STAY

SMAPが出演した番組レポメインなブログです。たまに、ドラマや映画の感想などもあり。

『その夜の侍』※ネタバレ注意

2016-12-21 22:40:17 | 映画
<あらすじ>
東京のはずれで小さな鉄工所を営む中村健一(堺雅人)は、
5年前、トラック運転手に最愛の妻久子(坂井真紀)をひき逃げされた。
死んだ妻の思い出から抜け出せず、
留守番電話に遺された妻の声を延々再生しながら糖尿病気味にも関わらず甘いプリンを食べ続けている。
喪失感を抱え絶望的な毎日を過ごす中村に、従業員の久保(高橋努)や佐藤(でんでん)たちは、
腫れ物に触るように接するしかない。
久子の兄で中学校教員の青木(新井浩文)は、
中村を早く立ち直らせようと、同僚の川村(山田キヌヲ)と見合いをさせるが、
中村は「僕なんかあなたにふさわしくない」と新しい人生に向かうことを拒絶する。

一方、久子をひき逃げした犯人、木島宏(山田孝之)は、
2年間の服役後、ひき逃げトラックに同乗していた腐れ縁の友人小林(綾野剛)の家に転がり込んでいる。
そんな木島のもとに、1ヶ月前から「お前を殺して俺も死ぬ。
決行まで後○日」という無記名の脅迫状が連日執拗に送られてきていた。
決行日は木島が中村の妻を轢いた日で、もう数日後に迫っている。

木島から脅迫状のことを知らされた青木は、脅迫状を送っているのは中村と察し、
復讐の決行をやめさせようとするが、中村を前にすると何も言えなくなってしまう。
そんな中、中村は鉄工所の仕事の合間、
包丁をしのばせた袋を手に毎日のように木島をストーキングし続けていた。
決行前夜。ラブホテルでホテトル嬢のミカ(安藤サクラ)と過ごし、虚しさをさらに募らせる中村。
一方、木島は復讐を思い留めさせられない青木に腹を立て、
生き埋めにすると脅すのだった。そして決行日の夜。
台風の激しい雨が町を覆っている。歩き回ったあげく、
人気の無いグラウンドまでやってきた木島は、
闇の中、後を追いかけてきた中村と遂に対峙する……。



めちゃめちゃ赤堀作品だな!
というのがまず。
感覚系でわかりにくいジャンルなんですけど、
『アメリカ』(「演技者。」2002年)が大好きなので、
こういう系なんかすごくイイとなりました。

人は呆気なく死んでしまうけど、「殺す」ことはなかなか難しい。
そんなことを考えさせられました。
最初の交通事故のところとかめちゃくちゃリアリティがあって、
逃げちゃう気持ちもわからなくはない…わかっちゃ駄目なこともわかっています(-_-;
木島はサイコパスって感じなので除外するとしても、
同乗していた小林が木島に従ってしまう感じとか、
間違っていてもやってしまいそうだなと。
だから許されるということではなくて…う~ん。
なんでしょうか、追い詰められた人のパニックゆえの過ちを、
第3者があーだこーだという感じが好きじゃないだけなのかも。

奥さんを轢き逃げで亡くし、
その犯人を殺して自分も死ぬことだけを考えて生きている主人公の中村より、
山田孝之くん演じる轢き逃げしたクズの木島が魅力的に思えたなど…。
ほんとにクズはクズなんですけど。
そんなクズから離れられない中途半端に常識と善良さを持った綾野くんの小林。
恐れて嫌悪しながらも魅了されてしまっているからなんだろうなと。
なんでしょう、クズも振り切れると魅力に!?

公開当時の堺・山田・綾野の3人並びの短いインタビューの中で綾野くんが、
「最後、2人が確かめあえて良かった」と言っていたのが本当に的確なコメントで、
あの雨の中のやり取りは間抜けに見えるけど切実で哀しく…。
木島の1ヶ月の食生活を読み上げた後、
「君は本当になんとなく生きているね」×2(曖昧)
の台詞にこめられたものは、
自分の人生を犠牲にしてまで殺す価値のない存在だということであり、
木崎はずっと底辺でクズのまま生きていくであろう確信なんだろうなと。
それを認めたくない、受け止めたくない木島は中村を無視して、
唐突に友達(小林?)に電話をかけてカラオケに行くことにする。
最後まで卑怯に逃げていくのが描かれているのがすごいなと。

スッキリする終わり方ではまったくありませんし、
堺さんがとっても小汚ない中年男性だったりして万人にお薦めできませんが、
心に残る作品でした。


ではでは

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。