介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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介護保険制度を続けていくことができるか

2008-04-06 06:34:40 | 介護福祉
【介護保険制度の持続可能性】
『季刊社会保障研究』の最新号において、施設サービスの現状分析が行われていることを紹介しました。

今日は、その5つの論文のうち、最後の
菊池 潤「施設系サービスと介護保険制度の持続可能性」p365-p379
を紹介します。

著者は、国立社会保障・人口問題研究所の企画部研究員です。
この論文は、厚生労働科学研究補助金政策科学総合研究事業の研究成果の一部。
(H19-024)

【2025年度と2055年度は】
この研究は、2001年度から2005年度までの分析に基づいて、2025年度と2055年度の予測を推計しています。

○ 要介護認定者は、2025年度に1.73倍、2055年度に1.85倍に拡大

○ サービス受給者は、施設サービスを中心に拡大

○ 介護給付費は、2025年度に2.22倍、2055年度に3.33倍に拡大

【保険料と介護労働力】
このような拡大が見込まれるとして、介護保険制度を支える保険料水準と介護労働の量について推計すると、

○ 1号被保険者の保険料は、2025年度に月額6,330円、2055年度に月額11,500円に達する。(2006年度の全国平均:月額4,090円)
 →現状水準で制度を長期的に維持することは財政的に困難

○ 施設系サービスに必要とされる看護・介護職員は、2025年度に1.78倍、2055年度に1.93倍に達する。15歳以上65歳未満の生産年齢人口に対する比率でみると、2025年度で(2005年度水準の)2.12倍、2055年度で(2005年度水準の)3.55倍となる。
 →都市部におけるヒアリング調査では、現在の報酬水準で良質な労働力を確保することはすでに困難になっている。

【給付水準の見直し】
このような推計に基づき、
・施設系のサービス需要は根強く、一定水準の整備は不可欠
・現行給付水準の維持は困難

として、著者は給付水準を含む給付範囲の見直しを結論付けている。
2005年改正の給付削減に介護現場は振り回され、批判と幻滅が渦巻いてもいました。

この調査は、詳細な現状分析に基づき、幾つかのシナリオにたって厳密に推計しており、細部においては予測結果に幅があるが、大きな筋道としては直視すべき結論であると思います。

これからの時期は、
年金や医療についても公的な制度の維持に困難を予見されていますから、制度開設当初のプラス面だけを強調するような方法では社会の理解は得られないでしょう。

*写真は、昨日、午後、中央駅桜島口の舞台でショーのようなものをやっていた。
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