刈寄山(かりよせやま) 金剛童子(こんごうどうじ)
【データ】刈寄山 687メートル▼25000地図 五日市▼最寄駅 JR五日市線・武蔵五日市駅▼登山口 東京都あきる野市戸倉▼石仏 刈寄川の支流上部の金剛の滝
【案内】金剛の滝は今熊山の北の谷間にあるので、八王子市の今熊 山登山口からも行けるが、ここでは道がわかりやすいあきる野市戸倉の戸沢橋から刈寄山への寄り道を紹介する。
刈寄川に沿って登りだすとすぐ左に古びたコンクリート橋がかかる。これが金剛の滝の入り口。しばらく沢沿いの左岸の砂利道を歩くと行き止まりになる。沢を渡って右岸を詰めると、広徳寺、次に今熊山の
道を左に別ければ、あとは沢沿いに道になって金剛の滝入り口の洞門に出る。それを潜り抜けると正面に金剛の滝が現れ、滝の左手中腹に石仏が立つ。憤怒、二臂、蓮華に立つ半肉彫りの見事な石仏である。不動明王と見間違うこの石仏は、右手に剣がないことと二つの蓮華に立つことから、金剛童子とした。ただ金剛童子の象徴である左手の三鈷杵が羂索になっているのが気になる。そしてこの珍しい石仏がこの場所に造立された根拠もわからない。ただ、修行地であったであろう滝とそこに通じる洞門の開削などをみると、今熊山の信仰にかかわった真言宗修験者が浮かんでくる。しかしいまその裏づけはもちあわせていない。刈寄山には古びたコンクリート橋まで戻り、刈寄沢沿いの車道を忠実につめると自然に沢道になり、何回か渡り返し尾根に取り付いて山頂に出る。
【独り言】今ではどこの山にも林道ができています。その多くは沢に沿うように忠実に山肌の斜面を削って造られてきました。材木や砂利の運搬用の道ですからあまり経費はかけられません。これが一番安上がりな工法だったのでしょう。沢通しが難し
くなると山肌を切り開き、どうしてもダメな場所でもトンネルなど掘らずに道を通したようです。刈寄山の刈寄川林道でもそんな場所がありました。それは平凡な刈寄川でただ一箇所だけ狭まっているところで、谷が深くなんとも神秘的な渓谷でした。往々にしてこんな場所に神が祀られることが多いので谷を覗いていると、なんと石祠が見えました。山の神でしょうか。岸壁にへばりつくような場所にしては大きな石祠でした。もう手を合わせる人はいないようです。いまでは想像もつきませんが、かつての道はこの狭い谷間の石祠の前を通っていったに違いありません。