介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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かけ声だけの運動ではなく・・・【炭谷 茂】

2008-06-16 19:32:21 | 政治社会
【社会福祉学 第85号】
日本社会福祉学会の学会誌『社会福祉学』の最新号が届きました。

年4回の発行ですが、この号(第49巻第1号、通算85号。2008.5)は、ずしりと237ページあります。(写真は、その表紙)

論文には、注目すべきものがありますが、どれか1点といわれれば、
炭谷茂「社会福祉政策形成の視点からの社会福祉政策理論の展望」pp.187-190
をあげたいです。

*これは、原稿ではなく、学会が開催した「政策・理論フォーラム」の記録です。
難しいタイトルは、主催者側がつけたものでしょう。

【社会・援護局長】
炭谷茂氏については、多数の著作・論文があり、ご存知の方も多いでしょう。
なによりも、「社会福祉基礎構造改革」を推進した際の当時の責任者です。
(「社会福祉法」の制定)

このほか、若い頃にイギリスにおられたこと、社会局保護課長をされたことを知っていると、この論文(短いコメント)の理解が深まります。
*環境省事務次官を経て退官。

【日本の政策の流れ】
○ 1918年の米騒動は大きかった。内務省に社会局ができた。当時としては、あらゆる手法を考えた。

○ 1945年の敗戦時、アメリカの革新派の指導によりソーシャルワークを導入した。(戦前の日本の伝統に接木をした)

○ イギリスのシーボーム報告は、世界的な影響を与えたが、日本はこの報告からは何も学ばなかった。

○ (1989~1991年、保護課長)当時の日本の制度はすでに制度疲労していた。

○ 福祉事務所は、すでに実体は無くなっていた。

○ これからの理念としては、ソーシャル・インクルージョンをあげる。

○ これに貧困の実態の把握が必要だ。

【イギリス体験と実務の回顧】
イギリス政府の政策・報告書類を踏まえながら、日本の社会福祉政策を回顧している。
従来の社会福祉に加えて、住宅、就労、教育、環境、コミュニケーションや余暇活動などの他の分野を視野におさめる必要がある。
・・というのが結論。

このブログの記事のタイトルに書きかけたのですが、(ソーシャル・インクルージョンは)
・・「かけ声だけの運動ではなく、実体的な事業を柱に立てて」これからの社会福祉を考えていかなければならない・・
と、まとめています。

*このような議論は、すでに伊部英男(故人。社会局長をつとめた)が提唱していた。
伊部さんは、私の先生というべき方ですので、改めてブログで、この議論を紹介しましょう。



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