チェリビダッケの小箱

音の出るパンケーキ

Tchaikovsky:Romeo and Juliet etc

2008-02-13 21:51:39 | EMI
・Tchaikovsky:Romeo and Juliet, Fantasy Ouverture
Munich Phil/1992.01
・Mussorgsky(Ravel):Pictures at an Exhibition
Munich Phil/1993.09

レーベル:EMI(CDC 5 56529 2)


演奏評価
・Tchaikovsky
☆☆☆☆☆☆☆☆
・Mussorgsky(Ravel)
☆☆☆☆☆☆☆☆

録音評価
・Tchaikovsky
☆☆☆☆☆☆☆☆
・Mussorgsky(Ravel)
☆☆☆☆☆☆☆


まずチャイコのロメジュリは物凄く濃い演奏。
ある意味通俗的で、ともすれば底の浅い音楽と思われるこの曲を、恐ろしいまでに濃密に、ドラマティックに、そしてシンフォニックに描き出してくれます。
慣習的な演奏スタイルは全て忘却し、初めてこの曲を聴くつもりで聴いてみれば、この演奏の凄さがわかるでしょう。

序奏が遅いのは勿論、アレグロに入ってもテンポが極端に早くなることはありません。
燃え盛るような激情的な演奏ではありませんが、一つ一つの音が分厚く巨大に聴こえます。
ロメオとジュリエットの恋を描く主題も「甘美」といった表現とは異なる気がしますが、濃厚でシンフォニックに聴かせてくれます。

美しい木管楽器のコラールを経た最後のブルックナー並に重厚で神々しい響き、そしてロールから一閃するティンパニーも聴きものです。

ある意味、この曲が嫌いな人は一度聴いてみると良いかもしれませんね。



「展覧会の絵」も名演です。
この曲はチェリの十八番であり、他にもいくつもディスクが出ています。

他でも書いていますが、EMIの録音の特徴は各楽器の音が鮮やかに聴こえる反面、個々の音が響きとして一体化しないところにあると思います。

なので、ブルックナーに関しては私はEMI盤をお薦めしません。

展覧会の絵に関しては、録音が優秀で響きの巨大さと透明さを堪能できるALTUS盤、緊張感と凄まじい熱気を味わえるベルリンライブに対して、個々の音像が鮮やかで演奏上の瑕疵がないEMI盤、ということになるかと思います。

ベルリン・ライブでは「テュイルリーの庭」でフルートがいっぱいいっぱいだったりしますし、「サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ」のトランペットもEMI盤は完璧ですがベルリン・ライブではやや傷があります。
これはAltus盤も同様です。



ちなみに、EMI盤は「キエフの大門」の最後の鐘と銅鑼が物凄い音で入っています。ALTUS盤やベルリンライブ、またはロンドン響との演奏ではあまり聴こえないので、これはEMI盤の音が異常なんだと思います。

バランスをいじくっているのかもしれませんが、一聴の価値はありますね。

最新の画像もっと見る