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自動車学

クルマを楽しみ、考え、問題を提起する

絶好調の富士重工に僕が望む事 その2

2014-06-08 03:47:23 | クルマ社会
 スバル1000はなぜ独創のメカニズムを持つクルマになったのか。もちろんそこには百瀬晋六氏が生粋のエンジニアであり、もともと飛行機屋でもある、という理由が存在するのだが、実はもうひとつの理由がある。それはシトロエンというクルマの存在だ。百瀬氏だけではなく、他の技術者達もみなこのシトロエンのDS19が大変お気に入りだったそうで、実際にスバル1000開発の傍らには常にDS19が置いてあったそうである。

 シトロエンDS19は世界初のFF車である7CV(トラクシオン・アヴァン)の後継車として1955年に発売された。DSと言えばまずあのハイドロニューマチックサスペンションが有名だ。金属バネとダンパーの代わりにオイルと窒素ガスを用いたサスペンションで、そのフラットな乗り心地は『魔法のじゅうたん』と評されるほどであった。さらにDSの場合はこのオイルの油圧をブレーキ、パワステ、さらにはマニュアルトランスミッションにまで用いている。ハイドロの油圧をここまで広範囲に使ったシトロエンは後にも先にもDS以外にはない。ちなみにこの油圧制御のMTは、今で言う『セミオートマ』である。
 シトロエンDSのすごさはこれだけではない。トランスミッションをエンジン前方に配置したフロントミッドシップレイアウト、量産車世界初のディスクブレーキの採用、また後期型のヘッドライトはオートレべリング機能とステアリング連動機能も備えている。さらに前回スバル1000のメカニズムのところでインボードブレーキというものを紹介したが、これも実はシトロエンのほうが先だ。このシトロエンDSは世界の知識人が選んだ『20世紀の名車ランキング』で三位に輝いているのだが、もし『20世紀に大量生産された変態車ランキング』というものがあれば、間違いなく一位になれると思う。もちろんこれは褒め言葉、である。

 シトロエンDSは一部のマニアのための特殊なスポーツカーではない。高価ではあったが、ごく普通の人が使う実用的な4ドアのセダンである。シトロエンはこの『ごく普通の人が使う実用的な4ドアセダン』であるDSに、恐ろしいほどのテクノロジーを詰め込んだ。それは僕流に言わせてもらえば、すべて『触れて、乗って、笑顔になれるクルマ』の実現のためであったのだと思う。「多くの人々が触れて、乗って、笑顔になれる、幸せを感じられるクルマを届けたい」と考えていたに違いない。シトロエンのその高い理想からくるテクノロジー至上主義の実用的なクルマ作りというものに対して、百瀬晋六氏をはじめとする当時の富士重工の技術者達はみな共感した。だからこそ、スバル1000の開発の傍らには常にシトロエンDS19が置いてあったのではないだろうか。

 富士重工の技術者達はシトロエンのようなテクノロジー至上主義の『ごく普通の人が使う実用的なクルマ』の実現を目指していくことになる。スバル360にセミオートマである『オートクラッチ』の実用化を実現しているし、量産乗用車では世界初の4WDであるレオーネはあまりに有名である。この他にも現在の自動車用CVTの草分け的な存在である『ECVT』の実用化などが主な例だろう。
 またエンジンに対するこだわりも相当なもので、なんとエンジン製造後はそのすべてがベンチテストにかけられて性能チェックを実施しているのだそうだ。抜き取りではなくすべてのエンジン。しかもモーターを使ってただ回すのではなく、実際にエンジンを始動してテストをしているのである。ここまでエンジンに手間をかけるのは国産メーカーでは富士重工だけだ。当然スバル車のエンジンには俗に言う「当たり」、「外れ」というものが全く存在しない、ということになる。
 恐らくこだわりと同時にプライドもあるのだろう。BRZのFA20エンジンの直噴システムはトヨタのものがベースだが、FB16ターボやFA20ターボの直噴システムはスバルが独自に開発したものである。さらに新しく登場した『XVハイブリッド』のハイブリッドシステムもスバル独自のものだ。水平対向エンジン+4WDだからトヨタのハイブリッドシステムが使いたくても使えなかった、という理由もあるとは思うが、プライドを持ってよくがんばって作ったと思う。『スカイアクティブ・ハイブリッド』と称して、実はトヨタのハイブリッドシステムをそっくりいただいているマツダとは正反対である。

 少し前の日経新聞にPSA(プジョー・シトロエン)の経営不振に関する記事が掲載されていた。シトロエンという自動車メーカーは何度も経営不振に陥り、プジョー傘下になってもまたプジョーとともに経営不振になってしまっている。経営不振になるたびにシトロエンのクルマは合理化され、現在ではそのほとんどがプジョーのクルマと兄弟車だ。あの素晴らしい乗り心地のハイドロサスを味わえるのは、もはやC5のみとなってしまっている。残念ながらかつて富士重工の技術者達を虜にしたシトロエンのテクノロジー至上主義は、もはや無いに等しい。
 テクノロジー至上主義を追い求めれば、当然クルマ作りにはコストがかかってしまう。そしてコストがかかればかかるほど、企業としての儲けは少なくなる。そこで『合理化とコスト削減を実行する』という話になるのだが、合理化とコスト削減を実行すればするほどテクノロジー至上主義とはかけ離れたクルマ作りになってしまう。それはつまりシトロエンらしさを捨てる、ということだ。シトロエンはこの『シトロエンらしさ』と合理化、コスト削減という相反するテーマの間で常に苦悩してきた。シトロエンの姿を見ていると、日本の自動車メーカーが何よりもまず『合理化とコスト削減』を優先させる姿もそれなりに理解はできる。高い理想だけで、メシは食っていけない。

 しかし富士重工はそうあってほしくはない。可能な限り、限界ギリギリまでテクノロジー至上主義で行って欲しい。あえて今僕がそう言う理由は、最近のスバル車のコスト削減が目に見えて進んでいるからだ。例えばBP/BL型レガシィではアルミ製のボンネットやリアゲート、さらにはサスペンションアームにまでアルミが多用されている(アウトバックは除く)のだが、現行レガシィではそれらがすべて廃止されてしまっている。内装でもコスト削減の痕跡はあちらこちらで目に留まってしまう。それなのに車両価格はジリジリと上昇中だ。BP/BL型レガシィの車両価格がその内容にしては比較的安価だったことは認めるが、こうも急激に合理化とコスト削減による利益追求を実行されたら、昔からのスバルファンは購入意欲が萎えてしまうのではないだろうか。一過性の現象であればいいのだが、
 「このまま合理化とコスト削減にひたすら突き進み、しだいにスバル車が普通のクルマになっていってしまうのではないか」
と、心配になってしまう。富士重工にはシトロエンと同じような道は歩んでほしくない。

 『プレミアムメーカー』という言葉がある。メルセデスやBMW、アウディなどによく使われる言葉だ。しかしよく使われているわりにはその言葉の定義について解説している人を僕は見たことが無い。そこで僕個人の『プレミアムメーカー』観になってしまうのだが、僕は「テクノロジー至上主義による高性能、高品質なクルマ作りをしているメーカー」であると思っている。だから富士重工は『プレミアムメーカー』だ。日本で唯一のプレミアムメーカーだと思う。
 しかし昨今の富士重工の姿を見ていると、このプレミアムメーカーとしての地位もこの先どうなるだろうか、と若干心配している。 絶好調の業績に奢ることなく、昔からのスバルファン、そしてスバリストの方々の期待に沿うクルマ作りをぜひこれからもしていって欲しい、と思う。



絶好調の富士重工に僕が望む事 その1

2014-05-06 03:27:28 | クルマ社会
 富士重工の業績が好調である。4月29日付の日経新聞の一面には『富士重工の連結営業利益は三期連続で過去最高益を記録』、という記事が載っていた。いくら円安とはいえ、大したものだと思う。

 富士重工の好調さはどこから来たものなのか。「きっとトヨタが筆頭株主になったからだよ」とか、「レガシィが売れたからじゃない?」などという意見をよく耳にすることがあるのだが、僕は違うと思う。まずはトヨタと富士重工の関係だが、トヨタは「富士重工の面倒を見よう」、などという善意で筆頭株主になったわけではない。あくまでもドライに『トヨタにとって得か。利益になるか』だけを考えた結果なのだと思う。別にトヨタがドライな会社だと言いたいのではなく、そもそも企業間の交渉なんてたいていそんなものだろう。
 実は僕もBP型レガシィを買う時に、レガシィを買わずに富士重工の株を買おうかとだいぶ悩んだ。当時の富士重工の株価はおよそ450円。富士重工の企業価値や作っているクルマのことを考えると、株取引なんて全くのド素人の僕でも破格の安さであることがすぐにわかったのである。そして現在の株価はおよそ2800円。この株価急上昇の間、実はトヨタは富士重工に対してほとんど何もしていない。この株価上昇だけでもトヨタは十分な恩恵を受けているのだが、それだけではなく例えば「スポーツカーを作ってくれ」と言っただけですぐに黙々と本格的なスポーツカーを作ってくれる。トヨタはこういった様々なプラス面を最初からすべて予想していたのだろう。労せずして大きな利益をトヨタは手にしたのである。
 レガシィが売れたから、と言う人はその後に「昔のスバル車は大したことないクルマだったもんなぁ」と続けることが多い。実は同じように僕もレガシィ以前のスバル車(レオーネなど)はみなどうでもいいクルマだとずっと思っていた。レガシィは初代から現在まですべてのモデルを試乗したことがあるのだが、レオーネには一回も試乗したことが無かったのである。

 僕が初めてレオーネを試乗したのはクルマの仕事をしていた時だった。そのレオーネは三代目、つまり最終型であるAL型レオーネ・ツーリングワゴンで、エンジンはEA82という水平対向四気筒1.8リッターターボである。走行距離は十万キロを超えていた。その頃はすでに二代目レガシィが登場していた記憶がある。
 お客さんから廃車してくれと頼まれたレオーネだったから、全く何の期待もせずに運転した。十万キロを超えているし、そもそもレオーネなんてどうせつまらないクルマだ、と思っていたのである。ところがこのレオーネ、いざ走らせてみるとなかなか面白い!ただのSOHCターボ、しかも十万キロを超えているにもかかわらず驚くほど軽やかにエンジンが回る。レッドゾーンは確か6500回転だったと思うのだが、そこまでよどみなくキッチリ回るのである。「乗り心地もいいし、以外に結構楽しいかも」と思いながら会社に帰って試しにリフトアップしてみると、サスペンションはなんとハイトコントロール機能付きの四輪エアサスペンションだった。より詳しくあちこちを観ていくと、ストロークが長くシンプルな作りの独立式リアサスペンションは乗り心地とラゲッジスペースの両立に大きく寄与していることが分かる。おまけにエンジンルーム内にスペアタイヤを備えているため、ラゲッジスペースはまさに広大そのものだった。ブレーキは四輪ディスクが奢ってあり、サイドブレーキはなんとフロントブレーキに内蔵されている。なぜサイドブレーキがフロントだったのか今でも僕はよく分からないのだが、当時の富士重工の技術者達は何かこだわりがあったのだろう。サイドブレーキは重量バランスの重いほうにあったほうがいい、という考えだったのかもしれない。

 『富士重工のクルマはレガシィ以前は大したことない』、というそれまでの僕の考えは完全に間違いであることに気付いた。その後すぐに僕はスバル1000に興味が湧き、いろいろと調べ始めることになる。

 スバル1000はスバル360とともに中島飛行機時代からの天才技術者である百瀬晋六氏の手によって生み出された。スバル360は岡山の親友が学生時代に乗っていたために慣れ親しんだクルマだったのだが、スバル1000についての知識は恥ずかしながらほとんど持ち合わせていなかった、というのが正直なところだ。唯一知っていたことはFF車用ドライブシャフトのデフ側等速ジョイントであるDOJ(軸方向に伸縮可能な等速ジョイント)を東洋ベアリング(NTN)と共同開発し、世界で初めて実用化したこと。この画期的な等速ジョイントによって、スバル1000以降、世界中のクルマが続々とFF化されていくことになる。この等速ジョイントが発明されなければ、今日のFF車の繁栄は無かったと言っても過言ではない。なぜこんなことを以前から知っていたかというと、実は今は亡き僕の伯父さんがNTNの元社員で、しかもこのDOJ開発メンバーの一人だったからだ。ちなみにこの伯父さんはその後ホンダF1エンジンのターボチャージャーの軸受けベアリングの開発もすることになる。(現在ではDOJはCVJという等速ジョイントの一種類として扱われている。ちなみにCVJをハブ側に初めて採用したのはイギリスのBMCミニ)
 スバル1000の独創的なメカニズムはこれだけではない。日本初の量産アルミエンジンでもある水平対向四気筒エンジン、フロント・ダブルウィッシュボーン、リア・トレーリングアームによる四輪独立サス、フロントインボードブレーキ(ブレーキがサスペンション側ではなくデフ側に付いている)、電動ファン付きのデュアルラジエーター(電動ファンは騒音の低減とエンジンパワーロスの防止、デュアルラジエーターはエンジン冷却と室内暖房の両立)、フラットフロア実現のためのマフラーサイドシル内設置、これまた日本初のラジアルタイヤ採用(スバル1000スポーツ)などなど、凄まじいほどのメカニズムを誇る。スペアタイヤをエンジン上に設置したのもこのスバル1000からだ。これは先ほどレオーネのところでも述べたようにラゲッジルームの拡大、そしてフロントに荷重をかけることによって登り坂でのトラクション性能の確保、という目的があったためである。
 ちなみにスバル1000がFF車として開発がスタートした理由のひとつは、将来の電気自動車化も視野に入れていたからだそうだ。実際に電気自動車の研究部署も存在し、そこでは驚くべきことになんと現在注目されている燃料電池の研究もしていたそうである。

 クルマ好きの方に『日本で一番の名車は何?』と質問すると、ほとんどの方は『トヨタ2000GT!!』と答える。確かにトヨタ2000GTは名車だと思う。カッコもいい。とびきり贅沢なクルマである。だが僕はトヨタ2000GTが日本で一番だとは思わない。トヨタ2000GTの3M型エンジンはクラウンがベースであり、X型バックボーンフレームはジャガーやロータスのパクリである。のちに世界中のクルマに影響を与えたことなどを考えると、僕はスバル1000こそが日本で一番の名車だと思っている。


 次回へ続く
 
   

今こそスポーツセダンだ!

2013-12-22 03:20:54 | クルマ社会
 もう終了してしまったが、今年は第43回の東京モーターショーが開催された。

 僕が最後に東京モーターショーへと足を運んだのは2007年の第40回である。小学生の時から高校生くらいまではほぼ毎回行っていたのだが、クルマに乗るようになってからはこの第40回の一度だけしか行っていない。あまり行く気にならないのである。東京モーターショーは僕にとって、もはやかつてのようにワクワク、ドキドキする場所ではなくなってしまった。
 というわけで、東京モーターショーに出展されていたクルマはネット上の写真でざっくりと見ただけである。この中で、まず僕が「いいな」と感じたクルマはホンダのS660コンセプトだ。ボディデザインはバランスが取れていて洗練されている。なかなかかっこいいなと思うのだが、残念なのはディテールの悪さだ。最近のホンダはどういうわけか左右のヘッドライトやテールランプを一直線に繋げたがる。ホンダデザイナーのマイブームなのだと思うが、新型フィットのフロントマスクを見てもわかるようにこれはお世辞にもいいデザインとは言えない。
 そしてもう一台、色々な面で考えさせられてしまったのが日産の新型スカイラインであった。

 最近の『デザインの日産』らしく、この新型スカイラインはほぼ完璧なボディデザインである。バランスが良く、伸びやかでありながら抑揚が効いていて実にかっこいい。同じ日産のフーガのデザインはこの抑揚がほとんど無いためになんとなくポッチャリとした印象があるが、スカイラインはとてもシャープだ。さすがである。しかしながら、これほどかっこいいデザインであっても恐らく新型スカイラインはあまり売れないと思う。そして新型スカイラインを見ていると、『スカイライン』というクルマの歴史もそろそろ終わりを迎えつつあるような気がしてならない。
 誰もが知っているように、かつてのスカイラインは日本を代表するスポーツセダンだった。実際にサーキットでも輝かしい戦歴を持っている。しかし現在のスカイラインはスポーツセダンではなくフーガと兄弟車の高級セダン、という位置付けである。その証拠にボディサイズは新型スカイラインで全長が4.8m、全幅が1.82mという巨大なものだ。おまけにハイブリッドだから車両重量は約1.8トンもある。このサイズ、重量はもはや完全にスポーツセダンではない。そしてスポーツセダンではない、ということはスカイラインではない、ということにもなる。

 僕はスカイラインというクルマに特別な感傷を持っているわけではない。日産がスカイラインをスポーツセダンではなくただの高級セダンとして売ることに対しては「お好きにどうぞ」という感じだし、仮にスカイラインという名前がこの先消滅することになったとしても、「そうなんだ」くらいにしか思わない。しかしスカイラインが長い歴史をかけて作り上げてきた『日本を代表するスポーツセダン』というブランドイメージをあっさりと捨て去ることはあまりにももったいないのではないか、と感じている。そして、今こそかつてのスカイラインのようなスポーツセダンが必要な時なのではないだろうか。今5ナンバーサイズのスポーツセダンを登場させれば必ず売れると僕は思っている。かつての、そして本来のスカイラインの姿が必要な時になっている、と僕は思う。

 「セダンは売れない」という言葉をよく耳にする。マスコミでもよく言っているし、自動車メーカーの人達もそういう認識らしい。しかし、僕から言わせてもらえれば売れない理由はとても簡単である。
 ○値段が高い
 ○ボディが大きすぎる
 ○つまらない
 この三つの理由だけだ。セダンが売れないのではない。売れないセダンを作っているのである。したがって、売れるセダンとは、
 ○値段が安い
 ○ボディが小ぶり
 ○面白い
となる。さらにこの三つの要素に『かっこいい!』が加われば必ず売れる。「売れるとなぜわかるのか?」という質問が返ってきそうだが、その答えも実に簡単だ。今の日本にそういうクルマが一台も無いからである。
 具体的に言うと、まず値段は最も高いグレードで250万円くらい。排気量は2リッターもしくは1.6リッターくらいでもいい。駆動方式はFR。これは絶対に外せない。ボディは全長が4.4m以内、全幅は5ナンバーサイズの1.7m未満が望ましいが、もし超えたとしても1.72mくらいが上限だろう。車両重量は1.3トンくらい。足回りはそれほど凝らなくてもいい。フロントはシンプルなストラットで十分だが、リアはさすがにダブルウィッシュボーンあたりにしてくれるとありがたい。
 具体的に言っていくと、やっぱりかつてのスカイラインの姿に近づいていく。僕が歴代スカイラインの中で最高傑作だと思っているのはR32型なのだが、このR32型スカイラインのようなクルマが現代に登場すれば間違いなく売れる。今の日本で作れる可能性があるメーカーは恐らく日産とマツダ、そして富士重工だけだろう。日産にはそのノウハウがあるし、マツダと富士重工にはそれぞれロードスターとBRZがある。特に富士重工はBRZのコンポーネントを使ってスポーツセダンを安く作ることができるのではないだろうか。

 今の日本には裕福な団塊の世代が大勢いる。そして前にも述べたように団塊の世代にはクルマ好きが多い。お歳を召されてきたそんなクルマ好きの団塊の世代の方たちに対して、日本の自動車メーカーはいったいどんなクルマに乗らせるつもりでいるのか。馬鹿でかいボディのセダンやSUVに乗らせてヒイヒイ言わせるつもりなのか。それともつまらない白物家電グルマや軽自動車を押し付け、「これで我慢してろ!」と言うつもりなのか。日本経済を強力に牽引してきた団塊の世代に対して、この日本の自動車メーカーの態度はあまりに失礼ではないか。小さなスポーツセダンなど新興国では売れないことくらいは分かっている。しかし日本のメーカーであるならば日本国内専用の、日本人のためだけのセダンを一台くらいは用意してもいいのではないか。団塊の世代の方たちがスポーツセダンを颯爽と乗りこなす。この絵になる光景を日本の自動車メーカーの人たちは誰も想像できないのか。若い人にだってスポーツセダンを欲しがっている人は大勢いる。走るのが好きな家族持ちの若者も大勢いるはずだ。こういった若者に対しても、日本の自動車メーカーは「我慢してろ!」とこの先もずっと言い続けるつもりなのか。

 マズイ。だんだん頭に血が登ってきた・・・。
 
 

僕が最近気になるクルマ

2013-07-31 04:25:09 | クルマ社会
 前回も述べたことだが、現在の国産車で「欲しいなぁ」と思わせるようなものは全く存在しない。この日本には自動車メーカーが8社もひしめき合っていながら、よくもまぁこれほどまでに購入する意欲が湧かないクルマばかりがそろっているもんだ、と逆に感心してしまったりする。
 かっこ良くて、センスが良くて、運転することが楽しい、と感じるクルマ。僕が求めているものはただ単にこの三つだけ、である。別にフェラーリを200万円で作ってくれ、などという無理難題を言っているわけではない。どうしてこの三つが実現できないのか、僕には全く意味が分からない。僕から見ていると、現在の日本車はかっこ悪くて、センスが悪くて、運転することがつまらない、と感じるクルマばかりだ。唯一燃費ばかりにやたらと熱心になっているのだが、クルマというのはただ単に燃費が良ければそれでいい、というものでは決してない。

 なんだか愚痴っぽくなってしまった。今の日本車のことを考えていると、悲しいことに愚痴しか出てこない。ここは気を取り直して、今僕が気になっているクルマを紹介したいと思う。クルマ選びをする際に少しだけでも参考にしていただければ、ありがたい。

 前にも述べたように、以前から気になっているクルマがフィアット500である。特にこのフィアット500のアバルトが大好きだ。現在のラインナップはアバルトでは500と595で、共に1.4リッターの四気筒DOHCターボ。そして通常のフィアット500ではpop、lounge、s、c、という4グレードで、エンジンはツインエアと呼ばれる875ccの二気筒ターボが中心になっている。思えば昔のフィアット500も二気筒だったから、この二気筒ターボは500を500らしく走らせるのではないだろうか。
 フィアット500はエクステリア、インテリア共にデザイン、センスが抜群である。このデザイン力やセンスは日本の自動車メーカーではとうてい実現不可能だ。加えて走りもキビキビとしていて楽しいため、どこまでも走っていきたくなる。所有するだけで日々の生活が楽しくなると思う。

 最近登場したフォルクスワーゲン・ゴルフも気になるが、それよりも気になっているクルマがルノーの新しいルーテシアである。この新しいルーテシアもフィアット500と同様にエクステリア、インテリアのデザインとセンスが素晴らしい。ゴルフはフォルクスワーゲン伝統の垢抜けないデザインとセンスが良くも悪くも持ち味となっているが、それとは対照的にルーテシアは美しい、と表現してもいいほどの出来栄えである。加えて最も安いアクティフというグレードで199.8万円、最も高いインテンスというグレードでも238万円、と相当にリーズナブルな価格設定だ。しかもインテンスであればインテリアカラーが四色から選べる。もう僕にはケチの付けようが無いほどのクルマである。ゴルフやインプレッサを購入しようと考えている方は、ぜひともこのルーテシアも候補に入れていただきたい、と思う。

 フィアット500と同様に前から気になっているクルマが、BMWの1シリーズクーペである。1シリーズの5ドアハッチバックはあまり好きではないが、クーペのほうは上品でとてもかっこいい。この1シリーズを見ていると、BMWはハッチバックのデザインにまだ慣れていないことがよく分かる。さらにインテリアデザイン、センスもクーペのほうがはるかに上で、インテリアカラーは四色から、シートカラーは五色からそれぞれ選べる。どの組み合わせにしようか、と見ているだけでワクワクしてくるほどだ。
 エンジンは2リッター四気筒と3リッター六気筒ターボがあるが、やはり3リッターの六気筒ターボがいい。さらにこの1シリーズクーペには『Mクーペ』というものが存在する。こいつは残念ながら日本には導入されていないのだが、小さくても本物の『M』である。ペタペタの車高に19インチのタイヤを履き、Mチューンの専用エンジンは340ps、45.9kg/m、というハイパワーぶりだ。このMクーペはまさに僕の好みをそのまま形にしたようなクルマである。いつかは乗ってみたい。そしてできることなら、所有したい。

 最後にもう一台紹介しておきたいクルマが、キャディラックATSである。「えっ!キャディラック?」と思うかもしれないが、このATSはあのニュルブルクリンク北コースを8分28秒台で走る性能を誇る。ちなみにスバル・インプレッサSTIが7分55秒。ATSのその運動性能の高さがおわかりいただけるかと思う。
 運動性能の高さも魅力だが、このATSもデザインとセンスが素晴らしい。エクステリア、インテリア共に惚れ惚れしてしまうほどで、本当に文句の付けようが無い。さらにこのATSは最も安いモデルで439万円という価格である。これほどのデザインとセンス、そして運動性能を兼ね備えていて439万円。正直言って驚くほど安い価格設定である。「メルセデスやBMW、アウディではちょっとなぁ・・・」と考えている方にはまさにうってつけのクルマではないだろうか。腕の立つ方であればATSに乗って峠に行き、STIを追いかけ回すことも十分に可能だろう。キャディラックでSTIとバトルをする。こいつは考えただけでも痛快だ。ワクワクしてくる。
 ちなみにBMWの1シリーズクーペは最も安いモデルで395万円である。今の僕にお金があったとして、いざ買うとなったら迷うことなくATSにすると思う。

 最後に、外国車を購入する場合は一度試乗してみることを強くおすすめする。外国車の場合はいざ走り始めてみると、思わぬ所に微妙な癖があったりするのだ。癖があったならばその癖を理解して、自分が気になるかならないかをじっくりと検討してから購入したほうがいい。高い買い物だから、買ってから後悔はしたくない。




日本の自動車メーカーは日本人をバカにしている

2013-06-27 03:48:25 | クルマ社会
 軽自動車の販売が好調である。日本国内における新車販売台数のうち、軽自動車が占める割合は2012年度で4割弱にも達しているそうだ。このため、各自動車メーカーは軽自動車の開発や販売に血眼になっている。今ではトヨタのディーラーでもダイハツ製の軽自動車を販売しているし、ホンダに至ってはこれまで軽自動車の生産を委託していた八千代工業から軽自動車の生産を取り上げ、自社で生産を開始するという横暴な態度に出た。ホンダとしては『軽自動車の生産は儲かるから、今度からうちがやることにする。だから返せ!』ということなのだと思うが、いくら子会社とはいえ、いきなりこう言われた八千代工業の関係者はさぞかし辛い思いをしたことだろう。その辛さや無念さを考えると、ちょっぴり涙が出てくる。
 軽自動車の販売が好調なのを受けて、マスコミ各社もみな一斉に軽自動車に注目しはじめた。テレビのニュースや新聞などでも取り上げられ、どれもこれもみなその出来栄えに大絶賛、である。そして最後はガラパゴス携帯、いわゆる『ガラケー』にかけて『ガラ軽』などという面白くもなんともないダジャレを使い、最後は「この日本独自規格のガラ軽は世界にもきっと通用する」、とか「日本の自動車産業にとって大きな可能性を秘めている」などという論評で終わる。確かに、僕も最近の軽自動車はとても良くできているとは思う。日本の技術力は大したものだ、とも思う。しかし軽自動車が売れる、ということが我々にとって、そしてこの日本という国にとってはたしていいことなのだろうか。喜ぶべきことなのだろうか。

 軽自動車が選ばれている理由はいろいろあると思う。維持費の安さ、小さなボディであるがゆえの扱いやすさ、そして燃費。もちろん性能も日常生活においてはおおむね満足できるレベルに達している、という点も大きな理由になっていると思う。これらの点についてはマスコミ各社も述べているのだが、さて問題はここから先、である。軽自動車を選んでいる人達は、いくら出来が良くなったとはいえはたして軽自動車『がいい』と思って買っているのだろうか。僕が思うに、恐らく多くの人達は軽自動車『でいい』、と思って買っているのではないだろうか。
 『・・・がいい』という言葉と『・・・でいい』という言葉とでは、その意味合いが大きく異なる。『・・・がいい』という言葉は・・・が好きで、自ら積極的に欲している、といった意味だろう。これに対して『・・・でいい』という言葉は自分の中の欲求に対して折り合いを付ける、妥協する、といった意味になると思う。つまり、多くの人達は自分の中の様々な欲求に折り合いを付け、妥協して軽自動車を選んでいるのだ、と僕は思っている。
 それはなぜか?日本の自動車メーカーや各マスコミにこう質問したら、なんとなく次のような回答が返ってきそうな気がする。
 「要するに所得が減って、生活に余裕が無くなってきているからだろ」
 もちろんこれはあくまでも僕の想像なのだが、軽自動車ばかりに血眼になっている自動車メーカーを見ていると、こういう最悪の回答をしてくるのではないだろうか、と思う。
 「冗談じゃねえ。バカにするなよ!」
 と言ってやりたい気分である。

 もちろん生活に余裕が無いから、という人もいるだろうと思う。都市部に住んでいて、駐車場の問題から軽自動車しか所有できない、という人もいる。しかし軽自動車を買っている多くの人は、本気で欲しいと思うクルマが無いのではないだろうか。心がときめくような魅力的なクルマが無いから、「とりあえず軽自動車でいいや」、と思っているのではないだろうか。誰だって心がときめかないものに大金など払いたくはない。いや、他人の事などこのさいどうでもいい。なにより僕自身が国産車に対して全く心がときめかないのである。
 例えばカローラクラスの国産車である。かつてこのクラスはカローラ、サニー、シビック、ファミリア、インプレッサ、ミラージュなど、各社の主力がひしめく激戦クラスだった。しかも各社ともセダン、ワゴン、さらにはハッチバックやクーペなどのラインナップもあり、それはそれは華やかだった。ところが現在はどうだ。まともに生存しているのはカローラとインプレッサくらいなものだろう。ファミリアの後継モデルのアクセラは存在感がまるで無いし、サニーの後継モデルであるティーダはいつの間にかただのラティオという名前になり、現在ではミラージュと同様に東南アジアで生産された単なる安グルマとなってしまった。そして、一時期あれほどの人気を誇っていたシビックはとうとう消滅してしまう、というありさまだ(日本以外では販売している)。
 どうしてこうなってしまったのか。その理由は簡単で、要するに売れなくなってしまったからである。ではなぜ売れなくなってしまったのか。ここが重要なのだが、売れなくなってしまった理由は単純にクルマとしての魅力が無かったからだ。魅力が無いクルマなど誰も買わない。はっきり言ってすべては自動車メーカー側の責任である。我々の所得が減ったから買えなくなった、という理由では決して無いのだ。
 ヨーロッパを見てみると、この1.5リッター~2リッタークラス、ボディサイズは全長4.2m前後、全幅1.75m前後というクルマは相変わらずの激戦クラスである。ゴルフやAクラスなどをはじめ、いちいち車名を挙げていくのが面倒くさくなるほどの賑やかさであり、またどれもこれもみな悔しくなるほどの魅力を持っている。ヨーロッパの各自動車メーカーはこのクラスが最重要クラスであると認識しているのだろう。なぜならヨーロッパの人々はみなこのクラス、サイズこそがクルマとして最も理想的であることを知っているからなのだ。そしてそれはこの日本でも同様だろう、と僕は思っている。十分な動力性能を持ち、実用的で扱いやすいサイズでありながら大人五人とその荷物が載せられ、衝突安全性能も高い。おまけに魅力的なデザインが実現可能なサイズでもある。これはまさに日本においても理想的なサイズであると言えるのだ。ところが日本の自動車メーカーは今や国内でこのクラスのクルマを本気で作り、売ろうとはしていない。唯一本気なのはインプレッサを作る富士重工だけである。トヨタですら、本気でカローラのことを考えていない。富士重工以外の自動車メーカーのその態度は、まるで「どうせ作っても、おまえらは買わないんだろ?」とでも言いたげである。

 人々の物欲、所有欲を刺激するような魅力的でときめきを感じさせるクルマを作り、クルマのある幸せな生活を提案、提供する。これが自動車メーカーのあるべき姿なのではないのか。にもかかわらず売れないから、と安グルマを輸入してみたり、生産をあっさりとやめてしまったりする。そして軽自動車が売れるとなるとみな安易に軽自動車に血眼になり、「売れる、売れる!」とはしゃいでいる。ホンダなどは最高で178万円もするNboxというただの箱バン軽自動車を登場させ、「フィットよりも利幅が大きい!」とほくそ笑んでいる(新聞の記事に載っていた)。メーカーが「儲かる、儲かる!」と大喜びしているクルマなんて、絶対に買うものか。これが日本という先進国の人々に対する態度なのだろうか、と思う。あまりにも我々をバカにしている。

 日本は世界第3位の経済大国である。30位でも130位でもない。世界で堂々の3位、なのである。そんな経済大国の国内で『ガラ軽』と呼ばれるクルマばかりを勝手にせっせと売り、一方的に日本国内はもうダメだ、とバカにしてやれ中国だ、東南アジアだ、インドだ、と言っている。要は発展途上国ならば魅力の無いクルマでも楽に売れる、ということなのだろう。しかし、僕から言わせてもらえればダメなのは日本なのではない。日本の中にある魅力の無いクルマばかりを作っている自動車メーカーと、その実態を理解できないマスコミこそダメなのである。『ガラ軽』が世界で通用しようがしまいがそんなことは知ったこっちゃないが、このままでは日本国内の自動車市場はどんどんジリ貧になっていってしまう。
 日本の自動車メーカーのせいで。