一週間も開いてしまったけど前回の続きを。
PC-E NIKKOR 24mm 1:3.5D EDの簡単なテストをしてみたよ。
先週の仕事の前にピントのチェックは済ませてあったので既に実戦投入済みだ。
第一印象としてはかなりイイ!!って所だ。
以前は撮影というと4x5(4インチ x 5インチ)のカメラを使って撮影する事がほとんどだった。
今や時代はデジタルに移行してほとんどの撮影はデジタルになってしまった。
なぜ4x5が多かったかというと”あおれる”からだ。
仕事的に住宅系が多いので、あおれないのは致命的だ。
今は後処理でフォトショップを使って直せるので4x5の必要はあまり無くなった。
ただやはり画素数的に厳しいとなればやっぱり4x5は全然比べ物にならないので使う必要が出てくる。
一般的写真での”あおる”という意味は二つある。シフトとティルとだ。
また長くなるので今回はそのうちの一つの検証。
まずシフト。
厳密に言えば横方向のシフトと縦方向のライズ、フォールがある。
簡単に言ってしまえば文字通りレンズをずらすのだ。
普通のレンズはレンズの写る範囲はそのカメラに使うフィルムなりCMOSなりCCDに合わせてギリギリに作られている。
余裕を持って作られている物もあるけどやっぱり無駄にレンズが大きくなってしまうので少ない。
この手のPCレンズはその写る範囲が大きく作られている。
ファインダーをのぞいた時に見える範囲よりももっと外に大きく写っているのだ。
それをレンズに付いたつまみでレンズ自体をグリグリと移動させてやるとその外側が写るのだ。
どういう時に使うかって事だけど写真を見ながらの方が分かりやすいのでまずこちら。
これは全くあおらない状態で撮影した物。
建物が高いので一番上まで入れようとするとカメラを上に振らなければならない。
そうすると上すぼまりのパースが付いてしまう。
表現とすればこれはこれで迫力が出てくるんだけど建築写真としては頂けない。
上すぼまりにならないようにするんはカメラを垂直に構えなければならない。
ただそうすると下のように上まで写らないよね。
カメラはこの状態でレンズを上にグリグリと移動(ライズ)してやると上が入ってくる。
おう!素晴らしい!!
こうすれば垂直も水平も出ているまっすぐ立っている建物の写真が撮れる。
もちろんレンズが回転するようになっているので縦方向でも出来る。
これも同じくあおらない状態の写真。
同じ位置でカメラを垂直にしてレンズを上にライズしてやるとちゃんと上まで入ってくる。
ただこの画面ではレンズの限界が写ってしまっている。
黒いふちはレンズのふちだ。
レンズ自体は11mmシフトできるようになっているんだけど長辺にこれだけのシフトを加えてやるとダメという事が分かる。
ちなみに上記は両方とも限界の11mmのシフトだ。
絞りによってふちの大きさは決まってくるんだけど(絞りが浅い方がエッジもぼけるので写る範囲は広がった。)周辺のピントの事を考えたり周辺の明るさの落ちを考えるとある程度は絞って撮りたい。
検証したところあおらない状態なら開放でもほぼ満足のいく画質だった。
ピークはf8あたりだと思う。個人的にはf16まで問題なく使用できそう。
それ以上絞ると逆にピントは甘くなってくる。一応f32まであるんだけど非常用かな。
もともと広角なのでそんなに絞らなくてもパンフォーカスになるしね。
で、フォトショップでパースが簡単に直せるこの時代にこのレンズの価値は?という事になるんだけど、、、。
まず後処理でやろうとするとパースを直す時に切られる部分が出てくるのでよけいに広めに入れておかなければならない。
しかも結構余裕を見たつもりでも入らなかったりという事が多々ある。
そしてパースを直す際にピクセルを引っ張ってのばして行くので当然画像は荒れる。
現場ではファインダーでギリギリの画作りをする事が多いので入らなかったというのは致命傷になりかねない。
それを後処理に頼らずファインダーの中で完成できる事の安心感は全然違う物になる。
実際どのくらい画像が荒れるか検証してみた。
左がレンズであおって撮影したもの。
右があおらず撮影してフォトショップで垂直を出してパース感が同じになるように変形をかけたもの。
やっぱり見た目で分かるほど差が出ている。
特に向かって右側の斜めの線がフォトショップで直した物はどういう風にもとの線があったのかすら分からない。
シャープネスもかなり悪い。
ただここで驚きなのはレンズの本当に端に当たるこの部分でここまで解像するこのレンズだ。
ちなみに絞りはf11。
ただ開放で撮ったものもあるんだけど思いのほか印象は変わらないんだな。これが。
Nikonのレンズの技術は恐ろしい。
ただ今のところこれらのレンズの性能を限界まで引き出す高画素機がまだ無い。
今月の20日とか来月の1日にD3xが出るかもなんて言う噂でいろいろと盛り上がっているけど本当にもう待ちくたびれたよ。
次回はもう一つのあおりティルトの検証したい。できるといいなぁ~。