大な演奏というわけではありません。
SARDANA 盤よりはメリハリが効いて色彩感もありますが、録音の問題なのか演奏スタイルなのか、響きがそれほど厚くないためやや拍子抜けしてしまう感があります。



Beethoven:Symphony No.7&Overture to Leonore No.3

2008-01-25 21:51:03 | METEOR
Beethoven:Symphony No.7 in A major, op.92 :
Munich Phil/1989.01?
Beethoven:Overture to Leonore No.3 in C major, op.72
Munich Phil/1980's

レーベル:METEOR(MCD 042)


演奏評価
・Symphony No.7
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
・Overture to Leonore No.3
☆☆☆☆☆☆☆☆

録音評価
・Symphony No.7
☆☆☆☆☆☆☆
・Overture to Leonore No.3
☆☆☆☆☆☆☆☆


ミュンヘンとのべト7とレオ3です。

まずべト7ですが、これはチェリビダッケを聴き慣れている私でも遅いと感じることのある演奏で、初めて聴く人は度肝を抜かれることでしょう。

慣習的な演奏スタイルは全て忘却して、初めてこの曲を接するつもりで聴くしかありません。
「舞踏の神化」とか「リズムの神化」といったことはとりあえず忘れてもらった方がいいでしょう。


一楽章の序奏から長大なスケールですが、問題はフルートから始まる付点の「騎馬民族のリズム」で、リズミカルに弾むとかそんな演奏ではなく、全音テヌート気味に奏されます。
テンポも相当な遅さで、一瞬8分の6拍子ではなく4分の4拍子かと思うくらいです。

約16分かかる一楽章のあとでは、残りの楽章は相対的に普通に聴こえます。

しかしさすがはチェリビダッケ、ニ楽章の美しさはさすがです。
フルート、オーボエ、クラリネット等、各管楽器にもチェリビダッケの美学が浸透していていいですね。

三楽章は意外に軽快なPresto部と、Assai meno prestoの部分(調性がニ長調になり楽想が変わる箇所)の大袈裟なまでのコントラスト、というよりは後者の音楽の巨大さに驚かされます。

四楽章も非常に濃厚。
決して推進力がないわけではなく、非常にエネルギッシュな演奏で、徐々に徐々に高揚感していきます。
もちろん執拗なまでのリズムも物凄いですが、リズムが注目されがちなこの曲をこんなに巨大な響きの構築物にしてしまうところがチェリビッダッケらしいですね。

ちなみにこの演奏はCeLISTでは日付不明になっていますが、EMIと同一演奏ですね。
録音の質に関しては、例によってMETEOR盤の方が響きは豊かなのですが、ややこもりがちで、EMI盤の方が鮮やかでクリアな音を楽しめます。
EMI盤もこの曲に関しては響きも美しいので、どちらがいいと思うかは好みの問題でしょう。


レオ3も凄い演奏で、この曲がこんなにも豊かに美しく響くものなのかと驚かされます。
テンポ設定はべト7を聴いた後では実にスピーディーに聴こえます。
実際、それほど遅い演奏ではなく初めて聴く人でも違和感はないでしょう。

注目は最後のプレストの開始時で、多分ヴァイオリン・ソロで弾かせてます。
チェリビダッケ独特なのか、よくやることなのかは知りませんが、一瞬びっくりしました。




Ravel:Le Tombeau de Couperin etc

2008-01-22 20:20:41 | METEOR
・Ravel:Le Tombeau de Couperin
Munich Phil/1989.01?
・Ravel:Rapsodie espagnole
Munich Phil/1980.10
・Ravel:Bolero
Munich Phil/1983.07

・レーベル:METEOR(MCD 027)

演奏評価
・Le Tombeau de Couperin
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
・Rapsodie espagnole
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
・Bolero
☆☆☆☆☆☆☆

録音評価
☆☆☆☆☆☆☆☆☆


ミュンヘンとのラヴェル管弦楽集です。

まず、クープラン。

シュトゥットゥガルト時代よりさらに遅く、そして美しくなっています。

晩年のチェリビダッケを聴くと、そのテンポ設定に面食らうかも知れませんが、慣習的なテンポ設定を一度忘れて聴いてみると、その世界に引き込まれていきます。

このクープランもその夢見心地なまでに透明感な美しさとともに、各楽器の音符の一つ一つに至るまで実に多彩で豊かな色付けがされています。

特にリゴードンの表情の豊かさは特筆に価します。

くるみ割り等を聴いていても思うのですが、管楽器ソロの後ろで鳴っている弦のピッチカートのニュアンスの豊かさには驚かされますね。



スペイン狂詩曲も秀演で、情感たっぷりの演奏。

夜への前奏曲でヴァイオリンが上昇音型で入ってくる箇所など、鳥肌ものです。
クラリネットのカデンツァの入りで入る音はチェリが足を踏み鳴らした音ですかね?

ミュンヘン初期の演奏らしく推進力や爆発力は健在で、祭りの最後などはチェリも雄たけび連発する怒涛の演奏になっています。


ボレロも凄絶な演奏。
しかし、ずっとクレッシェンドしてきて最後の最後で録音がややデッドなのが気になります。
あと、トロンボーンがソロでやらかしてるのも玉に瑕といったところですね。


Wagner:Tristan und Isolde&Debussy:La Mer

2008-01-22 19:14:07 | METEOR
・Wagner:Tristan und Isolde; Prelude und Liebestod
Munich Phil/1983.12.06
・Debussy:La Mer
Munich Phil/1991.09.27

レーベル:METEOR(MCD 033)

演奏評価
・Wagner
☆☆☆☆☆☆☆☆
・Debussy
☆☆☆☆☆☆☆☆☆

録音評価
・Wagner
☆☆☆☆☆☆☆
・Debussy
☆☆☆☆☆☆☆☆


METEORから出ている、ミュンヘンとのトリスタンと海。

トリスタンは慣習的な演奏からは隔絶された、チェリ独自の美的世界が展開されています。

前奏曲から、濃密にして巨大かつ透明な弦楽器の響きには圧倒されます。
「愛の死」も美しく、音楽がまさにそれ自身の力学によって生成していきます。

それだけに、クライマックス前のクレッシェンドでテンポが急激に上がる点が、やや構成美を損ねるように感じます。
また、クライマックス部でやや響きが薄く、高弦の刻みがチリチリするのも気になります。

この点は、EMIの同一演奏の方が僅かながら響きに厚みがあっていいですね。
METEOR盤の方が柔らかで美しい響きではあるのですが。

とまぁミソは付けましたが、チェリのワーグナーの中では断然お薦めの演奏です。


ドビュッシーの海は超名演。
磨きに磨き抜かれたミュンヘンフィルの音色が冴え渡ります。

フランスのオケのような艶やかさとはまた違った美しさ。
音の美しさだけでなく各楽器の演奏精度がものすごく高く、完璧なアンサンブルを聴かせてくれます。
マエストロの気合いも十分。
そして何といってもティンパニーが素晴らしい。
おそらくザードロでしょうが、要所要所で圧倒的な存在感を示しています。

Brahms:Symphony No.2 in D major, op.73

2008-01-17 11:21:31 | METEOR
・Brahms:Symphony No.2 in D major, op.73
Munich Phil/1986

レーベル:METEOR(MCD 019)


演奏評価:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

録音評価:☆☆☆☆☆☆☆☆



ミュンヘンフィルとのブラ2。

多少ホワイトノイズがありますが、METEORらしく美しく空間的な響きがする録音です。

サントリーのブル5の記事で書きましたが、私は80年代後半のチェリの演奏が特に好きです。
壮年期の重厚かつエネルギッシュで推進力のある音楽と、最晩年の静謐かつ諦観的で長大な音楽が上手い具合に同居している。

このブラ2もそんな演奏の一つだと思います。

一楽章は恣意的なテンポの揺らしやタメなどはなく、ただひたすら自然に溢れ出てくる深く、雄大な音楽。
ニ楽章もその響きの深さと広がり、紡ぎ出される音楽の巨大さと美しさには驚嘆します。
三楽章は遅いながらも色彩溢れる演奏で、弦のピッチカートにまで実に極め細やかな表情を見せてくれます。
そして四楽章も端正かつ重厚でやや遅いテンポながら、非常にエネルギッシュな演奏。


チェリビダッケ/ミュンヘンによるブラームスのシンフォニーの中では一押しのディスクですね。

Bruckner:Sym No.7&R.Strauss:Tod und Verklaerung

2008-01-11 23:04:46 | METEOR
・Bruckner:Symphony No.7 in E major
Munich Phil/1985
・R.Strauss:Tod und Verklaerung, op.24
Stuttgart RO/1982.11

レーベル:METEOR(MCD 039/040)


演奏評価:
・Bruckner
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
・R.Strauss
☆☆☆☆☆☆☆☆

録音評価:
・Bruckner
☆☆☆☆☆☆☆☆
・R.Strauss
☆☆☆☆☆☆☆


ブルックナーは神がかった完璧な演奏。

最晩年のEMI盤は幽玄の世界ですが、このMETEOR盤はそれに加えて音に推進力と多彩な色が感じられます。

ブル5の来日サントリー(Altus盤)の記事でも書きましたが、私は80年代後半のチェリビダッケの演奏を高く評価しています。

最晩年の諦観的・神秘的で静謐さと透明感を湛えた響きと、壮年期の重厚で推進力・爆発力と色彩感あふれる音色をもったチェリが、うまい具合に同居している時期なんではないかと思います。

一楽章の冒頭から神がかった演奏で、ものすごく巨大で濃密な音楽なのに、強奏部でも決して音が濁ることはありません。

二楽章は絶美。
もはやこの世のものとは思えない音楽が展開されています。


AUDIOR盤(AUD 7009/7010)もいい演奏ですが、音質という点でMETEOR盤に及びません。
やはりブル7はMETEORの透明で空間的な響きで聴きたいと個人的には思います。


1992年のベルリンフィルとのブル7は長大でものすごい演奏ですが、チェリの音楽の完成度という点ではやはりミュンヘンとの演奏に見劣りがします。

クライマックスでの音量や音圧はさすがベルリンフィルと思わせるものがありますが、
楽器間のバランスが崩れ音色も統一されていない感があり、音が濁ってしまっています。

そんなわけで、まだ未聴盤も多々ありますが、このMETEOR盤が私の一押。



リヒャルトは82年ですので、Stuttgart ROとのコンビの集大成的な演奏です。
CeLISTでは日付が不明になっていますが、聴いたところグラムフォン盤と同一演奏のようです。

演奏も秀逸です。

演奏スタイルは、私が所有しているStuttgartのGALILEO盤(GL 7)とミュンヘンのALTUS盤(ALT 141/142)の中間くらいで、
冒頭(ティンパニ一閃の前まで)などはどちらかというとミュンヘン時代のスタイルに近いように感じます。

Beethoven: Symphony No.3 "Eroica"

2008-01-09 23:41:19 | METEOR
・Beethoven:Symphony No.3 in Eb major, op.55, "Eroica"
Munich Phil/1987/METEOR(MCD 041)

演奏時間/1楽章16:35 2楽章19:16 3楽章6:57 4楽章16:15

演奏評価:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

録音評価:☆☆☆☆☆☆☆☆


父がクラシック好きだったので、小さい頃から聴くともなしにクラシックを耳にしていましたが、自分から進んで聴くことはありませんでした。

そんな私が大学でオーケストラに入って、これからはクラシックをちゃんと聴こうと思い、近所のディスクユニオンで初めて自分で買ったのがこのCD。

チェリとのファーストコンタクトです。

当時チェリビダッケなんて知らなかったのに、紫色のディスクに吸い寄せられるように・・・・・・

そんな自分にとって運命的な1枚。



チェリビダッケ/ミュンヘンのベートーヴェンは、7番のように極端にテンポが遅くてとっつきにくいものもありますが、この演奏はそれほど極端ではありません。

また、ベートーヴェンの交響曲の中でもスケールの大きい作品なので、チェリビダッケとの相性が良いのではないでしょうか。


一楽章は一つ一つの和音が豊かな響きを持っていて、切れ味の鋭い演奏とは一線を画しますが実に表情豊かです。
そして、何と言っても二楽章で生成する濃密かつ巨大で荘厳な音楽は圧倒的。

四楽章後半のバリエーションでもチェリ/ミュンヘン特有の透明で空間的な響きが存分に楽しめます。

それでいてこの時期のチェリはクライマックスでは熱くなり、迫力にも事欠きません。

ところでこのディスク、どうやらEMIから出ているものと同じ演奏のようです。

Web上のチェリビダッケ演奏記録&ディスコグラフィーである「CeLIST」では同一演奏に分類されていませんが(METEOR盤の日付が不明になっている)、
一楽章冒頭のホルンのはずし方や、拍手・咳の入り方が一緒なので間違いないでしょう。


EMI盤は世評が低いですが、私はそれなりに評価しています。

EMIのチェリビダッケ全般に言えることだと思いますが、METEORと較べた場合、各楽器の音像がクリアな録音になっています。
しかし、その結果、時に各楽器の響きが分離して聴こえ、一つの響きに聴こえなかったり、響きが浅くて硬いと感じることもあります。
METEORは響きが柔らかく、響きが一体化た透明で空間的な音がします。
逆に、ともすれば音の輪郭が不明瞭でぼやけていると感じる人もいるかもしれません。

METEOR盤がホールの反響を経た音を捉えているとすれば、EMIはより直接音が多いとも言えるかもしれません。

こうした理由から、ブルックナーを聴く場合は私はあまりEMI盤をお薦めしませんが、ベートーヴェンの場合は好みによるでしょう

私はこの演奏に関してはMETEOR盤の方が好みですね。