原題 Nocturnal Animals
今は近くの映画館まで見に行くべき映画があまりないので、u-nextで視聴。
Jake Gillenhaal と Amy Admas主演の映画です。
この映画は現実の世界、過去の世界そして小説の中の世界が入り混じって描かれています。スーザンと元夫エドワードの時間、スーザンと今の夫の時間及びスーザンの時間そして小説の内容の3つの世界が描かれています。
一言で言って、じっくり見る映画、です。また、一回見ただけでは映画の意図するところがわからないかもしれません。Jakeの「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う/ Demolition」のように、解説を必要とする映画。ながら見していては、映画のテーマがわからなくなります。そのため、一つのセリフも聞き逃すことができません。
一見、女に捨てられた男の復讐物語にも見えますが、そんな単純な話ではありません。
その全てがわかるのが、映画のラストではないでしょうか。エドワードが来るのをじっとレストラン(これ、日本料理店❓でしょうか❓)で待つ主人公のスーザンの悲しげな眼差しに、この映画のすべたが凝縮されているのではないのかと思われます。
それにエドワードがスーザンに投げかけるこの言葉。
「愛しているんだったら努力しろ」
この一言がエドワードの気持ちの全てを表しているのではないでしょうか。スーザン、君はすぐに諦める、なぜ努力しないんだ。なぜ、反抗しないんだというエドワードの叫び。
そういう彼の気持ちがこの小説を書かせたのかもしれません。
この言葉、それ以上に何か世界に訴えているような感じもします。この言葉にドキッとした人もいるのでは❓仕事や恋愛や夫婦生活にも、ダメになりそうだったらすぐ次!というパターンも多いので、または恋愛に限らず、すぐに別の何かを探している人も多いかもしれないので、この言葉、意味が深いような印象です。
この小説を通してエドワードが言いたかったこと、それをこの悲しげな目をしたラストのスーザンは理解ができたのでしょうか❓
ついでに私の人生はどうだったのか、なんて考えさせられました。
nocturnal animals とは直訳すると、夜の獣たち。また夜行性の動物とも捉えられます。また、これはスーザン自身のことと考えられます。そのことは映画の中でもスーザン自身が話しています。不眠症のスーザン、だからエドワードにNocturnal animalsと言われたていたとスーザンが告白するシーンがあります。ですから小説のタイトルがこのnocturnal animals だとすれば、小説の全て内容がスーザンのことを描いているのではないのかとも考えられます。
そんな経過もあって、エドワードから送られてきた本の表紙に書かれていたこの言葉を見たスーザンは一体どう思ったのか。そして、その小説を読み進むうちに一体何を考えていたのか。その気持ちが恐ろしいくらいわかるような感じ。
この映画には原作があって、そのタイトルは「トニーとスーザン」。トニーとは、劇中の小説に出て来る主人公の名前です。前夫エドワードではなくトニーなんです。ですからこのタイトルからして、トニーとはスーザンなんだ、ということを暗に表していると思われます。
それにこの映画、視覚的効果がすごく良い。色でハッとさせられる場面が多いです。
特に母娘の死体の描写。真っ赤なソファーに腕を絡ませて横たわる母娘の死体。真っ赤な色に肌の桃色が非常に鮮やかで、とても衝撃的な印象を与えます。(本当に死体だったらそんなに肌の色はそんなに綺麗ではありませんがね。)また、死体役の人のボディーがとってもスタイルが良くて羨ましくなるくらい。
それに、オープニングもとっても衝撃的。こんなオープニングの映画ってあるかしら、というくらい。ここでは写真は載せられませんが。
また、スーザンはものすごいお屋敷に住んでいるのですが、全てがモノトーンで家庭、という感じを全く受けません。夫は破産そうだという話も出てきますし、その夫は浮気しているし、スーザンってこんな家に住んでいても心は満たされていないんだなということが伝わってきます。
感想を述べている人の中に、エドワードは死んでいてこの世にいないという人もいました。私も最初はそんな風に思っていましたが、冒頭、スーザンのお屋敷に車を乗りつける人がいました。その人はベンツのオールドタイプに乗っていて、いざ降りる、という時に場面が切り替わります。この人って、エドワードではないの❓だからエドワードって死んではいないのだと思います。
でも、一つわからないところが。
あの娘ってお父さんは誰?
スーザンはエドワードの子供を中絶したように描かれています。それは19年前。それからすぐに次の夫との間に子供出来たっていうこと❓ということは18歳かななんて思うのですが、それにしてはもうオトコと寝てました。18歳で、ずいぶん慣れた感じでしたが。では、中絶はしなくって実はこの娘はエドワードの子供なのかしら❓そしたら19歳❓
とにかく、一人一人のこの映画に対する感想が全く違います。
時間があってじっくり映画を見れる時にオススメです。
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