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第3909号 二木 立:「新成長戦略」と「医療産業研究会報告書」

2010-09-03 16:29:05 | 医療
写真は、加計呂麻島。奄美・加計呂麻島なんでもありBLOG の2010.09.02付け記事からお借りしました。



医療経済の実証的な分析ではわが国を代表する研究者である二木教授(日本福祉大学副学長)から、毎月メールで専門家向けのニューズレターが送られてきます。

9月1日付で届いた第74号から、医療政策の将来の関する2つの政府文書を批判した論文の要点を紹介します。

先生のニューズレターは、毎号、

総研いのちとくらし

にリンクされていますので、全文を読むことができます。


二木 立:「新成長戦略」と「医療産業研究会報告書」

は、『日本医事新報』No.4504(2010年8月21日):89-92頁 に掲載されたものです。


新経済成長戦略 2010.06.18 閣議決定


医療産業研究会報告書 2010.06.30 経済産業省 


について、二木先生は、

 「両文書の各論には共通点が非常に多く、「報告書」は「新成長戦略」の医療政策部分の補足文書とも言えます。」

と位置づけておられます。

論文の小見出し:
・医療は「経済の下支え」で「成長牽引産業」は過大評価
・「報告書」の「産業」の定義は恣意的
・混合診療の拡大はごく限定的
・医療ツーリズムもごく限定的
・「健康関連サービス産業」・「医療生活産業」はデジャビュ


以下は、冒頭部分を抄録しました。

         *         *         *

 私は、「新成長戦略」が、従来、「社会保障は、少子高齢化を背景に負担面ばかりが強調され、経済成長の足を引っ張るものと見なされてきた」ことを否定し、「社会保障には雇用創出を通じて成長をもたらす分野が多く含まれており、社会保障の充実が雇用創出を通じ、同時に成長をもたらすことが可能である」と180度政策転換して、「年金、医療、介護、各制度の立て直しを進める」としたことは、高く評価します。

 しかし、ここで注意しなければならないことが2つあります。1つは、産業連関分析はあくまで「短期的」推計であり、医療・社会保障の「長期的」経済成長効果は不明であること、もう1つは「短期的」効果を実現するためにも、相当の公的費用(税・保険料)の投入が必要なことです。
 私は、財源を確保した上で、医療・社会保障分野に公的費用を大量に投入し続けることに賛成ですし、それにより長期的にみても、ある程度の経済成長を持続できると思います。しかし、医療・社会保障が「成長牽引産業」化するとまでは考えにくく、私の知る限り、その具体的根拠・推計を示した研究もありません。

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