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Retro-gaming and so on

GBA版 Lunar Legend

パソコンを修理に出して、手持ち無沙汰だったんで、初めてGBA版Lunar Legendをプレイしてみた。

さてさてこのゲーム、セガのメガCD用RPGの傑作、Lunarのリメイクである。「あまりにも有名なゲームなんで説明は要らない」とは言えない(笑)。なんせメガCD自体が大した売れたプラットフォームじゃないんで、事実上マイナーなゲームだろう。よって要説明、となる。
とは言っても簡単な説明だ。「セガの8bit~16bit時代でそれらプラットフォームでは最高傑作のRPGである」。ピリオド。これ以上説明は要らないだろう。いや、もうちょっと付け加えてみようか。
セガのプラットフォームは、前にも書いたけど、ロクなRPGが無かった。セガのプラットフォームは「ゲームマニアが購入する」って前提だったからか、狂ったような、テストプレイもロクにしてないような難易度のRPG、またはグラフィックがクソ汚ぇRPGを出してヘーキなツラをするメーカーばっかだったのだ。最悪な事に、プラットフォーマーのセガでさえそうだった。
ところが、メガCDが出て、ゲームアーツという会社が、「狂ったような難易度のRPGばっかの市場にグラフィック重視のヌルいFFタイプのRPGをぶっこんだらどうなるか」身を持って実験してくれた。そしたらセガのプラットフォームで一番人気のRPGに化けたのだ。平たく言うとこれがLunarである。要するに、「ゲームマニアばっか」と思われてたセガのプラットフォームのユーザーも、ファミコン/スーファミなんかでの、彼らが軽蔑してた「ヌルい」「トーシロ向けの」RPGを実は欲してた、って事なのだ(笑)。わはははは(笑)。
丁寧にフツーに作れば市場でトップを取れる。そういう当たり前の事が忘れられてたセガ市場に於いて、当たり前の事を行ったゲームアーツは偉いのだ。
まあ、これが背景なんだけど、Lunarにはコンセプトがもう一つある。「メガCDで作るRPG」と言う前提なんで、当時のライバル機、PC-Engine上のRPGよろしく、アニメありの演出にしたい、って面もあったんだけど、それより「CD->音楽->歌」(って連想?)ってぇんで、Diva(歌姫)を中心として、それを巡る話に構成されてんのね。これがLunarの特徴で、ハッキリ言えばこの作品でそれに関してはやり切っている。だから続編、と言うよか(何百年後かの・笑)後日譚のEternal Blueだとこの辺のコンセプトは全く消えてるわけだ。そういう意味だと、LunarとEternal Blueは「話の繋がりはある」「世界観は共有してる」「システムも共有してる」んだけど、実は思想的な面では全然違うゲーム、と言って過言ではない。



Lunarシリーズ、とは言っても基本2作品しかない(あとは外伝一本のみ)、ってのは基本それぞれで「やりたいこと」をやり切っているから。そういう潔さがLunarシリーズにはあって、第一作は「歌をフィーチャーした物語」、第二作は「メロドラマ」で、それぞれコンセプトを完遂している。やりきった話である以上、ダラダラと続編を出す必要がない。その辺の「なんでもかんでもシリーズ化せな」とか言うのと違う辺りが、Lunarシリーズを「伝説的な名作」化しちゃった要因の一つなんだと思う。続きをやるにせよ、何らかの軸となるコンセプトが見つからない限り、Lunarの3作目はありえないのだ。

ってな辺りがLunarの概要なんだが、個人的なこのゲームへの評価を。
実は個人的には続編のEternal Blueの方が好きだ。ゲームとしての完成度はEternal Blueの方が上だと思っていて、こっちのSilver Starはまだ未成熟な部分があるな、と感じている。まず許せないのが、Divaがテーマの癖にオリジナルのメガCD版のオープニングシーケンスの歌がクソだ、と言う辺り(笑)。クソが言い過ぎなら、よく言って「ダサい」(笑)。ダサい歌が流れるので気持ちがヘナヘナするのである。GBA版だとこの辺がバッサリ消えているので好感触である。
ただ、この辺は多分製作者もそう思っていて、そういうわけで、このSilver Starは移植される度にタイトルが変わる、と言う謎修正が入ってるんだろう。多分オリジナルとどっか変わってるんじゃなかろうか。全バージョンやったワケじゃねぇから知らんけど。いずれにせよ、Eternal Blueの完成度とは大違いである。
他に、これはLunarシリーズ二作にある程度共通してる事なんだけど、NPCとの会話での自キャラ群の(特にLunarのナルとか)ツッコミが結構煩い。会話に対するリアクションなんだが、これが長いし、テンポが悪くなる原因となっている。多分、当時のCD-ROMでの大容量を活かして、テキストを大量にしたい、ってのがあったんだろうけど、割に頻繁にツッコミ反応が出てくるので、人によってはウザい、って感じるだろう。まぁ、シナリオの出来の良さから考えると欠点らしい欠点ではないんだけど。

と言う前提で、GBA版の良さ、悪さについて話を始める。実はこの移植は結構思い切った移植である。そもそも「CD-ROMの特徴を活かす」前提で企画されたゲームをカートリッジに移植する、ってのは難易度が高い。なんせ、ボイスは削除され、アニメも削除されるのが前提だから、だ。しかしこの辺は割に問題なく行われている。そもそもLunarは良シナリオなので、アニメにおんぶに抱っこのゲームではない。それが無くても充分魅力的なゲームシナリオなのだ。逆にCD-ROMやDVD-ROMにありがちなローディングによるテンポの悪さが無くなっている。アニメも無くなって一枚絵(多分PS版かセガ・サターン版から引っこ抜いて来た?)になってるが、全然この辺は問題ではない。同じ、CD-ROM前提のゲーム、PCエンジンの天外魔境シリーズとは違うのである(個人的には、こっちはダメゲームの見本だと思う)。


ストーリー自体は大まかには変更がない。原作だと、ルーナは、主人公アレスが育った島に滞在したままで「応援してるわ。私ここで待ってるわ。」状態だったと思うんだけど、GBA版だとアレスに同行して、その後攫われる、に変更されてる。がまぁ、大した違いではないだろう。
あと、システム的に大きく変更されてるのが、いわゆるRPGのフィールドが無い。行き先を選択する、と言う風に変更されている。これも、元々シナリオ自体が一本道なので、大した変更にはなっていない。ただ、これは同時に欠点でもあって、まるでずーっとダンジョンばっかプレイしてるように錯覚させる。この辺は好みの問題だろう。
では次。悪いトコを挙げてみよう。
原作はヌルゲーと言って良い難易度だったんだが、難易度が上がってると思う。パーティは全般的に攻撃力が無い。結果、敵が硬くなってる印象。ゲージが溜まらないと必殺技が使えない感じになってて、なおかつゲージがあまり溜まらない、ってカンジなのだ。


あと、移動時の接触判定が緩かったり、一方カッキリしないとハマらなかったり、とか不安定なカンジで、結果、敵とのエンカウントが避けられなかったりする。ちょっとその辺はイライラするデキだ。
他には、なんの為にあるんだか分からん武器/防具シリーズがあって、特にミア用の「マジカル」シリーズ。攻撃でヤカンやタライが降ってくる、と言うような、往年のドリフみたいな攻撃を噛ますんだけど、攻撃力が全然無いんで、一体誰得なんだ、ってなシリーズになってる。これは必要なんか?なんかその辺の「改変」がちっとも意味が分からない。
Eternal Blueに比べると、正直、Lunarの全体的な印象が薄いんで、懐かしさもあってプレイしてみたが、万人向けかと言うとちょっと難しい移植かもなぁ、ってのが全体的な感想です。まぁ、角川書店が関わってない辺りはポイント高いけどね(笑)。


ドラマ的なメッセージとしては「皆で力を合わせれば」的なアレってのはやっぱ子供向けかもなぁ、とは思います。Eternal Blueのように、「個々がそれぞれの問題を超えて成長していく」の方がドラマ的にはやっぱ良いかも、ってのを再確認致しました。
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