「現代産業情報」 2005月12月15日号
●特定勢力に歪められた耐震偽装事件の「実像」
日本中をノイローゼに陥らせている感のある耐震偽装事件だが、妙な闇を垣間見せているのが、「創価学会=公明党」の作為的な動きだ。
与党の一角である公明党が、本来的な事件解明の立ち上がりに横槍を入れるような動きをし、これに国土交通相の幹部官僚たちが妙に呼吸を合わせたため、実像から離れた政治的な事件としての色彩を持ってしまった。
偽装実行犯である姉歯秀次・元一級建築士が学会員であるため、初期段階で公明党、北側一雄国交相が神経質な反応を示したことは、主に雑誌メディアに報じられている通りである。
姉歯氏に加え、創価学会のホームページに、主要就職先として危険マンションを販売していた『ヒューザー』が記載されていたことも、学会側に無用の過剰反応を招いた。
監督官庁である国交省としては、「姉歯物件」「木村建設物件」「総研(総合経営研究所)物件」「ヒューザー物件」を粛々と洗い出して再検査し、不備のあるものについては当事者に補償させるよう淡々と行政の立場から指導するのが本来の姿だった。いわば“交通整理”である。
「まずは、事実関係や責任の所在をキチンと解明するのが筋。それがなされなければ、正確な補償のスキームが描けませんから。ところが幹部たちの動きは逆でした。ともかくまず補償、支援だと」
こう証言するのは国交省の中堅幹部である。「大臣の意向を受けての行動だったとみられます。支援策に力を入れることは誤りではありません。しかし問題は、事実関係の解明に全く注力されなかったことです」
学会=公明党が、自身に火の粉が降りかからぬよう、「被害住民」の懐柔によって事を納めようと形跡は、関係者たちの証言によって明らかである。悪質なのは、補償によって問題をすり替え、事の本質である「学会隠し」さえ、行なおうとした節が見受けられるのだ。国交省関係者が明かす。
「初期段階できちんと動いていれば、かなりの事実関係が把握できたはずなのです。しかし、省上層部はそれを許さなかった。実は警察庁から『事実関係を警視庁とよく詰めて欲しい』と、度重なる要請があったのですが、上層部は『支援策で忙しい』と、これを棚上げしていたのです」
偽装事件を通じて浮かぶことは、「政治」に気兼ねする高級官僚たちの邪さである。毅然と事務を遂行しようという崇高さは感じられず、特定団体の利益にしか目の行かない大臣所属政党の意に擦り寄っていくいやらしさである。
これが、本来は単純であったはずの事件を、複雑なものにしてしまった。その罪は重い。
救いは、課長、補佐級の中堅幹部の中に、幹部の政治的立ち回りへの批判勢力が存在することだ。彼らが中核となり、姉歯元建築士が関与した分以外の「木村建設物件」「ヒューザー物件」「総研物件」の洗い出しが始まった。
遅ればせながら、ではあるものの、実像を歪められた偽装事件の全体像解明につながる本格的作業である。
横や縦に問題が拡大することを嫌がる幹部勢力が、或は横槍を入れてくるリスクも否定できない。しかし、特定利益団体に牛耳られた観のあるこの国の建築行政を、正常化できるか否かを占う水面下の攻防ともいえる。
●特定勢力に歪められた耐震偽装事件の「実像」
日本中をノイローゼに陥らせている感のある耐震偽装事件だが、妙な闇を垣間見せているのが、「創価学会=公明党」の作為的な動きだ。
与党の一角である公明党が、本来的な事件解明の立ち上がりに横槍を入れるような動きをし、これに国土交通相の幹部官僚たちが妙に呼吸を合わせたため、実像から離れた政治的な事件としての色彩を持ってしまった。
偽装実行犯である姉歯秀次・元一級建築士が学会員であるため、初期段階で公明党、北側一雄国交相が神経質な反応を示したことは、主に雑誌メディアに報じられている通りである。
姉歯氏に加え、創価学会のホームページに、主要就職先として危険マンションを販売していた『ヒューザー』が記載されていたことも、学会側に無用の過剰反応を招いた。
監督官庁である国交省としては、「姉歯物件」「木村建設物件」「総研(総合経営研究所)物件」「ヒューザー物件」を粛々と洗い出して再検査し、不備のあるものについては当事者に補償させるよう淡々と行政の立場から指導するのが本来の姿だった。いわば“交通整理”である。
「まずは、事実関係や責任の所在をキチンと解明するのが筋。それがなされなければ、正確な補償のスキームが描けませんから。ところが幹部たちの動きは逆でした。ともかくまず補償、支援だと」
こう証言するのは国交省の中堅幹部である。「大臣の意向を受けての行動だったとみられます。支援策に力を入れることは誤りではありません。しかし問題は、事実関係の解明に全く注力されなかったことです」
学会=公明党が、自身に火の粉が降りかからぬよう、「被害住民」の懐柔によって事を納めようと形跡は、関係者たちの証言によって明らかである。悪質なのは、補償によって問題をすり替え、事の本質である「学会隠し」さえ、行なおうとした節が見受けられるのだ。国交省関係者が明かす。
「初期段階できちんと動いていれば、かなりの事実関係が把握できたはずなのです。しかし、省上層部はそれを許さなかった。実は警察庁から『事実関係を警視庁とよく詰めて欲しい』と、度重なる要請があったのですが、上層部は『支援策で忙しい』と、これを棚上げしていたのです」
偽装事件を通じて浮かぶことは、「政治」に気兼ねする高級官僚たちの邪さである。毅然と事務を遂行しようという崇高さは感じられず、特定団体の利益にしか目の行かない大臣所属政党の意に擦り寄っていくいやらしさである。
これが、本来は単純であったはずの事件を、複雑なものにしてしまった。その罪は重い。
救いは、課長、補佐級の中堅幹部の中に、幹部の政治的立ち回りへの批判勢力が存在することだ。彼らが中核となり、姉歯元建築士が関与した分以外の「木村建設物件」「ヒューザー物件」「総研物件」の洗い出しが始まった。
遅ればせながら、ではあるものの、実像を歪められた偽装事件の全体像解明につながる本格的作業である。
横や縦に問題が拡大することを嫌がる幹部勢力が、或は横槍を入れてくるリスクも否定できない。しかし、特定利益団体に牛耳られた観のあるこの国の建築行政を、正常化できるか否かを占う水面下の攻防ともいえる。