鴨川市平塚・大山不動と良弁
鴨川市西部の大山不動。山頂奥に「開山良弁大僧正旧跡」銘の石碑が立っていました。背面に「文化十四年丁丑(1817)六月二十七/當山三十八主法印文春代/両峰請度旭峯栄充建之」銘もあります。
良弁(689~773)は奈良時代の僧で東大寺の初代別当です。享和三年(1803)の栄充校訂の「大山寺縁起」には、良弁が相州大山に登って当方を眺めると、紫雲が棚引いている所があったので出向いてみると鴨川だった。ここに石尊権現を勧請し、不動明王を祀って雨乞いの霊地としたと記されています(注)。石尊権現は相州大山(雨降山)の雨乞いの神です。
栄充は縁起だけでは物足りず、「開山良弁大僧正旧跡」も造立して大山寺が良弁ゆかりの寺としたようです。
大山山頂には高蔵神社、その近くに「浅間神社」石祠と「富士登山二拾度」の富士講碑、少し離れた平塚の一の鳥居に不動明王が鎮座していました。
(注)君塚文雄著「安房の山岳信仰」昭和54年『山岳宗教史研究叢書8』
(地図は国土地理院のホームページより)