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チェリビダッケの小箱

音の出るパンケーキ

Bartok:Concerto for Orchestra etc

2008-02-15 10:20:04 | AUDIOR
・Bartok:Concerto for Orchestra, Sz 116
London SO/1970's
・Debussy:Prelude a l'apres-midi d'un faune
Stuttgart RO/1975

レーベル:AUDIOR(AUD 7004)

演奏評価
・Bartok
☆☆☆☆☆☆
・Debussy
☆☆☆☆☆☆☆

録音評価
・Bartok
☆☆☆☆☆☆
・Debussy
☆☆☆☆☆☆☆



バルトークはCeLISTではロンドン響となっていますが、CDの表記はシュトゥットガルトになっています。
演奏を聴いてみてもいまいちよくわかりません。

それはさておき、演奏自体はどうかというと、ミュンヘンとの演奏のように巨大で濃密というわけでもなく、かといってエネルギッシュなヴィルティオーゾ的な演奏というわけでもなく、中途半端な気がします。
客席の咳がうるさいせいもありますが、序奏からやや緊張感に欠けますし、金管楽器も全体を通して響きに輝きが足りません。
録音自体もやや彫が浅く、平坦というか味付けが薄くメリハリがなく聴こえますね。


ドビュッシーの牧神はさすがにいい演奏です。
ミュンヘンとの演奏のように冒頭から深淵へ引きずり込まれるような演奏ではありませんが、透徹した美しさと色彩感覚はさすがといえるでしょう。

フルートも善戦していますが、個人的にシュトゥットガルトのフルート(及び木管)はあまり好きでないんですよね。



Dvorak:Symphony No.9 etc

2008-01-31 00:39:32 | AUDIOR
・Dvorak:Symphony No.9 in E minor, op.95, "From the New World"
Stuttgart RO/1978.10.17
・Cherubini:Anacreon Overture
Stuttgart RO/1974
・Brahms:Academic Festival Overture, op.80
Stuttgart RO/1980.02.23

レーベル:AUDIOR(AUDSE 510)


演奏評価
・Dvorak
☆☆☆☆☆☆☆☆
・Cherubini
☆☆☆☆☆☆☆
・Brahms
☆☆☆☆☆☆☆

録音評価
☆☆☆☆☆☆☆☆




シュトゥットゥガルトとの新世界。

チェリの叫び声が凄いことで有名な盤です。
それほど明瞭に聴こえるわけではありませんが、一楽章のクライマックスや四楽章の最後は叫びまくってるのがわかります。

一楽章でフォルテになる所で足を踏み鳴らしていたりもします。

それだけに、かなりエネルギッシュな演奏。
といっても、派手というわけではなく、贅肉を削ぎ落され、非常に密度の高いエネルギーの凝縮した音を聴かせてくれます。

曲想の変わり目でテンポをあまり動かさないのもいつものスタイルで、やはり慣習的な演奏スタイルとは一線を画しています。

シュトゥットゥガルト時代の名演の一つといえるでしょう。

ちなみに、METEOR盤と同一演奏です。
録音に大差はありませんが、敢えて言えばこのAUDIOR盤の方が引き締まった、密度の高い音になってます。
響きの美しさと空間性ではMETEOR盤に軍配が上がるかも知れませんが、この辺は好みの問題でしょう。

ケルビーニはうってかわって爽やかな演奏。
モーツァルトとかもそうですが、シュトゥットゥガルト時代のこういう曲は妙に軽やかに奏されるのが面白いですね。

ブラームスは新世界を聴いた後だと物足りないと感じるかも知れませんが、よく整頓された端正な演奏です。

Mozart:P-Con No.9&Beethoven:P-Con No.4

2008-01-16 23:58:07 | AUDIOR
・Mozart:Piano Concerto No.9 in Eb major, K 271
Munich Phil/Perahia/1996.01.16
・Beethoven:Piano Concerto No.4 in G major, op.58
Munich Phil/Perahia/1980's

レーベル:AUDIOR(AUDSE 507)


演奏評価
・Mozart
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
・Beethoven
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

録音評価
☆☆☆☆☆☆☆☆☆



ペライアによるピアノ・コンチェルト。

両曲とも絶美。

ミケランジェリとのコンチェルトは、稀代の唯美主義者同士、お互いが「美」をぶつけ合い、ある意味火花が散るような演奏になりますが、このペライアとの演奏はオケとピアノが有機的に溶け合い一体になって聞こえます。


モーツァルトはミュンヘンの透明度が高く澄んだ音色とペライアの流麗で優雅なピアノが結晶した美しさが堪能できます。


ベートーヴェンも名演。
チェリ/ミュンヘンの独特の豊かで柔らかい響き、そしてペライアの透徹した美音。
多少ミスタッチが散見されますが、全曲を通じて緊張感のある見事なピアノを聞かせてくれます。


録音の質も上々で、文句なしにお奨めの一枚です。


Mozart:Don Giovanni、Sym No.35&No.39

2008-01-13 17:48:26 | AUDIOR
・Mozart:Don Giovanni Overture, K 527
Munich Phil/1989.11
・Mozart:Symphony No.35 in D major, K 385, "Haffner"
Munich Phil/1991.06.22
・Mozart:Symphony No.39 in Eb major, K 543
Munich Phil/1991

レーベル:AUDIOR(AUD 7006)


演奏評価:
・Don Giovanni Overture
☆☆☆☆☆☆☆☆
・Symphony No.35
☆☆☆☆☆☆☆
・Symphony No.39
☆☆☆☆☆☆☆☆

録音評価:☆☆☆☆☆☆


チェリビダッケ/ミュンヘンのモーツァルト集。

シュトゥットゥガルト時代までのチェリもモーツァルトはテンポ設定が妙に速く、
異常にエネルギッシュで推進力のある演奏が多いのですが、ミュンヘン時代においてもやや遅くはなるものの他の作曲家の作品に比べて極端なテンポがとられておらず、色彩豊かでドラマティックなモーツァルトになっています。


ドン・ジョヴァンニはまず序奏が聴きもの。
冒頭の美しくも地獄の底から湧き上がってくるかのような不気味な音楽が響き渡ります。

EMIでもドン・ジョバンニが出ていますが、40番もそうでしたがEMI盤のモーツァルトは音が硬い印象を受けて好きになれません。

演奏の自体の優劣はありませんが、録音の点でこのAUDIOR盤の方が私は好みです。
逆にAUDIORは低音が鳴りすぎて響きが重たいと感じることもありますが・・・


ハフナーはシュトゥットゥガルト時代の妙に速いテンポから比べれば落ち着いていますが、普通のテンポ設定だと思います。

冒頭の動機でややアンサンブルの乱れを感じるのと、クラリネットのリードミスと思われる音が他の音をかき消すくらいの大きさで入っています笑。
そして「おいおい」といった感じの観客の咳払いが一閃笑

このように冒頭から若干を興をそがれるものの、全体的に見れば非常に格調高い演奏です。



39番も名演。
冒頭の和音の響きが録音に入りきっていないのが残念ですが、一楽章は堂々とした演奏ですし、二楽章も非常に優美です。
そして遊び心に溢れてユーモラスな三、四楽章も見事です。
曲のせいかもしれませんが、ハイドン的な香りがする演奏ですね。

Bruckner:Sym No.7&Pictures at an Exhibition

2008-01-12 00:27:06 | AUDIOR
・Bruckner:Symphony No.7 in E major
Munich Phil/1989.09.22
・Mussorgsky(Ravel):Pictures at an Exhibition
Munich Phil/1986.09.23

レーベル:AUDIOR(AUD 7009/7010)


演奏評価:
・Bruckner
☆☆☆☆☆☆☆
・Mussorgsky
☆☆☆☆☆☆☆☆☆

録音評価:
・Bruckner
☆☆☆☆☆☆
・Mussorgsky
☆☆☆☆☆☆☆☆


ブルックナーはMETEOR盤よりもややゆったりした演奏。

秀演であることは間違いないが、録音がややデッドなこともあってMETEOR盤やベルリン復活公演と比べるとややインパクトに欠けると言えるでしょう。



チェリの十八番の「展覧会の絵」は、有名なベルリン・ライブです。

「キエフの大門」は超弩級の迫力。
これは物凄いです。

チェリ・ミュンヘンの「展覧会の絵」は多数ありますが、その生々しさ、音象の巨大さにおいてこのベルリン・ライブの右に出る演奏はないでしょう。


しかし、EMI盤は演奏の瑕疵がないパーフェクトな演奏で、個々の楽器の音が鮮明に聴き取れる録音になっています。

ベルリン・ライブでは「テュイルリーの庭」でフルートがいっぱいいっぱいだったりしますし、「サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ」のトランペットもEMI盤は完璧ですがベルリン・ライブではやや傷があります(これはAltus盤も同様です)。

また、「キエフの大門」での鐘と銅鑼はEMI盤は妙に大音量で入っているのですが、ベルリン・ライブではあまり聞こえません。


とまぁ盤によって良し悪しはありますが、総合的な感銘度という点ではこのベルリン・ライブがNo.1であることに変わりはありません。

Bruckner:Symphony No.5 in Bb major

2008-01-11 20:43:21 | AUDIOR
・Bruckner:Symphony No.5 in Bb major
Munich Phil/1986.09.24

レーベル:AUDIOR(AUD 7007/7008)

演奏評価:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

録音評価:☆☆☆☆☆☆☆



Altusから出ている来日サントリー公演の直前の演奏です。

来日公演も凄かったですが、それに勝るとも劣らない超名演。

録音の質ではAltus盤にかないませんが、演奏の完成度ではこちらに軍配が上がります。


Altus盤は響きが分厚く、究極の「オルガン・サウンド」が堪能できますが、推進力と爆発力、緊張感や高揚感といった点ではこのAUDIOR盤の方が勝っているように感じます。

特に三楽章の爆発力と四楽章の高揚感は凄まじいものがあります。

そして何よりオーボエの調子がいい笑
(来日公演の唯一の欠点はオーボエの調子が終始悪いこと。二楽章冒頭とか)


でもやっぱり二楽章はAltus盤で聴きたいというのが本音です。



Bruckner:Symphony No.8(リスボンライブ)

2008-01-11 00:55:31 | AUDIOR
・Bruckner:Symphony No.8 in C minor
Munich Phil/1994.04.23

レーベル:AUDIOR (AUD 7001/7002)

演奏評価:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

録音評価:☆☆☆☆☆☆☆☆


いわゆるリスボン・ライブです。

海賊盤であるにもかかわらず、究極のブル8として世評の高い一枚。

各所で語りつくされている感があるので、私がいまさら付け足すこともあまりないのですが、若干の感想をば。


チェリビダッケ/ミュンヘンの他のブル8と比較してどうかという話になるのですが、
リスボン・ライブの凄さは特に4楽章にあると思っています。

これは圧倒的な演奏で、他の演奏とは一線を画するというか、異次元と言っていいでしょう。


しかし、3楽章の好みを言わせてもらえば、私はEMI盤やMETEOR盤の方が好きです。

これは各レーベルの録音の質に係わる問題です。

一般的に言えることだと思いますが、AUDIORの特徴はMETEORやEMIに比べて低音域をしっかりと捉え、重厚で音圧の強い録音である点にあると思います。

一方でMETEORは重厚な響きではないですが、高音域を美しく捉えていて、透明で立体感のある響きがします。

1、2、4楽章はMRTEOR盤を聴くと、ともすれば薄っぺらい印象を受けるのですが、逆にリスボン・ライブの3楽章は音がきついく感じます。

なので3楽章に関しては私はより静謐さと透明な響きをたたえたMETEOR演奏の方が好みなのです。


とまぁ若干ミソを付けるようなことを書きましたが、チェリファンならずとも一度は聴くべき至高の一枚(二枚組みですが笑)であることは確かです。

Tchaikovsky:The Nutcracker etc

2008-01-10 23:30:15 | AUDIOR
・Strauss, JII : Fledermaus; Overture
 Munich Phil. / 1991.02
・Mozart, WA : 6 Laendler, K 606
Munich Phil. / 1991.02
・Schubert, F : Rosamunde, D 797; Zwischenaktmusik Nr.3
Munich Phil. / 1991.02
・Schubert, F : 6 Deutsche Taenze, D 820
Munich Phil. / 1991.02
・Tchaikovsky, PI : The Nutcracker, Ballet Suite, op.71a
Munich Phil. / 1991.02

レーベル:AUDIOR(AUDSE 505)

演奏評価:
・Strauss, JII
☆☆☆☆☆☆☆
・Mozart
☆☆☆☆☆☆☆
・Schubert, F : Rosamunde
☆☆☆☆☆☆☆☆
・Schubert, F : 6 Deutsche Taenze
☆☆☆☆☆☆
・Tchaikovsky
☆☆☆☆☆☆☆☆☆

録音評価:
☆☆☆☆☆☆☆☆


チェリビダッケ/ミュンヘンの小品集&くるみ割り人形。

チェリビダッケの小品(くるみ割りもある意味で小品集)の扱いの上手さが堪能できる一枚です。


シュトラウスの「こうもり」は多彩な表情を見せてくれます。

遅いテンポながらも実にユーモラスで楽しげな演奏。

チェリビダッケはあまりテンポを揺らしたりルバートをかけたりしないのですが、さすがにこの曲では色々遊んでます。

スネアの後打ちが後ろ髪を引かれるようなのは意図的なんですかね?

ちなみにCeLISTに演奏日は記されてませんが、EMIと同一演奏ですね。
このAUDIOR盤の方が響きはあるのですが、この演奏に関してはEMI盤の方が鮮やかに聞こえて私は好きです。



ロザムンでは慈しむかのような演奏。
聴きなれたこの曲を斬新に聴かせてくれます。


そしてくるみ割り人形のなんと表情豊かなこと!

序曲冒頭から一音一音ごとに実にきめ細やかで多彩なニュアンスが聴いて取れます。

弦楽器のピッチカートも色鮮やかで、曲ごとに多様な雰囲気を醸し出しています。

何て幻想的で妖艶なくるみ割り人形でしょう!


もちろんこんなテンポではダンサーは踊れないと思います。
でもそんなの関係ありません。

この遅いテンポだからここまで一音一音まで多彩な表情をもった演奏が可能なのでしょうから。


ところで、この演奏もEMIのものと同一です。
Celistには日付が書いてないのですが、咳の入り方とかが全く同じなので間違いないでしょう。
ですが、EMI盤と同時再生してみると、僅かにこっちの方が遅いんですよね。

何ででしょう?
不思議です。

Haydn:Symphony No.104&Mozart:Symphony No.41

2008-01-10 13:39:08 | AUDIOR
・Haydn:Symphony No.104 in D major, Hob I/104, "London"
Stuttgart RO/1980.11.25
・Mozart:Symphony No.41 in C major, K 551
Stuttgart RO/1979.11.08

レーベル:AUDIOR(AUD 7013)


演奏評価:
・Haydn
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
・Mozart 
☆☆☆☆☆☆☆☆

録音評価:
・Haydn 
☆☆☆☆☆☆☆
・Mozart 
☆☆☆☆☆☆



共にチェリ/Stuttgartの後期の演奏。

まずロンドンは大変な名演。

EMIから出ているチェリ/ミュンヘンの同曲に比べて軽量であり、
一楽章序奏の壮大さはミュンヘンに譲りますが、まるでギリシャの彫刻でも見ているかのように貴族的美に満ち溢れた鮮やかな演奏。

各楽章とも音の輪郭・つぶ立ちがはっきりとしていて、非常に明瞭かつ爽快です(特に四楽章)。


チェリビダッケのハイドンはあまり録音がないですが、
ミュンヘンでのトランペットコンチェルトオックスフォードは完成度の高さに驚かされます。



ジュピターも名演。
堂々としながら推進力のある一楽章、神秘的で深みのある二楽章。
そして妙にハイテンションな四楽章も一聴の価値があります。


しかし、一楽章の冒頭がちょっと貧相なのは録音のせいでしょうか。

またそんなに気になりませんが、四楽章で弦がたまに割れるような音がします(特にチェロバス)。



個人的にはStuttgartの木管があまり好きではないのですが、
モーツァルトやハイドンといった古典音楽や、ロシア・フランスの色物系は完成度の高い名演が散見されますね。

チェリビダッケといえば、晩年のブルックナーのイメージが強いですが、
ハイドンやモーツァルトの演奏ももっと評価されていいのではないかと思います。