【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

めくるめく知のフロンティア・学究達 =091= / 亀井伸孝(08/09)

2020-09-09 06:13:09 | 浪漫紀行・漫遊之譜

カメルーン南東部のピグミー系狩猟採集民―研究しようと足を踏み入れた

目を奪われ、魅了されたのは、異質な独自の文化を持つ子どもたちの「遊び」だった

大人たちとは異質で豊かで深遠なる楽しい世界に、我知らず深入りしてしまった

愛知県立大学 アフリカ文化人類学 亀井伸孝

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】

(文=川端裕人/写真=藤谷清美、(アフリカ=亀井伸孝) & イラスト・史料編纂=涯 如水)

亀井伸孝 : 第4回 夢は「世界遊びの大百科事典」 =1/2= ◆◇

 アフリカというと、いまだに「暗黒大陸」のイメージが根強いようだ。

 去年、ぼくがサッカー・ワールドカップ南アフリカ大会の観戦に出かけた時も、周囲で心配してくれる人も多かった。南アだけでなく、ボツワナ、レソト、スワジランドといった隣国も巡る計画に、「本当に大丈夫?」と。結果的に、なんら問題なく帰ってきたのだが、その時の心配されようで、へえっアフリカってそんなに「怖い」と思われているんだ、と印象づけられた。

 実は、こと「アフリカの子ども」に関しては、ぼく自身も「飢餓で死にそうな子ども」「子ども兵」「児童労働」「誘拐」「ストリートチルドレン」といったネガティヴ要素をまず想起していたから、「暗黒大陸」のイメージはぼくの中にもあったと思う。

 亀井さんは、アフリカの子どもたちについての語られ方に違和感を表明する。

「こういったことはたしかに起きていて、避けて通れない重要な問題です。でも、ネガティヴな物語だけを綴り合わせてアフリカの子どもを理解するのはやめたいな、と思うんです」と。

 実際、亀井さんが語る、狩猟採集民バカの子どもたちの生活は、人口に膾炙した「アフリカの不幸な子どもたち」の物語とはまったく違うものだ。

「真っ白な子どもに対して、大人が社会規範を与えるという考え方がありますよね。子どもはあたかも受け入れるだけの受動的な存在のような立場に描かれちゃってるのが、どうも私はちょっと腑に落ちないんですね」と亀井さん。

 バカの子どもたちは、大人からは放任され、勝手気ままに遊ぶ中で、自然と自分たちの社会的役割を選び取っていく。異年齢からなる縦長集団の中で、年齢が上の子は、下の子の面倒を見つつ、狩猟や採集など生業活動のまねごとでも「はんぱな活動」として遊びにしてしまう。「ガキ大将がいたあの頃」を懐かしむ人たちが日本にはいるらしいが、子どもたちの自律的な活動の豊かさは、日本を含め先進諸国の比ではなさそうだ。「ただの受容者」ではないというのは大いに納得できるのだ。

 さらにいえば、バカでの、男女の役割分担について。

「しばしば社会、大人、あるいは教育者が、かなり強制的に子ども達に性別の役割を植えつけているというモデルが語られます。その見方でいくと、バカの集落で子ども達が自発的に喜んで自分たちの性別の側の活動を選んで遊んでいく風景はとても奇妙。奇妙というか面白い問題ですね。誰も、ああしろ、こうしろと、男性らしさ・女性らしさを植えつけてるなんて姿が見えない。先進国で、学校教育が整えられた中で論じられている問題とは違う、人類学的に興味深い現象でした」

 亀井さんがこのように語る背景には、バカの子どもたちの遊びが「児童労働」と思われる素地がないわけではないからだ。キリスト教会が作った小さな学校から、乾季になると狩猟採集民のバカの子が「消えて」しまうことは前に書いた。それをもって「児童労働させているのではないか」「子どもを学校に通わせるべきではないか」という見方もありうるだろうという。

 これに対して、亀井さんは述べる。

「子どもの目線になってバカの子どもたちの間に入り込んでみたら、大人に教えを請うだけの無力な存在には、もはや見えなくなりました。もちろん、児童労働という言葉で語られるような、社会問題として子どもが無理に働かされている、学校に行く権利を奪われている、という見方を否定する気はないんです。そういうことは、実際に起こっている。でも、それだけではないんですよ。子どもが自分達で好んで魚獲りに行って、それを晩御飯のおかずに持ち帰ったからといって、そのことを「児童労働だ」として責め立てて、やめさせて学校に通わせるとしたら、それはちょっと違うんじゃないかと。一緒に暮らしていると感じるんです」

・・・・・・明日に続く・・・・

■□参考資料: “ピグミー”の身体的特徴は遺伝子由来(1/2) □■

アジアやアフリカの熱帯雨林には、平均身長が非常に低い狩猟採集民が複数の集団に分かれて暮らしている。最近、彼らの小柄という身体的な特徴の要因を遺伝子レベルで解析した研究結果が発表された。 アフリカ中央部の熱帯雨林で暮らすいくつかの狩猟採集部族は、近隣の農耕部族に比べて身長が極端に低い。

研究対象となった東部のバトワ(Batwa)と西部のバカ(Baka)は、どちらも従来から“ピグミー”と呼ばれている集団に含まれている。ちなみにピグミーの由来は、ギリシア神話中に現れる小人族の名まで遡るという。

 彼らの身体的特徴の根本的な要因については、従来から様々な説が存在する。しかし今回、カナダ、モントリオール大学のルイス・バレイロ(Luis Barreiro)氏を中心とする研究グループが、バトワとバカのゲノムを解析し、近隣部族との比較を試みた。その結果、どちらの集団にも、ヒト成長ホルモン受容体および骨形成にかかわるゲノム領域に変異が見られる事実が明らかになった。

「低身長の形質が遺伝子に由来することを示す、最も有力な証拠だ」とバレイロ氏は話す。

 ヒトの身長は変異しやすい形質だが、アジアやアフリカの熱帯雨林に暮らすいくつかの集団はその身長の低さがあまりに際立っている。例えばバトワの平均身長は、男性が152.9センチ、女性が145.7センチである。近隣に暮らすバキガ(Bakiga)族の平均身長、男性165.4センチ、女性155.1センチと比べれば、その差は歴然としている。

 身長的特徴の要因を生活環境に求める研究者もいる。多様な生物が生息している熱帯雨林だが、食料採集生活にとっては非常に困難な環境でもある。つまり、単なる栄養不足が低身長の要因とも考えられるわけだ。 ・・・・・・明日に続く

◆ The Batwa Dance

・・・https://youtu.be/OZcqABwDTrU・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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