【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

超重元素合成研究グループデイレクター/森田浩介(08/13)_学究達=337

2022-11-12 05:35:54 | 冒険記譜・挑戦者達

ⰧⰊⰧ Intermiussion/幕間 =狂(きょう)の出来事=平成4年11月12日<ⰧⰊⰧ

☆★ ヒュー・グレイがネッシーの写真を初めて撮影(1933年)。 & 仁義を弁えなかった林長次郎が、山口組からカチコミされて商売道具に損害を被る(1937年)。そう言えば、「山菱」は美空サエズリを愛顧し ナイスガイ・児林旭を脅して結婚させている(1962年)。☆★ 時計台のてっぺんに落雷したことによって、デロリアンを改造したタイムマシンで過去へと飛ばされたDQNが現在に戻れることに(1955年=バック・トゥ・ザ・フューチャー)。☆★ 全国の灯台が人工無能による管理となり、喜びも悲しみも幾歳月が本当に完結(2006年)。

本日記載附録(ブログ)

地球上のありとあらゆるものは、様々な元素でできている、/なかでも「大きな元素」は自然には存在せず、人工的につくったものだ

大学院生の住田貴之とともに実験結果の初期解析を行なった結果、2012年8月に3個目の113番元素の合成を新たな崩壊経路で確認する

この実験が新元素の合成成功に結び付き、世界の科学者が“超重元素の錬金術師”と彼を呼び、113番元素は「ニホニウム」(nihonium元素記号:Nh)との命名される

【この企画はWebナショジオ】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)

 様々な科学手法・長期間の反復実験を重ねる“超重元素の錬金術師”=森田浩介= 

森田浩介(08/13) ◇◆ 第四回 とある超重元素の検出装置 =1/2= ◆◇

  亜鉛70のビームを、重イオン線形加速器(RILAC)で、光速の10パーセントにまで加速して照射する。

 標的はビスマス209。ただ単純に当てるだけでは、目的を達することはできない。

「標的のビスマスは、約0.5ミクロンの薄膜にしてあるんですが、1秒間も当たっていると10万℃くらいになってしまうんです。そんな温度になったらどんなものも耐えられないので、ディスク状にして1分間に4000回転くらいでまわして、1カ所に続けて当たるのを避けています。仕掛けの中にガスが詰まっているんで、まわっている間に冷却する効果もありまして」

1秒で10万℃! 光速の10パーセントというのも相まって、もの凄いエネルギーなのではないかと思う。それについて問うと、森田さんはまたも手計算を始めた。

「ビームの全エネルギーは、非常に小さいですよ。我々が使ってるのは、350メガエレクトロンボルトですね。電子ボルトともいって、エネルギーの単位。電子ボルトからは、ワットへの計算がしやすいんです……(以下省略)」

省略した部分は、紙に書いて計算していただいたわけだが、ぼくの感想はというと、物理学の人って、桁(オーダー)を見積もることをまず大事にするよなあ、ということ。計算しやすいようにどんどん数字を丸めていって、しかし、桁の見積もりは外さない。電卓やコンピュータを使うのではなく、ざっくりさくさくと手計算で見積もってしまう。

もっとも、この単位の変換はわりときっちりと計算して、照射されるビームのエネルギー量は175ワットと弾き出した。

 それこそ、家庭で使う明るめの天井蛍光灯2部屋分くらいなのである。さらに言えば、このうち実際に標的に吸収され伝わるエネルギーは、もっと少なくてわずか3ワットくらいだそうだ。標的になっているビスマスが0.5ミクロンの薄膜であること、狭い範囲に照射されることなどから、1秒間で10万度という極端な話になるようだ。

 さて、ここまできて、やっと亜鉛70のビームから、ビスマス209の薄膜にエネルギーが伝わった(原子核がぶつかった)。その結果、ごく希に2つの原子核が融合し、原子番号113の超重元素の原子核が生まれる。それをどうやって検出するか。

 登場するのは、「気体充填型反跳分離器(GARIS)」だ。ガリスと読む。個人的には、アクセントがどっちの母音にあるのか気になる。ガーリスなのか、ガリースなのか。

 どちらにしても、重イオン線形加速器と並んで、実にSF的な名前だが、アイデアとしては1950年代からあり、森田さんが独自のアレンジを加えて設計した。気体充填というのは、ヘリウムガスを封入してあること。反跳というのは、衝突が起きてぶつかった原子核がくっついたり弾かれたりして跳ぶことを意味する英語の「リコイル」の日本語訳。超重元素が合成される時、原子核同士がくっついた上での反跳の仕方が決まっていることを使ってほかの核種と分離する。

・・・・・・明日に続く・・・

=== 参考資料: インタビュー・森田浩介(4/5) ===

2012年8月12日、待ちに待った3個目
「私たちに113番元素発見の優先権があると確信しています。しかし、優先権獲得には観測数を増やすことも重要です。そこで、113番元素の合成実験を続けていました」

そして2012年8月12日、ついに3個目の113番元素の合成に成功した。明らかになったのは8月18日だ。「自動解析を擦り抜けていたのです。そういうこともあるため、私たちはすべてのデータについてオフラインでの解析も行っています。

お盆休みでたまった1週間分のデータを東京理科大学の大学院生の住田貴之君が解析していました。113番元素らしいデータがあり、α崩壊を4回起こしていることが分かったところで、“森田さん!何か見えています!”と私の居室に電話してきました。計測室に駆け付け、5回目の崩壊がどうなっているかを調べると、自発核分裂を起こしていない。

さらに2回のα崩壊を起こし、既知の原子核である原子番号103のローレンシウム(258Lr)、原子番号101のメンデレビウム(254Md)に到達していたのです。それが分かったとき、狂喜乱舞しました。2004年と2005年の2個と違う、まさに、観測したかった崩壊経路だったからです」

実験開始からビーム照射日数80日で1個目、さらに100日で2個目の合成が確認された。しかし、3個目までは350日かかった。不安にならなかったのだろうか。

「不安はありませんでした」と森田准主任研究員。「113番元素の合成確率は、原子核ビームの速度で決まります。合成確率が最大になる速度を正確に予測することが一番重要です。私たちは、108番、110番、111番元素合成の経験を踏まえて速度を決め、2003年の実験開始からそれを変えていません。

もともと200日ビームを照射して、ようやく1個くらい合成できる確率でした。1個目と2個目が100日ほどで出たのは、ラッキーだっただけ。3個目が300日を超えて出なくても、何も不思議なことはありません。待っていれば、絶対に来るのです」

この成果はすぐに論文にまとめられ、2012年9月27日、日本物理学会の英文誌『Journal of the Physical Societyof Japan(JPSJ)』にオンライン掲載された。プレス発表も行い、翌日の新聞各紙には大きな見出しが踊った。

日本で初めての命名権獲得へ
今回は3個目ということに加えて、新しい崩壊過程を観測できたことで、113番元素合成の有力な証拠固めとなった。「コールはすでに締め切られていますが、JWPに“この証拠も加味して審議してください”というメールを送りました」

ロシアのドブナ研究所と米国のローレンス・リバモア研究所の共同研究グループも113番元素発見の優先権を主張している。彼らは、118番元素の合成に成功し、また117番、115番、113番と連鎖崩壊していく過程を捉えたから4個の元素に対して権利がある、というのだ。

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=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

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