まだ小さかった頃だったけど、
母にバスに乗せてもらい一人で
祖母の家までよくお泊りに行っていました。
祖母の家は海まで歩いていける場所で
家の周りにはいつもワカメみたいな香りが漂っていました。
祖母の家の夕暮れどきはお豆腐屋さんのパープー、
テレビから聴こえてくる行司の声と
アルミの鍋から広がるお醤油とショウガの香り、
お釜で炊くご飯の湯気の香りが入り混じっていて、
昭和の板の間の上には
なんともせつない薄暗い夕陽が落ちてくるのです。
祖母と一緒にお風呂に入り
お風呂上がりには髪をくしでとかしてくれます。
何故かいつもピチーっと、七三分けでした。
いよいよ晩ご飯です。
蛍光灯に照らされたちゃぶ台の上には
まっ白なご飯とおみそ汁、
そしてお魚の煮つけやらなんやらでした。
お魚食べんと賢くならへんよ。。。といいながら
祖母はこのお魚の煮つけがたぶん大好物だったのだと思います。
祖母と食べるご飯は美味しかった。
次の日の朝ごはんの時でした。
祖母がなにか変なものを食べているのです。
冷んやりとした器のなかにぷるんとした茶色いものがあって
それをご飯の上にのせて食べているのです。
何やの、それ?
少しシャイだった祖母は恥ずかしそうに笑いながら
少しだけ私のご飯にのせてくれます。
温かいご飯に載せられたそのぷるんは
口に入れればとろっととろけるように・・・
思わず口をきゅっと結び
さも口の中に秘密めいた宝物でも入ってしまったように
目はすっかり細い上弦の三日月さまになってしまうのです。
これはお魚の煮つけをした後に残る
わずかな煮汁でした。
お魚の皮にあるゼラチン質が冷蔵庫の中でぷるんと固まったもので
ちょっとした煮こごりです。
昭和のご飯の残り物で私が知った美味しい晩ご飯の残り物。
優しくシャイだった祖母を思い出す晩ご飯の残りものは
美味しいものがありました。
天ぷらもそうでした。
翌日、冷蔵庫の中で冷たくなったレンコンの天ぷらほど美味しいものはありません。
冷たくなった天ぷらにチッてお醤油をかけて
熱いご飯と一緒に、シャキシャキって。
ああ、今晩は何にしよう。
母にバスに乗せてもらい一人で
祖母の家までよくお泊りに行っていました。
祖母の家は海まで歩いていける場所で
家の周りにはいつもワカメみたいな香りが漂っていました。
祖母の家の夕暮れどきはお豆腐屋さんのパープー、
テレビから聴こえてくる行司の声と
アルミの鍋から広がるお醤油とショウガの香り、
お釜で炊くご飯の湯気の香りが入り混じっていて、
昭和の板の間の上には
なんともせつない薄暗い夕陽が落ちてくるのです。
祖母と一緒にお風呂に入り
お風呂上がりには髪をくしでとかしてくれます。
何故かいつもピチーっと、七三分けでした。
いよいよ晩ご飯です。
蛍光灯に照らされたちゃぶ台の上には
まっ白なご飯とおみそ汁、
そしてお魚の煮つけやらなんやらでした。
お魚食べんと賢くならへんよ。。。といいながら
祖母はこのお魚の煮つけがたぶん大好物だったのだと思います。
祖母と食べるご飯は美味しかった。
次の日の朝ごはんの時でした。
祖母がなにか変なものを食べているのです。
冷んやりとした器のなかにぷるんとした茶色いものがあって
それをご飯の上にのせて食べているのです。
何やの、それ?
少しシャイだった祖母は恥ずかしそうに笑いながら
少しだけ私のご飯にのせてくれます。
温かいご飯に載せられたそのぷるんは
口に入れればとろっととろけるように・・・
思わず口をきゅっと結び
さも口の中に秘密めいた宝物でも入ってしまったように
目はすっかり細い上弦の三日月さまになってしまうのです。
これはお魚の煮つけをした後に残る
わずかな煮汁でした。
お魚の皮にあるゼラチン質が冷蔵庫の中でぷるんと固まったもので
ちょっとした煮こごりです。
昭和のご飯の残り物で私が知った美味しい晩ご飯の残り物。
優しくシャイだった祖母を思い出す晩ご飯の残りものは
美味しいものがありました。
天ぷらもそうでした。
翌日、冷蔵庫の中で冷たくなったレンコンの天ぷらほど美味しいものはありません。
冷たくなった天ぷらにチッてお醤油をかけて
熱いご飯と一緒に、シャキシャキって。
ああ、今晩は何にしよう。