介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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第1759号 【新刊紹介】伊藤周平『後期高齢者医療制度』(平凡社新書)

2008-10-25 05:37:49 | 医療
著者の伊藤周平氏は、鹿児島大学法科大学院教授。社会保障法。
同じ鹿児島なのでご挨拶に伺おうとして果たせないままです。
伊藤ゼミの学生が作った制度の解説パンフなどが地元南日本新聞に掲載されています。
大昔、日本社会事業学校にいた頃、先生に非常勤で講義をお願いしていたのでお会いしています。温厚な人柄ですが、論法は鋭いですね。

今度出た新書(写真)は、
話題の後期高齢者医療制度の概要・経過・問題点を整理したものとしては、コンパクトであり、一貫した思想で政府に立ち向かっているので読むほうもわかりいいですね。平凡社新書437、2008年10月15日刊。平凡社のオンラインには目次は掲載されていませんでした。
参考文献の案内も丁寧で、これからの議論を理解するには適切な本だと思います。
*ここでは、専門の書評ではないので、書きませんが、ドイツの介護保険の理解などで思い違いがあったりp.224細かい点で吟味をすべき点があります。

先生には、日本の社会保障に関する本格的な研究書が多い。
鹿児島大学法学論集2005に掲載された次の2論文は、全文ダウンロードできます。新書版では充分理解できない先生の考えを知ることができます。

生存権と社会保障受給権に関する一考察(1)介護保険給付の受給権を中心に

生存権と社会保障受給権に関する一考察(2)介護保険給付の受給権を中心に

【議員失格】
一番印象に残ったのは、
この法案を審議した国会議員が「自分は内容を知らなかった」と今になっていっていることを「議員失格」として批判されていることですね。p.108

関連して、当時、民主党はガン関係の立法に懸命で、この法律には充分取り組んでいなかったことp.103
また、後期高齢者医療制度はいろんな点で介護保険法の思想を受け継いでいること、このことから民主党は介護保険法には賛成してきたのでp.83
いまになって後期高齢者医療制度を非難するのは節操がないし、政策理念がないと批判していますが、これはなかなか見抜けない指摘です。

もちろん、厚生労働省への批判は舌鋒鋭いものがあります。

【公費方式への転換】
著者の改善案は、公費方式p.224ですが、上記のとおり、第一野党であり、参院では筆頭政党である民主党の政策を批判しています。先生の政策方向を実施できる政治勢力は社民党など議会勢力としては小さいので、現実の政治ではどのような展望を開けるかが私としては心配です。(というか無理がある・・)
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