【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

今日(狂)の狂言 : 08月30日(金曜日) & 旅と文化の足跡が野帳

2024-08-30 05:10:10 | 浪漫紀行・漫遊之譜

★ 忘備忘却録/きょうの過去帳・狂 

◆ 夏山シーズンも終わるこの時期にとある変人気象学者が富士山に登って山籠りを始めた(1895年)からか、この日は冒険家の日。体力の限界に挑戦する小中高生の健闘を祈る前夜祭的意味合いが強い。 ◆ 第二地銀の業界トップと信用組合の業界トップが揃って突然死。「阪神大震災の後始末もまだなのにどういうことやねん」「利子5%の定期預金は大丈夫やろか」と店舗に預金者が殺到し、怒号も飛び交う中で従業員はサービス残業(1995年)。 ◆アホ太郎よりはバカなド鳩の方がマシという民意が示された日(2009年)。

◎ ◎ 第2回 教えられたのは自然とのつながりの大切さ /野心家だった父(エドモンド)のコンプレックス ◎ ◎

- - -Webナショジオ Webナショジオ・インタビュー ピーター・ヒラリー / ンタビュー・文=高橋盛男/写真=澤圭太- - -

=エドモンド・ヒラリーが人類初のエベレスト登頂は1953年。それから60周年を迎え、その初登頂をテーマにしたドキュメンタリー映画『ビヨンド・ザ・エッジ』が公開された。ヒラリーの子息で自身も登山家のピーター・ヒラリーさんの来日を機に、父の思い出や、今日のヒマラヤの現状などについて尋ねた。=

――ピーターさんが生まれたのは、エドモンドさんがエベレスト初登頂を果たした翌年の1954年ですね。もの心ついたころには、父親は世界的な有名人だったわけですが、偉大な父を持った息子の感想は?

 子どものころは、びっくりさせられることが多かったですよ。  たとえば、空港に行くと父のまわりに黒山の人だかりができて「サインをください」「写真を撮らせてください」とせがまれる。そんな場面はしょっちゅうでした。しかし、まあ、それが生活の一部で、私にとっても日常でした。

偉業を成し遂げた父に対する周囲の反応はポジティブなものだったし、私の受け止め方もそうでしたから、そのことで悪影響を受けるということはなかったですね。  父親が偉大だと、あえて違う道を歩く人もいると思いますが、私の場合それはなかった。むしろ、父に憧れました。

――その憧れはどのようなものだったのですか。

私が小さいころから、家にはたくさんのお客様が来ました。その多くは登山家です。アメリカ、ドイツ、イギリスなど、いろいろな国から登山家が父を訪ねてきて、我が家で食卓を囲んで、それぞれの登山体験を語り合うんです。その光景が、子ども心に鮮明な印象として残っています。私もそういうことをしたいと思うようになりました。

それから、父に連れられて山に登るようになってから思ったのですが、登山の一番良いところは一緒に登る人々、パーティとの人間関係ですね。  長い時間を一緒に過ごし、危険も喜びも一緒に体験しますから、人と人との結びつきが強いんです。そして、そこで培われた友情も長続きします。それが登山の魅力ですね。ただし、逆に登山中に人間関係にひびが入るようなことがあると、厄介ごとの種にもなるのですけれど。

――子どもに対しては、どういう父親でしたか。

 誰でも、子どもには少なからず冒険心がありますね。その意味からすれば、夢のような少年時代でした。父と一緒に、いわば冒険旅行に行けるのですからね。  父は常日頃から、自分が行きたいこと、やりたいことの企画ばかり立てていました。学校が休みのときに、いろいろなところに連れて行ってくれたと言いましたが、今度はあの山に登ろうとか、あの川でラフティングをしようとか。いつも企画につぐ企画。楽しいことばかり、次々と考え出す人でした。そのなかには、ヒマラヤに学校や病院を建てることも入っていました。

 父は、シェルパの村の生活環境を改善しようと、ヒマラヤ基金をつくり、現地に学校や病院を建てる事業に尽力しましたが、そういう施設の建設現場へ一緒に行ったこともあります。ともあれ、私たち家族、年に3回はものすごいところに連れていかれるんですよ。オーストラリア内陸部の砂漠地帯なんて、ふつう子ども連れの家族旅行で行くようなところではないでしょう。

――そういう冒険旅行を通して、ピーターさんが父親から学んだことは?

 徹底して教えられたのは「常に自然とのつながりを保っておくこと」ですね。そして「自然の中の美を見出すこと」です。それは、この年になった私がもっともだと思うことです。  父が体験を通して感じたのと同じことを、私も自身の体験を通して感じてきています。強く印象に残る登山、そこから得られる人間関係。また、登山は他者と同じ体験を共有できることにこそ、すばらしさがあると思います。それも父から教えられたことです。

 それともうひとつ。私たちは都市に住んで、ビルに囲まれた生活をしています。ものにあふれた複雑な仕組みの生活環境のなかにいるわけです。  けれど、人間が生きるうえで、そこまでのものは、本当は必要ないんです。山の上に行けば、眠るのはテントのなか、食べるのは携行食。簡易なすみかと少しばかりの食糧があれば、人間は生活できます。

 都市生活を否定するわけではありませんが、「人が生きる」とは最もシンプルにとらえれば、そういうことです。私は、そのシンプルな生き方を意識することの大切さを父に教えられましたし、今の私自身もそう考えています。

――次に、エベレスト初登頂を描いた映画『ビヨンド・ザ・エッジ』についてうかがいます。

                        ・・・・・・・・・明日 ( 第3回 野心家だった父のコンプレックス ) に続く・・・・・ 

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