リンとキョータロー “大航海時代Ⅳ ~PORTO ESTADO~”より

男伊達 恋と友情
バーケンティンGet! 海賊からの戦利品にも注目! HD版情報も追記

画像:海をわたった日本人

第10章 雨降って地固まる (リンの覚書き)

2012年07月25日 | 日記
6月6日 大阪 軍事投資1230x29 シェア50% (鼈甲1091→2676 銀1850→2821)
・これで、マカオをのぞく東アジア全体のシェアが埋まった。
 あとは、流行にのって如何にシェアを奪い合うかだ。

・資金繰りが良くなったので、「陣太鼓」と「紀伊国屋のそろばん」を買った。
 以前から、キョータローと二人、それぞれに欲しいと思っていた品だ。

・キョータローが突然、酒場で仇の情報収集をしたいと言い出した。
 知り合って1年半、初めてあだ討ちの話が出た。
 交易商人として生きようとしているのかと思ったが、やはり武士。
 仇のことは忘れていなかったようだ。
 交易圏(財源)を確保してから仇の情報収集に乗り出すという深慮遠謀 捲土重来を期すやり方が気に入った!

 ユリアン 「リン、『捲土重来』ってなに?」       
 ユキヒサ 「おぬし、中国人のくせに漢字も読めんのか!」 
 ユリアン 「だって、家では、ポルトガル語使ってるもん!」
 リン   「まいったな、それにしても、てっきっりおぬしのおじい様は、
       良い女性を見れば口説くのが礼儀と心得るイタリアかフランス出身と思ったが、ポルトガル系だったとは・・」

 ユリアン 「なに、それ。もしかして、そういうことまで、リンは本で勉強したのか?」
 リン   「マデイラあたりで、その昔 『女の口説き方、必勝法!』なるものを購入したとかいう水夫を
       祖父に持つと言う者から譲り受けた本に書いてあったのだ」
 ユリアン 「あっ、その本の話、じっちゃんから聞いた!」

 ユキヒサ 「ケンドチョウライ、一度負けた者がふたたび勢いを盛り返して攻めてくることだ。
       ケンドとは、地面を剥(は)いで、むしろを巻くように、いやおぬしには絨毯を巻くようにと言ったほうが
       わかりよいかもしれんが、かたっぱしから領土を占領してくることを言う。
       杜牧の『題 鳥江亭 詩』にもあるぞ。」

 リン    「ユリアン、仮にも親子3代にわたって住んでいる地の文化や歴史にも興味を示したらどうだ。
        ただ住んでいるだけ。心は先祖の生まれた地にあるという考え方では、
        今住んでいる土地の者に対して、己をはぐくみ育ててくれた土地に対して、失礼だとは思わぬか?」

 ユリアン 「はい、はい、はい。日本人ってそういうところ、柔軟なんだよね。
       自分は変わらずなんでも飲み込んじゃって、相手にあわしていく。
       流されやすいんだか、頑固なんだか はたから見てわかりにくいよ。」

 「文化論はその辺で止めておけ。」キョータローが割って入った。
 「俺もリンの考え方に賛成だが、そういった考え方が他国の者に通じぬこともわかっておる。
  考えの通じぬもの同士論議をしても疲れるだけだ。」
 「それより うまい酒が飲みたい!」

 ユキヒサ 「失礼つかまつった。ユリアン殿、拙者の杯を受けてくださらぬか?」
 ユリアン 「ありがとう、いただきます」

「おぬしも飲め」 キョータローが、リンに杯を差し出した。
「すまぬな」 だれにともなくつぶやき リンが杯を干す・
「ごめんなさい、いつも、家で 学者だったじっちゃんに似たのは外見だけ、
 頭はさっぱりと言われていたもので、あなたにやつあたりをしてしまいました。」 リンに酒を注ぎながらユリアンはあやまる。
「そうか、悪かったな」杯を受け、リンが軽く頭を下げた。
「拙者も改めてお詫び申す」 ユキヒサが 再びユリアンに酒をつぐ。
「なにはともあれ、水に流して、飲もう飲もう!」キョータローが杯をあおった。


   画像:西楚 覇王祠 
    http://www.oct.zaq.ne.jp/afdlr005/page148.html#覇王祠より
 ・↑鳥江亭にある覇王(項羽)の祠(ほこら)など、項羽と劉邦にちなんだ遺跡の詳しい解説と写真が載っています!
 
 ・杜牧『題 鳥江亭 詩』とは、項羽が凱歌の戦いの後 長江のほとり鳥江(安徽省)にて再起を促されるも、
  討ち死にをえらんだことを 杜朴が惜しんで作った詩。
  詳しくは、http://www.rinku.zaq.ne.jp/bkcwx505/Kanshipage/KanshiNo5/kanshi64.htmlを
 ご覧ください。

 ・捲土重来という四文字熟語の使われ方について 面白いコメントを見つけました。
 http://k-kamaken.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/
 お目当ての記事に行き着くまで かなりページを下っていかなくてはならないのですが、内容が面白い!

 ・尚 捲土重来の語義と読みについては、「角川 新字源」(昭和53年120版)を参考にしています。