BONOBONO DIARY

BONOさん音響・照明奮闘記

ガルマ散る その4

2010-03-10 | ガンダムレビュー
 「ガルマ散る」その4です。この回の脚本は多くのヒーロー物を手がけられた山本優氏。作画監督が安彦氏。とても絵がまとまっていて綺麗です。とくにガウの特徴あるフォルムが崩れてなくて、とても良い。ザクとガンダムの市街戦も見ごたえがあります。



 ガウ本隊もガンダムを追撃にかかり、ホワイトベースの砲撃範囲に入ってきます。ブライトが「ガンタンク、ガンキャノン、ホワイトベース各砲座、銃撃手はおのおの照準合わせ。10秒後に一斉射撃」と指示を出します。ブライトはよく今回のように「各個に迎撃しろ」と言います。でも対空射撃って、もっと管制が取れたものでないと効果のある弾幕は張れません。沖縄特攻時の戦艦大和がハリネズミのごとく対空火器を装備しながら、たしか4機しか撃墜できなかったと覚えています。各機銃が同じ目標を追いかけてしまうのです。それによって弾幕が偏りすぎ効果的ではなくなります。おっと脱線しました…。

 今回、おそらく劇中初めて両舷にある「メガ粒子砲」を発射します。ガウのビーム砲なんて比べ物にならない、文字通り戦艦クラスのビーム砲です。それを二基装備していて、さらに、強力な52cm主砲があります。敵はガウ3機を中心とした編隊ですから、ガウ一機づつに主砲とメガ砲を割り当てればいい。ガンキャノン・ガンタンクと各機銃はドップ狙いで。


 「撃て!」ブライトの号令のもと、ホワイトベースの砲撃が始まりました。凄まじい砲火にさらされるガルマの編隊。次々と撃破されるガウとドップ。ガルマは、まさか後ろから木馬が撃ってくるとは思ってもみなかったでしょうから激しく狼狽しています。直感的に、これはもうダメだ、と悟ったのか180度回頭し木馬へ体当たりすることを決意します。


 木馬に体当たりするため直接ガルマがガウを操縦します。しかしこの間にも多くの部下が砲火にさらされています。ザビ家の男ならまず部下たちが退避できるように知恵を働かせるべきです。ガルマが乗っているガウにだって、それなりの人員が乗り込んでいるはず。しかし自分の誇りのみを優先するあたりが、若さゆえ、かな~。



 そこへシャアから「君はいい友人であったが、君の父上がいけないのだよ。ハハハハ」とあざ笑う声が聞こえてきます。友人として信用していたシャア。そんなシャアに裏切られるなんて夢にも思っていなかったでしょう。ガルマにはおそらく、何で裏切られたのか、シャアは何者だったのかさっぱり解らないまま逝ってしまったと思います。

 シャアはうかつです。もし、ここでシャアの通信をガルマのガウ以外の機が受信していたらどうする気だったのでしょう。他のガウが盾となってガルマを逃がす展開になったり、ガルマが冷静さを取り戻し、シャアの正体を知りたいと思いつつ“生き延びること”を模索し始めていたら、シャアはどうしたでしょう。シャアもビルの陰からガルマを撃ったのでしょうか。歴史にifはありませんけど…。ちなみにジ・オリジンでは功を焦って出張ったガルマのガウのみ落とされます。

 「ジオン公国に栄光あれーっ!」爆散するガウ。ガルマの脳裏に死の瞬間浮かんだイセリナの姿。画面ではイセリナが何かを語りかけているように思えます。すごい印象に残るシーンですね。


 私の推測としてガルマは、ガルマ専用ガウなんてものは持たず、前線にあるただのガウに便乗する形で指揮をとっていたような気がします。改造兵器(私の考察/ガウはもと宇宙往還機だった)であるガウにはもともと脱出システムがない。墜落すれば他の兵と共に死ぬ。そんなガルマは意外と兵からも人気があったのかも知れません。脱出システムが備わったザビ家専用のメカに乗っていたら、シャアのたくらみも成功しなかったでしょうに。



 「助かったのか?」と頭を上げるブライト。なぜかボーっとしているアムロ。いつの間にか夜が明けています。ホワイトベースのクルーには、打ち落としたガウにザビ家の一族が乗っていたことなんて知る由もありません。この一戦によりホワイトベースはますますジオンからマークされることになってしまいます。



 この単純な勧善懲悪の話ではないところがガンダムの良いところですね。しかしガルマの死は早すぎました。この放送当時、ガンダムを支えていたのは中学高校の若い女の子たち。シャア以上の人気をはくしていたガルマを殺したことでサンライズには抗議が殺到。カミソリが送られてきたと言う話も。富野監督自身ももう少し生かしておくべきでした、と後悔していたことを述べられています。




 最後に永井一郎氏の重厚なナレーションにのって、ジオン公国・公王デギン・ソド・ザビが初のお目見えです。しかし敵のボスキャラとしてではなく、子を失った一人の親として…。



つづく


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