マンション管理士日記

地域を守る:マンションと地域の融合

素直な心

2015年02月11日 | 喜働
松下幸之助さんの著書『物の見方 考え方』より抜粋します。
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若い新聞記者との会話です。
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「まず記者に対して忠告なり、批判なりがありますか」
「私は記者に対しては、いろいろ意見があるけれども。大切なことは、素直な心で取材せねばいけないと思う」
「素直な心とはどういうことですか」
「それは私心のない心である。今の新聞記者は、どうも私心をたくましくして取材している。それは一面にはまた社会を益していることもあるかもしれないが、非常に社会を毒しているものがある。それはまわりまわって、やはり新聞社なり記者その人に返ってくる。というのは世間はそんなにバカじゃない。一時はごまかされても、あの新聞社は正直な報道をしない。一つの出来事を曲解して、自分の意思を入れて報道している。あの新聞は信頼できんな、こういうことになる。だからその新聞は一時栄えても、永遠には栄えないと思う。それは結局失敗ということだ。そういうことをしないように、私心を捨てて、正直に白は白として報道する。それが私がまず第一に新聞記者に望むところだ」
「たしかにそれはそのとおりです。しかしそれだけでは記事がおもしろくないでしょう」
「問題はそこにある。白いものを白としておもしろく読ますところに、新聞記者としての技能がある。白いものを黒くしておもしろく書いてみたり。黄色に報道しておもしろくしたりすることは、たしかにおもしろいかもしれないけれども、それなねつ造になってしまう。真実性がなくなる。真実性を失わずして、おもしろく読ますということは、文才もいるだろうし、また取材のしかたもあるだろうし、そこに新聞記者の手腕、力量というものがあるのだ」
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これは昭和三十八年(1963年)に刊行された本なのです。
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私たちが望む新聞とは。
偏見であっても、スクープ性のある記事やおもしろい記事なのか。
それとも素直な心で取材し曲解のない心で磨かれた真実の記事なのか。
良い新聞記者を育てるのは良い読者に尽きる、と考えました。