いわき市四倉小湊・円満寺の薬師板碑
いわき市の北西部、仁井田川沿いの円満寺を訪ねました。その入口のお堂に薬師板碑が本尊として祀られていました。
いわきは薬師を本尊とする寺が多く、とくに赤井・波立・八茎の三薬師が知られています。いわきと薬師の歴史は古く、天平六年(734)この地に疫病が流行した折、大和の僧源観が大和医王寺の薬師を赤井嶽岳に安置したのが始まりで、大同元年(806)年に大和の僧徳一がこの地に薬師を本尊とする寺院を建立して薬師信仰がひろまったとされています(注)。
それで円満寺の薬師板碑ですが、寺の入り口に建つ小さな御堂に祀られています。祭壇に本尊として祀られているのは薬師の板碑。この土地に多い自然石の頭に二条線を入れた板碑で、中央に薬師に種字バイを入れ、その下に薬師や日光月光銘があります。お堂がいつのころからあるのかわかりませんが、板碑も路地にあったものをお堂を造って納めたという印象。
お堂から坂道を登ると円満寺。途中に「宝暦九卯天(1759)」銘の六部塔があり、境内の覆い屋に中に如意輪観音がありました。
(注)『薬師信仰』昭和61年、雄山閣・民衆宗教史叢書12
(地図は国土地理院ホームページより)