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第60回カンヌ国際映画祭 −カンヌのできごと−
第60回カンヌ国際映画祭
第60回カンヌ国際映画祭特集


パルムドールの有力候補『The Edge Of Heaven』が登場


真ん中にファティ・アキン監督を挟んで、左にNurgul Yesilcayと右にハンナ・シグラ

2004年『愛より強く』がベルリン映画祭で最優秀賞に
輝いたファティ・アキンは、最近元気のいいドイツ映
画の期待の星。監督自身トルコ系の移民で、つねにマ
イノリティーの視点から、社会状況を交えた個性豊か
な作品を送り出しています。本作もその一つ。
「『愛より強く』では愛を、この作品では死を、次回
作では悪を描き、三部作を完成させるつもりです」と
いうアキン監督。政治的要素や移民問題を深く絡めて、
普遍的な人間の絆が描かれる。そこにはどこかロマン
ティシズムをおびたアキン節が健在。今まで見たコン
ペ作品では、一番気に入りました。

主演は往年の大女優ハンナ・シグラ。彼女は「はじめ
てファティ・アキンを見たとき、この人はファスビン
ダー(ニュージャーマンシネマの中心人物だった映画監
督)にも似た、明確なビジョンを持つ人だとすぐに分か
ったわ。これほど、“死”を深く見つめた作品はない。
苦しみの先にある、生きる者への眼差しが素晴らしい
わ」と語っていました。

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『ライラの冒険 黄金の羅針盤』のプロモーション


左から新人女優ダコタ・ブルー・リチャーズ、監督のクリス・ワイツ、女優のエヴァ・グリーン

ファンタジー・アドベンチャーの大作『ライラの冒険 
黄金の羅針盤』の10分間のフッテージがお披露目され
ました。「人間の魂が動物の形で現れるパラレルワー
ルド」と現実世界を行き来する少女ライラが巻き起こ
す壮大な絵巻物。
フィリップ・プルマンのベストセラーの3部作『ライラ
の冒険』を映画化したものです。キャストには『007/
カジノ・ロワイヤル』の新ジェームズ・ボンド、ダニ
エル・クレイグや相手役を演じたエヴァ・グリーン、
そしてオスカー女優のニコール・キッドマンなど、豪
華な顔ぶれが揃っています。

英語もフランス語も堪能なエヴァ・グリーン

ニコール抜きの記者会見では、原作の大ファンだとい
うワイツ監督が「CGなどの特撮を駆使しながら、人間の感
情をしっかり描いた、子供だけでなく大人も楽しめる
ファンタジー」と強くアピール。
伝統的なSFやファンタジーとは一線を画す新たなヒッ
ト作が生まれるのでしょうか。


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北野武 記者会見



カンヌ映画祭60回記念のオムニバスに「素晴らしき休日」を
発表した北野武監督。この3分間の短編は、日本で6月2日に公
開される新作「監督・ばんざい!」との同時上映が決まったば
かりです。
そうそうたる顔ぶれが並んだ60周年記念作品『To Each His
Own Cinema』の公式上映 では、レッド・カーペットをちょん
まげ姿で登場するというパフォーマンスで笑いを誘う場面も。

「今回カンヌにくる前、ヴェンダースのサインを貰おうと思
って楽しみにしていたんだけど、実際会ったらすごく気さく
な人だったから、もうサインはいいやって思ったよ」
「赤絨毯に上る直前、ちょんまげをつけるか迷っていたら、
彼から『やれ、やれ!』って背中を押されたんだ」と振りか
えっていました。
常に話題の中心で、カンヌから愛されるトップクラスのスタ
ー監督なのだなぁと実感しました。


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俳優のマチュー・アマルリックにインタビュー



今年のカンヌ映画祭は、出演作が4本も上映される、
今のりにのっている俳優のマチュー・アマルリック。

コンペティションではジュリアン・シュナベール監督
の『潜水服は蝶の夢を見る』、ある視点ではヴァレリ
ア・ブルーニ・テデスキ監督の『アクトリス』、監督
週間ではニコラ・クロッツ監督の『La Question Huma
ine』など、七変化するのである。

ある日突然全身不随に冒された、もとELLE誌の名物編
集長の回想記が映画化された『潜水服は蝶の夢を見る』。
ここでは、瞬きだけがコミュニケーションの手段とな
った男の難しい役柄を演じています。「ジャン・ドミ
ニク・ボビーという人間をありのまま演じたかったか
ら、特殊メイクや特撮に頼らず出来る限りのことをし
たんだよ。なるべくメロドラマっぽくしたくなかった
し、ヒーローでもない彼の欠点も見せたいと思った」。


この回想記を書き終えた直後、43歳の短い生涯に幕を
閉じたジャン・ドミニク・ボビーについては「天国か
らこの作品を見たら、きっと喜ぶと思うよ。だってモ
ード業界だけでなく、映画業界でも有名になれたんだ
から!」


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ある視点部門、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキの『アクトリス』



コンペティションからは外れたけど、隠れた
名作を集めた、ある視点部門。

この部門にエントリーされた『アクトリス』
の上映会に行ってきました。監督、主演のヴ
ァレリア・ブルーニ・テデスキは、フランソ
ワ・オゾン監督の『ふたりの5つの分かれ路』
で知られるフランス女優。

はにかんだり、泣き笑いしたり、微妙な心の動
きをみせれば、抜群の魅力を発揮します。本作は、
ロシアの作家ツルゲーネフの戯曲に挑む舞台女
優の話で、まるで自叙伝といった感じ。メラ
ンコリーと可笑しさがほどよく同居した作品で、
観客から温かく迎えられていました。


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カンヌ・海岸の風景



映画祭も半ばに差しかかり、ますます盛り上がりを
みせています。雲一つない真っ青な空の下、日中の
気温は28℃まで上昇。街中は、肌を露にした、いか
にもリゾート気分の人たちで賑わっています。小さ
な浜辺には、日光浴をいそしむ人たちが、ぎゅうぎ
ゅうとひしめき合っています。

ふと見渡すと、海水浴を楽しむ人はいない様子。
最近は、スターも観客を前に、浜辺でピンナップ写
真を撮影することはめっきりなくなったのが残念です。

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ブラジルのパーティーに突然現れたミカ・カウリスマキ



みなさん、このサングラスの男性をご存知ですか?

そうです。『GO! GO! L.A.』や『モロ・ノ・ブラジル
』のミカ・カウリスマキ監督です。フィンランド出身
で、弟にはあのアキ・カウリスマキがいます。「ブラ
ジル音楽好きが高じて、現在はブラジル住まいなんだ
よ。今年のカンヌでは、久々に弟と会えたのが一番が
嬉しい」と語っていました。

カンヌでは毎夜のごとくパーティーが行われています
が、お昼時やティータイム、夕方からアペリティフの
時間も、何かしらイベントが行われています。こうい
った席は、監督たちと映画業界の人たちとの格好の出
会いの場ともなっている模様。世界中のプロデューサ
ーや映画祭選定員が集まる場として、監督たちにとっ
て『売り込み』をする絶好の機会ともなるようですね。


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ついにベールを脱いだ松本人志監督の『大日本人』



今年、監督週間に日本からエントリーしたのは、ダウン
タウンの松ちゃんこと松本人志の監督デビュー作。カン
ヌでワールドプレミアとして上映されるまで、真相はベ
ールに包まれたままでした。

監督自ら演じる主人公の“大佐藤”は、世間の嫌われ者。
でも、実は正義の味方で、必要とあれば、巨大な姿に変
身して、悪者を退治するんです。「まだ誰もやったこと
のない、絶対面白いものを作りたかった」という松本監
督。

20日に行われた2度目の上映では、意外なところで笑いが
巻き起こる反面、独特のディープなネタに、ついていけ
ない観客もちらほら。途中退場する人の姿も見られました。

「日本人に対して、頑張れよという気持ちもあった」とい
う本作は、クセのある個性的な作品が肩を並べる監督週間
でも、とりわけ異色を放つ作品で、強烈なインパクトを残
したに違いありません。


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60周年記念作品『To Each His Own Cinema』



本日(5月20日)、朝の8時半から、60周年の記念映画が
上映されました。ヴィム・ ヴェンダース、テオ・アン
ゲロプロス、ロマン・ポランスキーといった、世界各国
から集まった巨匠たちの中には、日本から北野武が参加。
“映画館”をテーマに、思い思いのイマジネーションを、
3分間で表現したオムニバスです。特に好評だったのは、
コーエン兄弟、ウォルター・サレス、北野武、ロマン・
ポランスキーの作品。

上映直後の記者会見には、この企画に参加したほとんどの
監督が顔を揃え、まさに圧巻という迫力でした。
忘れられない映画は何かの質問に北野監督は、「中学生の
時、兄と一緒に『鉄道員』を見た帰り、悪いやつに捕まっ
てかつ上げされた。映画自体とても悲しいストーリーだけ
ど、思い出すたびに、あの日とぼとぼと家に帰った、暗い
記憶が蘇える」と答え、笑いを誘っていました。

ところでこの会見では、記者たちの的外れな質問に、ぶち
切れしたロマン・ポランスキーが途中退場するなど、ハラ
ハラさせられる一場面もありました。


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オリヴィエ・アサイヤス監督にインタビュー



現代の“魔性の女”といえば、すぐに名前が挙がる
アーシア・アルジェント。イタリアのホラー映画の
巨匠ダリオ・アルジェントの娘です。麻薬、SM、マ
ニピュレーション、マフィアといった、様々な要素
が詰まった女のハードボイルド『ボーディング・ゲ
イト』は、特別招待部門のミッドナイトスクリーニ
ングで上映されました。

監督のオリヴィエ・アサイヤスは 次のように語って
くれました。
「この作品は、SM行為の真っ只中に、愛人に殺害さ
れた、フランスの銀行家の事件がベースになってい
ます。この話を聞いて、すぐに映画化に興味を持ち
ました。女は男を殺した直後、シドニーに高飛びす
るのですが、僕は舞台を香港に置き換えたんです」

もともとは映画批評家で、アジア映画にも造詣の深
いアサイヤスは、その訳を
「香港は、私が最もよく知る外国の都市で、第二の
故郷と感じるほど好きなところです。特に(コンペ
部門の審査員を務める)マギー・チャンと結婚して
いた時代は、しょっちゅう訪れました。映画的に素
晴らしくフォトジェニックだし、低予算で6週間の
短い撮影期間には、ぴったりの場所だったのです」


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