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自動車学

クルマを楽しみ、考え、問題を提起する

スパークプラグの基礎知識 その1

2013-08-31 02:49:20 | クルマをいじる
この前、僕はプラグの交換方法について書いたが、肝心のプラグそのものについては書かなかった。さすがにプラグの話が三連荘(さんれんちゃん)、四連荘と続いたのでは書くほうも飽きるし、読んでいる方もつまらないだろうと考えたからである。間に二回、関係ない話をしたところで、ここでまた少しプラグの話をしていこうと思う。

 下の写真はビューエルのプラグで、左が今まで使用していたハーレー純正プラグ。そして右がNGKの新品のイリジウムプラグである。最近プラグ交換をしたときに、ついでに撮ったものだ。純正プラグのほうは中心電極が従来のニッケル合金でできているために太い。これに対してイリジウムプラグのほうは中心電極が極細になっているのがおわかりいただけると思う。(画像をクリックしていただくと拡大できます)

 プラグに求められる性能は高着火性と高耐久性である。まずは着火性についてだが、この着火性を高めるためには中心電極を細くすることが必要だ。中心電極が細ければ強くて安定した火花が飛ぶのである。その理由を文章で説明すると、
 『電極が細ければ電界エネルギーが高まり、さらに消炎作用が小さくなるので飛火性や着火性が向上する』
となるのだが、これではいまいちピンとこないと思う。
 そこで、これを静電気に置き換えてみるとわかりやすい。冬場にクルマを触ったときに起きる、あの『バチッ』っとくる不快な静電気だ。下の写真のように指先をボディに近づけると強い静電気が起きるが、手のひら全体を近づけるとそれほど強い静電気は起きない。

 つまり手のひらよりも指先のほうが『電極』が細いために強い静電気が起こるのである。この現象はプラグの中心電極を細くすると飛火性や着火性が向上するという理屈と全く同じだと解釈してもらっていい。
 ところが、電極は細くすると早く消耗してしまうという問題が生じてくる。つまりプラグに求められる高着火性と高耐久性というのは、もともと相反するものなのだ。だからこそプラグの電極は色々と試行錯誤を繰り返しながらニッケル合金からプラチナ合金、そして現在ではイリジウム合金、とその材質は高融点、高強度なものに進化してきた。現在のあの極細電極のプラグは、プラグメーカーのたゆまぬ努力があったからこそ実現できたのである。

 もしあなたのクルマやバイクのエンジンがニッケル合金やプラチナ合金のプラグを使用していたならば、この際イリジウム合金のプラグにグレードアップしてみてはいかがだろうか。たとえわずかな差であっても、違いはきっと体感できると思う。僕のビューエルなどは今まで追い越し加速をする際に一瞬プラグがかぶることがあったのだが、イリジウムプラグに交換後はプラグのかぶりが全く無くなった。おかげで暴力的な加速を思う存分味わうことができている。


 次回へ続く