医療費が高額になる患者が、
病院の外来窓口で自己負担を払う際の方法が、
4月から変わるそうです。
2012年3月6日 読売新聞より
「認定証」で立て替え不要
病気やけがで医療機関を受診し、高額な医療費がかかった場合、
1か月当たりの自己負担が一定額を超えると
医療保険が肩代わりしてくれるため、
その額を超えた分は払わなくて済む。
「高額療養費」という制度だ。
4月から、外来で受診して、この制度を利用する人の
自己負担の支払い方法が変わる。
これまでは、いったん患者が医療費の1~3割を払い、
後で申請して超過分の払い戻しを受ける仕組みだった。
だが、近年は抗がん剤治療などで医療費がかさみ、
立て替えも高額になる例が目立つ。
このため、厚生労働省は、
高額な立て替え払いをしなくて済む仕組みを導入する。
具体的には、事前に保険証の発行元である
健康保険組合や協会けんぽ、市町村から
「限度額適用認定証」の発行を受け、
病院などで提示すれば、
負担上限を超えた分を払わなくて済むようになる。
高齢者は事前に手続きしなくてよい場合もある。
同じような仕組みは、すでに入院患者向けには導入されている。
高額療養費制度の限度額は、年齢や所得によって異なる。
70歳以上で、平均的な所得の人
(「一般」という所得区分に該当)の例でみてみよう。
1か月に3回、同じ医療機関に通院し、
毎回10万円の医療費がかかったとする。
この人の自己負担割合は医療費の1割なので、
現行制度では毎回1万円ずつ、計3万円を支払う。
自己負担の限度額は1万2000円とされており、
後から申請すれば、
3万円との差額の1万8000円が払い戻される。
4月以降の新制度でも、初回の支払いは1万円だが、
2回目は2000円で済む。
ここまでで限度額の1万2000円に達するため、
3回目の支払いはゼロとなる。
70歳未満の自己負担は原則3割で、限度額も異なるが、
窓口での支払い方は同様で、立て替え払いしなくて済む。
ただし、制度を利用できるのは、
同じ医療機関を何度も受診した場合だけ。
複数の医療機関にかかる場合や、
家族分の医療費を合算して限度額を利用する場合は
今まで通り、後で払い戻しの手続きが必要になる。
(内田健司)
(2012年3月6日 読売新聞)