写真は20年以上も前のものとなりました

つれづれなるまゝに日ぐらしPCに向かひて心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつづっていきます

方位角

2016年05月21日 | 随想

「ほういがく」と聞けば、あるいは漢字変換しようとすれば、大方は「法医学」となるだろう。今回のテーマとする「方位角」(ほういかく)というのは、地球上での ある地点からみた他の地点の方向を表わす角度のことである。バッグ[鞄]をバックと言ってみたり、ドッグ[犬]をドックと言ったりする類いの話ではないので、念のため。)

 

これまでも、「GoogleMapで距離と方位角を調べる」というサイトを使って、例えば「日の出・日の入りの方向(2014.2.16)」とか、「海越しの「白山」(2014.5.29)」とか、「太陽と富士山と夫婦岩(2015.6.22)」、「暖かい初冬の立山連峰(2015.12.09)」など、身近なところからの方角や距離などについて幾つか見てきたところである。

そろそろ夏至も近づいてきて、日の出の方角もかなり北寄りになってきた。

日の出・日の入りの方向」のところでも書いたように、我が家では、登ってくる太陽の位置が立山連峰の端から端まで往復していて、それで1年という「とき」の長さを実感している。

 

生活感たっぷりの、このような見方を「地球的規模」にまで広げてみると、これがまた非常に面白いことを発見することになる。

2地点間の距離と方位角」というサイトがあるのだが、「A地点からB地点へ」の「B地点」のデフォルト値が「メッカ」になっており、「ん?世界中のイスラム教徒のためのサイトかぃな?」などと思ってしまったりもする。(どうも 実際に そうらしい・・・)

早速、「A地点」として「東京タワー」を指定して、ここを基点とした「メッカ」の方向を見ると、「293度」と出る・・・。

方位角は東が90度、南が180度、西が270度なので、293度と言えばほぼ「西北西」ということになる。「西」方向の「北」寄りの方角、ということである。

緯度で見れば、東京タワーが「35.66度」、メッカは「21.42度」であり、感覚的には「南西」方向のような気がするのだが、こういうところが地球という球面体の面白いところである。

 

そこで、「方位角」の図で少し注意深く見てみる。


 

上の図の青色の楕円で表わされている「緯線」を、見慣れた平面的な「地図」で見ると、北緯45度線というのは↓のようなものであり、これで「東西」を(南北も・・・)判断していることになる。

 

因みに釈迦が悟りを得た地とされるインドのブッダガヤ(仏陀伽邪)は、272.67°、ほぼ真西の方向である。インドは「南」ではなく、間違いなく「西」の方向だ。古来、『西方の「天竺」(インド)』と言われてきたのは(「極楽浄土」という「仮想世界」は「天竺」という地域名とは意味が違う。念のため。)、まぁ、間違いではなかったようだ。


インドからもう少し遠くまで「西」の方向を見てみると、タンザニア(アフリカ)の首都ドドマが方位角273度で、ほぼ真西の方向であり、ここより北側にあるケニヤやエチオピア、エジプト、リビア、アルジェリアなどといったアフリカ諸国は全て「北」寄り(東京タワー、あるいは、ほぼ日本全国から見て)の方向にあることになる。

・・・だから、ホントーの「西洋」というのは『アフリカ中部』のあたりのことを指すのであって、欧州は「北西洋」なのだ。欧州のことを「西洋」というのは、あくまでも「緯線」という「平面的な地図の見方」によるものであって、世界を「地球という球形の表面」として捉える「グローバルな視点」での呼び方ではない。


因みに、「洋」というのは「海・大海」という意味であり、転じて「海外・外国」という意味になったとされている。「西洋」というのは(中国から見て)「西側にある外国」といった意味だが、ヨーロッパを中心としてみた場合、Near East(近東)はバルカン諸国・トルコ・シリア・レバノン・イスラエル・エジプトなど、Middle East(中東)としては通例、アフガニスタン・イラン・イラク・アラビア半島諸国であるが、外務省ではトルコ以東を「中東」としている。一般的には中東と近東をひっくるめて「中近東」と呼ばれるのが普通である。また、「大西洋」の「洋」は「海」という元々の意味であり、「大きな西の海」ということから「大・西・洋」と名付けられた、とのこと。「太平洋」との漢字の用法の違いも、そのサイトに記載されているので、ご一読を。

 

ところで、2都市間の距離と方位角」のサイトによれば、東京~平壌(北朝鮮)が290.94°、東京~北京が289.96°と、ほぼ方位が同じ。つまり、一直線上に位置している。加えて、東京~金沢が290.84°、東京~大連(遼寧省)が少し北部の地域で290°なので、ほぼ、東京~金沢~平壌~大連~北京というのは一直線上に並んでいる、ということがわかる。

 

目を東に向ければ、ホノルル(ハワイ)は、ほぼ真東(86.96°)である。


もぅ少し遠方まで、と見てみると、ブエノスアイレス(アルゼンチン)がほぼちょっきりの90°。これを平面の地図で表そうとすると、直線ではなく波のようなカーブ状の曲線となる。


このような線を延長させていくと、人工衛星の軌道のような図形となる。

ただし、ひまわり (気象衛星)のような静止衛星は赤道上空の高度約35,786kmの円軌道(静止軌道)を、地球の自転周期と同じ周期で公転しているので、「波のようなカーブ状の曲線」は描かない。

方角からは逸脱するが、羽田~ロスアンゼルス間の最短コースは大圏コースとなるので、地図の上では緩やかな円弧のカーブとなる。