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第60回カンヌ国際映画祭 −カンヌのできごと−
第60回カンヌ国際映画祭
第60回カンヌ国際映画祭特集


審査員の好みがはっきり表れた受賞結果


9人の審査員たち


5月27日夜(日本時間28日未明)、第60回カンヌ映画祭の授賞式が
行われました。今年はパルムドールを除くと、誰もが予想しなかっ
た、あっと驚く結果となったようです。

満場一致でパルムドールを獲得したルーマニアの『4カ月、3週間と
2日』は、開幕を飾ったウォン・カーウァイの「ブルーベルー・ナイ
ツ」に続く開催日二日目に上映された作品。息もつかせぬ迫力の展
開と骨太な演出で、強烈なインパクトを残し、堂々のパルムドール
を受賞。次いで、河瀬直美監督の『殯(もがり)の森』は、自己のス
タイルを純粋に追求した、非常に繊細な作品で、批評家からの評価
は真っ二つに分かれたものの、審査員の琴線に触れた模様。

直後の記者会見では、「全然納得いかない受賞作もある」と発言し
た俳優のミシェル・ピコリ。審査団の中でも、熱い討論が交わさた
ようです。例えば、カーボーイと殺し屋の逃走ゲームが、大好評を
博したコーエン兄弟の『No Country For Old Men』は無冠のままに。
当初、60周年記念賞の第一候補に挙がっていたようですが、ガス・
ヴァン・サントにその席を奪われたのでした。『No Country~』主
演のハビエル・バルデムも、その怪演ぶりが高く評価されたものの、
男優賞には至らず。栄光の座を射止めたのは、ロシアの俳優コンス
タンティン・ラヴロネンコでした。ただ予期せぬ出来事だったよう
で、祖国に帰る直前に、パリを観光中だったとか。5時ごろ、その
知らせを受けたラヴロネンコは、7時半からの受賞式には間に合わ
なかったといいますから、結果発表の直前まで揉めていたようです。

やはり、女優のマギー・チャンやトニ・コレットを除いた、審査員
の大半が監督であったこと(審査委員長のスティーヴン・フリアー
ズをはじめ、アブデラマン・シサコ、マルコ・ベロッキオは映画監
督。マリア・デ・メディロス、サラ・ポリー、ミシェル・ピコリは
監督経験もある俳優)が強く反映したのかもしれません。今年は娯
楽大作は影を潜め、審査員好みの作家主義を貫くシリアスな作品に
賞が集中しました。

主な受賞結果は次の通りです。
●パルムドール(最高賞)
『4カ月、3週間と2日』
監督:クリスティアン・ムンジウ(ルーマニア)

左からプレゼンターの女優ジェーン・フォンダとクリスチャン・ムンジウ監督

●グランプリ
『殯(もがり)の森』
監督:河瀬直美(日本)

左から河瀬直美監督、プレゼンターの女優キャロル・ブーケ

●60周年記念賞
ガス・ヴァン・サント
『Paranoid Park』(アメリカ)

審査委員長スティーブン・フリアーズから賞を受けとるガス・ヴァン・サント監督(左)


●脚本賞
ファティ・アキン
『The Edge of Heaven』(ドイツ)

●監督賞
ジュリアン・シュナベール
『潜水服は蝶の夢を見る』(フランス)


左が監督のジュリアン・シュナベール

●男優賞
コンスタンティン・ラヴロネンコ
『The Banishment』アンドレイ・ズビャギンツェフ監督作(ロシア)

●女優賞
チョン・ドヨン
『Secret sunshine』イ・チャンドン監督作(韓国)

左に女優賞のチョン・ドヨン、右にプレゼンターのアラン・ドロン

●審査員特別賞
『Persepolis』監督:マルジャン・サトラピ&ヴァンサン・パロノー(フランス)
『Stellet Licht』監督:カルロス・レイガダス(メキシコ)

左端にカルロス・レイガダス監督、スピーチするのはマルジャン・サトラピ監督

●カメラドール(新人賞)
『Meduzot』監督:エトガ-ケレット&シラ・ゲフェン(イスラエル)批評家週間にエントリー作品



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