偏平足

里山の石神・石仏探訪

里山の石神端書294 種字・胎蔵界大日(福島県いわき市四倉)

2024年06月04日 | 里山石神端書

福島県いわき市四倉宮下の柳生院

 いわき市の北西部、仁井田川沿いの柳生院寺社を訪ねました。柳生院は真言宗で本尊は大日如来。その入口に石段脇に種字の胎蔵界大日如来石塔がありました。石塔は湯殿山供養塔です。



 この種字大日は東北地方ではよく見られる自然石の石塔で、上部に胎蔵界大日如来、その下に「湯殿山」を刻した豪快なものです。湯殿山は出羽三山の奥の院で、ぉ湯が湧き出す岩を御神体大日如来としています。「文化四年(1804)」造立。
 種字は密教で仏菩・菩薩などを表す梵字。梵字は梵語(サンスクリット)の字体で、インドで発達した文字とされています。また密教では真理を表す呪文としての梵語の真言があります。種字や梵語の元になるのが悉曇(母音と子音の組み合わせ)。児玉義隆氏は「現在、梵字悉曇の文字が活用されているのは、日本のみといっても過言ではない。ただし、それは宗教的範囲の使用である。その形態は一様ではないが、(略)卒塔婆に用いられる梵字、あるいは護摩札、交通安全等の祈願札に用いられる梵字、また種字曼荼羅、阿字観、字輪観等、礼拝対象の梵字、および石塔、板碑、磨崖、幡。華鬘等、古来から先人によって残されてきた貴重な梵字資料などがある」と指摘しています。


 同所には文化三年(1803)造立の「百万遍供養塔」やこの地方独特の板碑もありました。
(地図は国土地理院ホームページより

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする