雑木帖

 ─ メディアウオッチ他 ─

「共謀罪」 メディアには舞台裏を明かす義務

2006-05-10 00:38:34 | 政治/社会
 今日(9日)のTBSの『News 23』で、大谷昭宏氏が今衆議院法務委員会で審議されている「共謀罪」法案について、とても的確なまとめをしていた。
 大谷氏はテレビ朝日の『サンデープロジェクト』で、特集企画として「共謀罪」の取材・調査をやっていたフリージャーナリストでもあり、『サンデープロジェクト』でその特集の放送が未だおこなわれない中でのコメンテーターとしての出演、発言だった。

 テロ、国際組織犯罪などを取り締まる国連の条約にかこつけて、日本国内の道交法から著作権までをも含む600を超える刑法を適用範囲とし、法案の性質から盗聴などの監視を基盤とする、市民を広範囲に取り囲むこういう法案を、誰が何の目的で推進しようとしているのか、というような疑義も出ている。
 政・官・財のいくつかの権力集団の利益(タテマエではいいことを言うが実態は私利私益)が合致する、というのがこういう場合での常といえるようだが、何故、新聞・テレビ・雑誌などのメディアが、ほんとにごく一部を除き、揃いも揃ってこの「共謀罪」について沈黙をしていたのか、また未だ沈黙をしている者もいるのか、その舞台裏を明かす義務がメディアにはあるのではないのだろうか。

  「共謀罪」衆院法務委員会の一部 桜井よしこ他 2006/05/09
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  ライブドア・ニュース 今日のシングルイシュウ「共謀罪」投票
 8日夜


 9日朝


 9日最終結果(投票は終了)



Yahoo!投票 「共謀罪」
 9日朝


 9日夜



 追記。
 AMLからの転載。

 共謀罪の行方に関心を寄せるすべての方へ
 東京共同法律事務所 海渡雄一

1 今日の参考人質疑について
 今日の参考人質疑を傍聴しました。
 参考人の意見では、与党修正案の問題点がかなり明らかになりました。たくさんの新聞が報道してくれています。
 一例として東京新聞の記事を引用しておきます。
 http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060509/eve_____sya_____005.shtml

 それにしても、ひどかったのは中央大学の藤本哲也氏の公述です。
「法の規定に多少のあいまいさが残っても仕方がない、取締機関の運用の善意に委ねるしかない。」というのは、刑法の罪刑法定主義とか、構成要件の保障機能といった、刑事法の基本概念すら否定する俗論で、あきれるばかりでした。
 また、同氏は民主党の主張するような条約の留保はできないと繰り返し述べました。
 しかし、ウィーン条約法条約によれば、条約の趣旨目的に反しない限り、条約の留保は可能です。この条約の趣旨と目的は「国境を超える組織犯罪集団による重大犯罪の防止」にあります。条約の適用範囲を定める条約3条には条約は越境性のある犯罪を適用対象とすることが明記されているのです。条約の34条1項にはこの条約は各国が国内法の原則にしたがって実施すればよいことを明言しています。したがって、越境性を要件とすることは条約の趣旨にも目的にも反しません。条約の34条2項を留保すれば疑いの余地なく可能です。

 また、対象犯罪についても、刑期だけで重大犯罪を規定することには、多くの国々から反対があり、日本政府も日本の刑法は法定刑の範囲が広いので、条約審議の場で組織的な犯罪集団に関連した犯罪をリスト化することを求めていたのです。ですから、長期5年を超える越境犯罪に限定する民主党案は、条約の重大な犯罪の定義部分に留保ないし解釈宣言(ウクライナ政府は5年をメルクマールとする解釈宣言を行っている)すれば、認められることは明らかなのです。

2 金曜日の院内集会は午後5時30分から
 この参考人質疑における高橋氏と櫻井氏の意見の成果もあったのか、本日の昼の法務委員会理事会では話し合いムードも一時期流れたようです。このあたりの状況は保坂展人議員のブログで確認して下さい。

 しかし、与党側がどこまでまともな抜本再修正を考えているかは、疑問符で、やはり水曜日か金曜日には強行採決という流れは変わっていません。特に根拠はないですが、おそらく明日は強行採決はないと思います。やはり金曜日が危険です。



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
それで (それで)
2006-05-10 02:25:16
それであなたは、どういう裏があると考えているのですか?
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 (ゆりかりん)
2006-05-10 19:20:54
こういう、どこのウマの骨か知らないけど、自分の頭じゃ考えが及ばないからって、自らの主義主張も示さず、すぐに誰かにその答えを委ねたがる挑戦的な手合いがいるから、本当にやんなっちゃいますよね。



・・・ということで本題。

これほどまでに『共謀罪』の法制化を望まないシェアが高いにも拘らず、もし強行採決されたら、これはもう民主主義が崩壊した・・・・・というよりも、民主主義は幻想だったのだ!・・・ということを証明する根拠を露呈する結果となりますね。

それじゃなくても、ここのところ、やけに民意とは全く逆の法案が強行施行され過ぎている気がします。

これってまさに、体制側が、「近々国民が暴動でも起こしかねないような社会になる」という危機感を抱いている証拠というか、そういう社会がいつ何時来ても安心なように、必死で防御線を引いているという風にしか見えませんね。

・・・・・かの共産主義国家にも匹敵するような独裁国家へと邁進する足音が聞こえてきそうです。
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それで さん (雑木帖@管理人)
2006-05-10 22:37:16
> それであなたは、どういう裏があると考えているのですか?



僕のほうこそ知りたいのですが…(笑)

書いたように、政治屋・検察・公安・警察・財界などそれぞれの集団によって思惑などは違うだろうと思います。そうそう、もう一つ、盗聴や付きまとい行為常習犯の「創価学会=公明党」という恐~い集団もおりました。

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ゆりかりん さん (雑木帖@管理人)
2006-05-10 22:57:16
> 民主主義は幻想だったのだ!・・・ということを証明する根拠を露呈する結果となりますね。



庶民にとっては大きな学習にはなっても、とてつもなく高いものにつきますね。



> 「近々国民が暴動でも起こしかねないような社会になる」



森永卓郎氏がフランスのストやデモに関する論説のなかで、雇用面でも日本はフランスと同じようにアメリカ化が進んでいるのにストもデモも起きない。彼はこれに逆に危機感を表明しています。遅れて爆発した時は、その分、半端ではなくなるのかもしれませんね。



「共謀罪」って、ブッシュ・ドクトリンともいわれる「先制攻撃論」なのですが、市民を相手に先制攻撃して、いったい何を守るのか?と考えると、これはもう体制側の様々な権力、利益でしかないわけで(笑)

困った世の中になりましたね。

今日『週刊文春』と『週刊新潮』が出ましたが、そこにも共謀罪関連の記事は皆無です。今日はスポーツ新聞にすら記事が載ったのに。

週刊誌だけ読んでいたら、「キョーボーザイ?何それ?」の世界になります。雑誌ジャーナリズムには少し期待を抱いてきたので、ちょっと考えてしまいます。



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共謀罪新設 日本は密告社会に? スポニチ 2006/05/10

http://www.sponichi.co.jp/society/news/2006/05/10/01.html



 衆院法務委員会は9日、「共謀罪」新設を柱とした組織犯罪処罰法などの改正案について参考人質疑を実施し、学者らが意見陳述した。自民党の青木幹雄参院議員会長からは同日、国会採決での強硬手段も視野に入れるような発言があったが、夜になって与党は民主党に対し「労働組合その他の団体の活動を妨げない」と条文に明記するなどの譲歩案を提示。与野党の攻防を激しくさせる「共謀罪」とはどんな法案なのか…?



 共謀罪は、犯罪が実際に行われなくても謀議に加わるだけで処罰可能な内容。専門家によると、個人用に購入したCDをコピーして友人に譲ることを提案し、みんなが合意した場合、実際にコピーしなくても著作権などの侵害の共謀罪が適用される恐れがあるという。 市民団体や日弁連から不安と反対の声が上がっている。



 日弁連はホームページ上で「日弁連は共謀罪に反対します」とし、リーフレットでは事例を掲載。「同じ団体=会社でもNPO法人でもよい=に属するAとBがCを“やってしまおう”と合意したとします」と紹介。これだけで共謀罪が適用される可能性を指摘。「この会話の意味はあいまいですが、捜査機関はAとBにはこの段階で殺人、傷害などのいずれかの共謀罪が成立すると考えるでしょう」としている。



 実行前に自首した場合、刑が減免される規定があり、このことにも警戒感が強い。スパイや密告社会を懸念する声は多く、「表現・言論の自由を侵害する」との批判も。



 そもそも共謀罪創設のきっかけは、日本も署名した「国際組織犯罪防止条約」。テロなど国際化した組織犯罪防止のため、00年の国連総会で採択されたもの。同条約は参加国に共謀罪を設けることを求めている。「日本は619もの罪を対象にしている。こんなに多いのは日本しかない」という専門家の声もある。



 法案は過去に2度廃案。03年の通常国会に提出後、同年10月の衆院解散で廃案に。その後、05年の通常国会も衆院解散で廃案。05年秋の特別国会でも継続審議となっていた。



 ホームページ「共謀罪ってなんだ?」を開設し、法案内容に慎重な審議を求める市民の有志「リボンプロジェクト・リミックス」の今村和宏さん(50)=大学教員=は「政府与党は、一般市民や一般市民団体には適用しないと主張するが明文化されておらず、一般市民にも及ぶ恐れが消えない」と怖さを指摘している。

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