段取りの功罪

　いかに準備をしてきたか。


　スポーツでは、試合前にすでに結果が決まっていることが多い。



　高校野球の地方大会を見ると顕著だ。



　プレーボール前。シートノックの段階で、概ね勝負の行方は見えてしまう。


　　　　　　◇


　いかに練習してきたか。準備をしてきたか。９割の試合はプレーボール前に結果が見えている。



　残り１割で、準備不足を逆転できる「才覚」や「運」を持ち合わせているチームも見受けられるが、概ねは相当に実力差の開いた相手にのみ可能なことである。それに、そういうチームは甲子園に行くことはまずない。


　　　　　　◇


　人生についても、同様の理屈が当てはまると思う。



　ビジョンを持ち、それによって現在の行動に意義付けをしていく。


　そうすれば、勝率はかなり高まる。



　　　　　　◇



　もちろん、ハプニングはある。

　なければつまらない。

　でも、より多くの準備をしていれば、さまざまなハプニングへの対応もできるし、逆にその対応を楽しむこともできる。



　　　　　　◇



　　　　が、である。


　　　　しかし、なのである。


　
　旅で一番つまらないのは、その「段取り」である。


　すべての道を予測し、できる限りレールを敷いておく。

　こんなつまらない旅はない。




　朝起きたら、空を見て、晴れている方向に旅を進めていく。


　これが楽しいのだ。




　　　　　◇


　仕事馬鹿は、段取りの人生を歩めばいい。


　仕事に関心のない馬鹿は段取りを無視した人生を歩めばいい。




　ただ、偉大な発明や仕事は、段取りの人生からは生まれていない。



　　　　　　◇



　息子には、段取りの重要性を認識した上で、段取りを重視しすぎない、そんな人間になってほしい。



　　　　　　◇


　とは言っても、実際に今やっている仕事では段取りを大切にしろよ、Ｍ君！