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大天使聖ガブリエル St. Gabriel Archangelus

2024-03-26 06:31:50 | 聖人伝
大天使聖ガブリエル St. Gabriel Archangelus               記念日 3月 24日


 救い主イエズス・キリストは弟子達を選び給う時之に向かって「誠にまことに汝等に告ぐ、汝等は天開けて神の使いたちが人の子の上に上り下りするのを見るであろう」(ヨハネ1-51)と仰せになった。主はこの聖言を以て御自分が天使達と親しく交わり給う事を示されたのである。実際聖福音書をひもとけば、天使達が現れて主にお仕えした例が少なからず発見されるが、中でも本日祝う大天使ガブリエルの如きは、最も聖主と深い関係を有し、特別な使命を委ねられた方と言うことが出来よう。ガブリエルはまず聖書にその名を記された三大天使の一位であって、又ラファエルの如く主の御前に立つ七天使の一位でもある。従って彼は天使の九階級中最上の階級に属し、「天主の力」という意味のガブリエルと命名されて救世主に現れた天主の全能を示すべく定められたのであった。

 聖書を調べて見ると、救い主に関連して大天使ガブリエルの世に遣わされた事が三度あった。その最初は旧約時代預言者ダニエルに現れ、「エルサレムを建て直せという命令の出ずるより、メシアたる君の起こるまでに七十週あり(中略)その後にメシアは殺されるであろう(中略)しかして主はその週の半ばに犠牲と供え物とを廃し給うであろう。また神殿は全く毀たれるであろう」(ダニエル9・21-27)と語って救世主御来臨の期その他を告げ知らせたのがそれである。ここにある週とは普通の一週七日を指すのではない。七年を一週としたのである。されば七十週とは490年に当たる。これを事実に徴すればイエズスが降誕されたのは正しくユダヤ人達がバビロニアの捕虜たる運命を免れて、敵軍の為に荒らされたエルサレムの再建を始めた時から490年目の事であった。また一週の半ば、即ち約35歳(正確には33歳)にして聖主が十字架上に尊き御血を流し給い、旧約の犠牲供物を一切廃し、代わりに世の終わりまで続くべき潔き御聖体を献げる御ミサの祭りを創め給うた事も、なおその御死去の三十年後エルサレムに攻め入ったローマの将軍ティトの軍勢の為に神殿が余すところなく破壊された事も、ことごとく預言通りに実現したのである。

 かように大天使ガブリエルはダニエルの預言に依ってユダヤ人達に救い主を迎える心の準備をさせようとしたが、いよいよ預言の時満ちて救い主の御降誕が迫るや、彼は再び天主に遣わされて今度は「主の道を直くする」洗者聖ヨハネの誕生を告げる為にその父ザカリアの許に現れた。この人はユダヤ教の司祭であったが、長い間妻に子がないのを憂えて熱心に祈っていたが更にその効がなかった。所がある日神殿で香を焚こうとして香台の右を見ると、天使の姿が見えたので、驚き恐れていると天使は声をかけ「懼れるなかれザカリア、汝の祈りは聞き入れられた。妻エリザベトは汝に一子を生むであろう。その名をヨハネと名付けるがよい。その誕生は汝にも多くの人々にも大いなる喜びをもたらすであろう。即ち彼は主の御前に偉大にして、葡萄酒と酔う物とを飲まず、母の胎内より既に聖霊に満たされるであろう。またイスラエルの多くの子を主たるその神に帰らしめ、エリアの精神と能力とを以て主の先駆者となるであろう。これ主の為に完全なる人民を備えんとて、先祖の心を子孫に立ち帰らせ、不信者を義人の智識に立ち帰らせん為である。」と言い、不信の罰としてヨハネの誕生までおしとならしめた。かようにして天使に対する不従順は帰する所天主に対する不従順であるという事を示したのである。

 最後にガブリエルが世に遣わされた使命は、彼にとって最も喜ばしくも又光栄なものであった。それは救世主の聖母と選ばれ給うたナザレトの童貞女聖マリアの許に使いした事である。彼は出現するや、清浄潔白いささかの罪の穢れもないマリアを天使に優る天の元后と仰ぎ尊び、まず深くへりくだって「めでたし、恩寵に満てる者よ、主御身と共に在す。御身は女の中にて祝せられた御方でございます」と言った。そしてマリアが何故かように讃美せられるのであろうと驚いて居られるのを見ると、重ねて「懼れるに及びませぬ、御身は天主の御前に恩寵を得られました。御身は懐胎して一子を生まれるでありましょう。その名をイエズスと名付けられるがよろしい。彼は偉大にして最高き者の子と称えられるでありましょう。また主なる神は之にその父ダビデの玉座を賜うてヤコブの家を限りなく治め、その治世は世々に終わるときがないでありましょう」と語りマリアがイスラエルの民に多年待望されて来た救い主の名誉ある聖母と選ばれた事を告げた。それからなおもマリアにその懐胎が童貞を破らずして天主聖霊の全能により成就される事を説明し、彼女が感ずべき謙遜を示して「私は主の御召使いでございます。何事も思し召しのままに」と答えるのを聞くと、彼の使命は全く終わったのであるが、その時のマリアの従順の徳にはガブリエルも三嘆を禁じ得なかったに相違ない。かくてこの大天使は天主の救世の大事業の準備工作を果たしたのであった。

教訓

 大天使ガブリエルが三度も世に使いしてダニエルには救い主御降誕の時期を、ザカリアには主の先駆者ヨハネの誕生を、而してマリアには救い主の母となる事を告げたのは、天主方も救世の大業に深い関心を持ち、同時に又常に救いの玄義に対し我等人間の理解を深めようとしている事を示すものである。とにかく我等は救世の御計画が、いかに広大な天主の御憐れみから生まれたものであるかという事に思いを潜め、一層深い感謝の念を起こすと共に、その御恵みを無にせぬよう、常に偉大なる天使ガブリエルの権威ある代祷を願うがよい。





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