真ん中にファティ・アキン監督を挟んで、左にNurgul Yesilcayと右にハンナ・シグラ
2004年『愛より強く』がベルリン映画祭で最優秀賞に
輝いたファティ・アキンは、最近元気のいいドイツ映
画の期待の星。監督自身トルコ系の移民で、つねにマ
イノリティーの視点から、社会状況を交えた個性豊か
な作品を送り出しています。本作もその一つ。
「『愛より強く』では愛を、この作品では死を、次回
作では悪を描き、三部作を完成させるつもりです」と
いうアキン監督。政治的要素や移民問題を深く絡めて、
普遍的な人間の絆が描かれる。そこにはどこかロマン
ティシズムをおびたアキン節が健在。今まで見たコン
ペ作品では、一番気に入りました。
主演は往年の大女優ハンナ・シグラ。彼女は「はじめ
てファティ・アキンを見たとき、この人はファスビン
ダー(ニュージャーマンシネマの中心人物だった映画監
督)にも似た、明確なビジョンを持つ人だとすぐに分か
ったわ。これほど、“死”を深く見つめた作品はない。
苦しみの先にある、生きる者への眼差しが素晴らしい
わ」と語っていました。
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