昨日、当方の日本語教室に参加している大学生のRさんが、アメーバ赤痢による脱水症状を引き起こし、入院しました。(今年になって初の入院対応です...)
実は、この病気、僕も以前罹った事がありまして、その体験談を投稿しておりますので、詳細は、宜しければ、そちらの記事にてご確認下さい。
前回の投稿では、あくまでも、僕の立場に基づいて御話させて頂きましたが、今回の件については、前回と、多少、内容がカブるかも知れませんが、あくまでも、彼ら奨学生(典型的な庶民層)の立場に切り口を変えてみようと思います。
…今年に入ってからの、当方奨学生への医療支援は、本来ならば、乾季に入っている筈が、雨季の如く、ほぼ毎日降水があって、日照時間が短く、低温多湿で不快な気候が続いた事から、風邪、インフルエンザによる発熱で、投薬費の援助を申請してきた学生たちが数名出たのみで、比較的大過なく、ここまで来たのですが、今回の件は、ひとつ間違えば命にも関わる事になりますので、少しばかり、慎重に事に当たりました。
…と、言うのは、この病気、別に腐った物を食べたとかじゃなくても、偶々、病原体(アメーバ原虫)を含んだ物(汚染された食品、水)を摂取する事によって発症する上、自然治癒は、ほぼあり得なくて、専用薬を飲んで、御腹の中に巣食うアメーバーを完全に退治しないとどうしようもないという、少々、厄介なモノだからです。
僕の経験上、これに罹ると確かに辛いですが、僕の場合には、‘入院には及ばず’という判断をしまして、実際に、仕事もペースは落としたものの、完全に休む事は無かったし、基本的には、専用薬を服用して、水分補給をしっかりする(この時は、スポーツ飲料をガブ飲み)だけで良かったのです。
…が、僕らが関わっている奨学生(里子)たちの生活環境を考えると、‘僕の場合のような対応’で何とかなるのかと言えば、多分、殆ど無理なんじゃないかなって感じなのです。
まず、今回の一件でもそうなのですが、Rさんは、この病気を発症してから、ほぼ1~2日以内に一旦は医師の診察を受け、投薬を開始していたのです。しかし、普段、僕ら日本人に比べて、ちゃんとした食べ物や水を摂取できていない事もあって、‘体力の消耗・病状の悪化’が余りにも急速なんですね。(やはり、栄養状態が悪いから、基礎体力が低いと言う事なのだと思います。-つまりは体の中の、本当の意味での栄養の‘蓄え’が殆どない状態なんだろうと言う事です)それで、昨日、彼女を見舞った時には、脱水症状が既に顔にも表れていて、眼がちょっと落ち窪んだ感じでした。つまりは、胃腸の機能が低下して、水分・栄養の吸収がままならなくなっていたと言う事なのでしょう...
これは、デング熱などの場合も同じなのですが、結局のところ、こうした熱帯地方での、感染症において、何が怖いかと言えば、口からの飲食物の摂取が出来なくなって、脱水症状が進み、極度に体が弱る事なんですね。(...場合によっては、それが死に直結します)
また、経済状態の悪さから、普段から、(特に都市部においては)安全な水や衛生的な食物にアクセス出来ていないので、体力が充実している場合にはOKなモノであっても、極度に体力が落ちて免疫力が低下した状態においては、他の問題すら引き起こす可能性もあるのですね...
こうなってしまうと、マッタナシの対応として、入院+点滴と言う事が解決策になりますが、これとて、例えば、貧困層が通常使用する公立病院の施設は、正に‘野戦病院’に近い状態の中、例え、点滴とか投薬とかの治療を受けられたとして、場合によっては、自宅よりも衛生環境が悪くて、特に免疫力が低下した際には、他の患者から他の病気を貰う事もあるのです。(...実際に、以前、‘再生不良性貧血’という難病に罹った里子の妹をケアした時、この病気の特性として、極度に免疫力が落ちているのに、家族の方では、その経済力で、まず、対応できる公立病院に入れた為、対象の子が、肺炎を併発させてしまって、慌てて、当時3歳の彼女を近くの施設の整った私立病院の隔離病棟に抱っこして運んだ…そんな経験すらあります)
そんな事情から、Rさんについては、今回、私立病院の相部屋を選んだのですが、お父さん、お母さんには、日銭が上がってくるタイプの低収入な仕事しかないので、保険の加入もしておらず、入院時に病院から支払いを求められた‘保証金’は、日本円で約15,000円(この家族の約2ヶ月分の収入に相当)でした。これも、当方の医療支援で賄いますので、何とか対応できる訳ですが...
...最近、こんな風で、医療費の上昇も見られ、貧困層においては、その衛生環境、食事内容から言っても、より一層、深刻な病気に罹る可能性が高い中、一旦、罹病した時には、正に、運を天に任せるしかなくなってしまう... そんな背景もあって、ここでは、どうしても宗教の影響が中世宜しく、非常に強いですし、通常の医者にかかる事を考えたら、格安になる(1回100円以内)怪しげな祈祷師(?)のお世話になる事も未だに‘普通の事’なのですね。
とにかく、改めて思うことには、教育支援も然る事ながら、人にとって最低限のベースとなる食と水に関する取り組みを何とか出来ないか...そんな事です。難しい事は承知なのですが、病気に罹る可能性が高い環境にある事は、とうに分かっていて、結果として病気になった場合の手当てをすると言う事は、根本の問題解決ではないのですから...
まあ、でも、逆に言えば、こうした状態から抜け出せるよう、教育支援をし、手に職を就けて頂き、将来の経済力の強化が出来れば…と言うところもあって、何処まで行っても、‘ニワトリとタマゴの論理’(?)になってしまいますね...
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