これは、先週の出来事ですが、Bad Communication の典型のような事が起こりました。
…まあ、そんなに重大な事ではありませんが、ウチの大学生ボランティアR君(比人大学生)に、日本語教室用のホワイトボードマーカーのフェルト芯が磨り減って使い辛くなったので、新しいのを買って来て欲しいと頼んだ時の事です。
…こんな具合に、ここでは、ボールペンでも何でも使い捨てではなくて、替芯(マーカーの場合は、補充インク)が、ほぼ必ず、存在して、‘本体’がダメになるまで使い切るという方式が主流になっています。
それと言うのは、ここフィリピンの(と言うか、途上国の)こうした工業製品の価格が、日本のそれと同等か、高い位になっていて、こちらの経済力を考えた場合に‘ポイ捨て’出来る様な代物ではないというのが大きな理由でしょう。何れにしましても、‘モノを大事に使う’事は、これからの社会の事を考えた場合、単純な経済原理だけの事ではなく、非常に大切になるのは間違いありません。
…ちょっと話が逸れましたが、今回の御話は、約2年間に渡って使い込んだマーカー(日本製)代替品を買って来て欲しいとR君にお使いを頼んで、外に出した後、しばらくして、彼(R君)が、携帯メール(現地では、TEXT と言っています)を送って来た事に端を発します。(以下は全て携帯メールのやり取りです。ちなみに、これは1本約2円未満で格安といえば格安ですが....)
R君: “日本製のと、他に安いのがひとつありますが、どちらにしますか?”
僕: “日本製がいいな”
<ちょっと間をおいて......>
R君: “安い方を買いました”
僕:
…実際のところ、その程度の事は、ワザワザ通信費を使ってまで、確認する程の事ではないし、彼が、‘安いほうが経済的に優れていて良い’と、その場で判断したなら、“日本製じゃないですが、こっちが安かったから、これにしました”と、事後承諾で充分なのです。
…が、ワザワザ、メールを送って来て、‘僕の指示’を求めた後、結局、僕の指示とは違う事をやっているのは、何とも、‘変な話’と言うか、‘理に適っていません’。
…で、僕自身は、別に彼を叱るほどの事でもないが、‘何故にそうなったのか’だけは知りたくて、事務所(兼教室)に、R君が帰って来て、マーカーと補充インクを僕に渡して、僕が、中身とレシートを確認した後、(…確かに1本当りの単価は日本製のそれに比べて、40円近く安かったのですが....)R君に、
『…どうして、これを選んだの?』
…と聞いてみました。
R君は、何を聞かれたのか、良く分からなかったようで、一度、聞き返してから、
『安かったからです』
…と答えました。
僕が、その時、ふと思い出したのは、彼が、ここで活動のお手伝いを始めた直後に、同じように文具他の買い物を頼んだ際に、彼が、ただ単に、‘高いものが良い’と判断して、不必要に高いものを購入してきた事、それに、指示をしていないものまで、勝手に買って来た事があったので、別に叱った訳ではないが、‘高いものばかりが良いとは限らないから、各種のアイテムがある中で、一番高いものを選ぶというやり方は、やめて欲しい。それと、その場で必要だと思うものがあれば、仕事に関するものである限りにおいて、100ペソ以内のモノであれば判断は任せるが、それ以上のモノであれば、携帯メールで相談して欲しい’…と指導した事です。
…で、僕は、‘その辺りの経緯’から、彼は、ちょっと頭が混乱したのかなと思い、彼の答えを聞いて、
『…じゃ、分かったよ』
…とだけ言うにとどめたのです。最初の僕の判断は、これまで使って来た日本製マーカーは、使いやすかったし、本体自体は、他のモノよりも高価ではあるが、2年以上に渡って使用できた実績もあるので、長い目でみれば高くないかな…というものでしたが、別段、これまでに使った事のなかった安い方を試してみて、こちらの方が経済性が高ければ、それも良いかな…くらいに思ったのです。
…が、更に、 …となったのは、その日、日本語教室も終わり、仕事も終わり、そして、次の日、日系企業での勤めと、その後のオフィスワークも終わり、深夜になって、さて、そろそろ寝ようか…というタイミングで、再び、R君から携帯メールが入り、
『先生、昨日の‘マーカー’の事、申し訳ありませんでした』
… と、まあ、今度、混乱(というか困惑)したのは僕の方でした。(これに気付いてくれただけ、喜ばしい事でもありますが、エラく‘時間差’があったので、ビックリしてしまったのです)
…よくよく考えて見て、思う事には、‘マーカー’を購入に出かけた時、R君は、半ば、‘軽い錯乱状態’にあったのかな…と言う事です。
…因みに、世間に流れる情報を分析して見ますと、‘フィリピン人はストレスに無縁’と言ったような誤解があるように思いますが、実を言えば、…と言うか、これは、ここで彼らと一緒に仕事をして来た僕自身の経験から推測する事ですが、彼らは、普段の食生活などから見ても、ストレスに耐えうる内容の食事をしていない上、(…と言うか、経済的に無理)自ら思考し、組み立てる…と言った社会的な教育が為されていないこともあって、実は、ストレスに弱いし、壊れやすい側面をもっているから、‘壊れてしまう前’に上手に逃げている人も多い反面、真面目に何とかと頑張るタイプは、時に‘神経衰弱’に陥り、それが進むと重度の精神病を患い、下手をすれば廃人同様にもなりかねないのです。
実際に、僕がセブ駐在で、現地活動に取り組んだ過去8年ちょっとを振り返ると、‘神経衰弱’で就学停止に陥った事例が3件ほどあり、直近では、このブログでも触れた事例ですが、一昨年、大学生の一人が、‘これ’にやられて、当方からも治療費他を支援した甲斐なく、彼女は、その後、‘病気が進んで’、修学を停止し、今も、社会復帰が出来ないで、近所でブラブラしながら過しているようで、この事は、僕の中で、一種のトラウマにもなっています。(他の事例は、治療の甲斐あって、普通に学校生活及び社会生活を送っていますが...)
R君のケースについては、前にもお話した事がありますが、家庭においては、アルコール依存症の父親がおり、言葉は悪いですが、‘死ななきゃ、治らない’状態にあります。また、兄弟姉妹合計4人がおりますが、皆、教育が無く、まともな仕事も無い中で、妹までもが、極貧生活の中、‘出来ちゃった婚’に及んでおり、実を言えば、彼が、こうした家族の生活指導に及んでいる状態で、学校生活+当方でのサポート業務等々で、一杯一杯の状態になっているのは間違いありません。
要は、何も知らされないまま(知識情報が極端に欠落した状態)の‘愚民’或いは、‘鈍民’である内は、動物に近い状態の暮らし向きにも疑問を覚えず、何となく、過ぎて行くのですが、一旦、‘こうした生活レベルの中’で、‘考える力を持ち始めた’時に、非常に辛い状況を経験する事になるのは避けられない事です。
ただ、ここは我慢のしどころで、ここを乗り越えるには、彼の頭の中の不要なモノ(‘嘗ての宗主国によって撒かれた毒’と言っても良いような思想他)を棄てて、整理整頓するプロセスが必要だと思われますが、ここからが、僕自身、本当にお役に立てるかどうかの瀬戸際だとも思っています。
…このように、フィリピン人たちとの御付き合いに於ける、Bad Communiation の要因は、本当に多岐に渡りますが、頑張って乗り切って行きましょう!
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これは喧嘩をしてもその時に本音を言い合えばお互いより深く分かり合える事ですよね。
でもこれってちゃんとコミュニケーションが出来てそれを頭の中でしっかり考えられる場合でして、相手がPinaちゃんとなるとね~。
かっとなって短絡的になり何も考えずに暴れるだけ…まあ普通の時でも何も考えてないみたいですが。
時々こんな奴らが日本で子供を産んでまともに育てられるかな?普通の社会生活が営めるかな?と心配になりますよ。
おっとまたまた本日のお話とあまり関係ないですね、すいませんでした。(笑)
どうも、一般的に言って、日本人とフィリピン人の関係って利害関係(要はカネの繋がり)だけで成立しているパターンが多い訳で、要は、コミュニケーション以前の問題なんですね。
愛なんて口幅ったい事は言いたく無いですが、‘これ’を分かっていない人の多い事…(苦笑)
要は、人が人に、損得勘定抜きで‘惚れて’‘惚れられる’事がホンモノなんですが、世界の環境を見ると、本当に、そうした本質的な事を分からなくさせるような有様が、ここまで続いて来ていますから、人が迷ってもやむを得ないのでしょうね。
そろそろ、‘目覚める時’が来るのかな...?
先日からうちの嫁さんの従兄弟に連絡がつかず何度電話をかけてもでない状態で、仕方なくフィリピンの姉からtxtを送っても返事無し
何故出無いのかなと妻に問いかけると。
出たく無いんじゃないの、、との返事。
彼女曰く電話に出たく無いから出ないみたいな二次元的な考え方、そこで私がそれは変じゃない?だってフィリピン在住の親戚のtxtにも返信無いなんて普通じゃないでしょ!もしかしたら携帯を誰かに盗まれたとか何かトラブルが有ったんじゃないの?と私が言うとそっかそうかもしれない、、、
こんな感じで確かにフィリピン人の多くは3次元的な考え方を身につけている人少なそうですね、でも大学をちゃんと卒業している姉は少し違う感じが有ります
多分2.5次元位のレベルかな
本当に御指摘の通りでして、当然、知識レベルが上がってこれば、それなりのものの見方をする人も居ますが、それでも、比国内のスタンダードしか知らなければ、‘その2’で述べましたような、A君の意見からしても、この国の体制+教育機関は、詰まる所、‘自らモノを考え、多角的に分析できるような庶民’は養成したくないんじゃないかとも思われますから、2.5次元で止まったとしてもやむを得ない事かも知れませんね。
でも、2.5次元を経験しなければ、3次元には上がって来られないでしょうから、それで完成ではなくて、通過点にしたいものですね。
‘フィリピン人はストレスに無縁’と在りましたが、問いかけの教えは、重すぎると感じました。
教育者の個人思考を押し付けたくはありませんが、逆に、この際、はっきり、これは、こうだから、これを買うこと。などと、はっきりした、基本を教え、それから、個人の考えを聞く!と言うのは、いかがでしょうかね~?
つまり、2。5次元まで、教師の個人思考で教育、3次元から、一緒に話し合うと言うのが混乱しないかも?
権兵衛さまなら、安心してお任せできます。
実を言えば、R君の場合、買い物の仕方他についても、かなり、ちゃんとした考え方にはなりつつあり、それまでに、‘こうだから、こうしよう’とした導き方もしているので、進歩もして来ているのは間違いないのですが、時折、こうした、‘あらら?’…という現象が起きますので、こちらも、何とか、その部分を理解する為に、‘何故か’という問い掛けが多くなっているような気がします。
…しかし、この部分がプレッシャーになっている可能性も否定できないので、もう少し、スローダウンして、彼のペースに合わせてみましょうかね...
失礼かもしれないが、南国の人は能天気・・・
とゆー図式が勝手に作られていた・・・
普通だと非常に野性的な生活をしている為に、目覚め始めた時の衝撃が大きすぎるのね・・・
でも、自殺とかにまで至るケースは少ないのかな??
この間、テレビで見て
「へぇ~、そーなんだ」
と思ったんだけど、自殺率って日本てアメリカの倍なんだって・・・比率が・・・
アメリカより日本の方が暮らしやすいような気があするんだけど(医療保険や教育とか・・・)、日本人の方が自殺しちゃうんだよね・・・
あ、これは知識レベルが高いとか低いとかは全然関係ない話だけど。
そのR君はどうやって乗り越えていくのかな
そうですね。意外な事なんですけれど、例えば、移民王国‘アメリカ’に移民してきた人の内、もっとも自殺率が高いのがフィリピン系移民というデータも存在するようです。
要は、いかに、この‘比国内の状況が酷いのか’の裏づけなのかも知れません。
R君は多分、大丈夫ですよ。
ああ見えて、分からない事は分からないとハッキリ示せるヤツですから、多分、迷う事はあっても、間違えないと思います。