介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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『医療の値段ー診療報酬と政治ー』(結城康博)

2008-05-17 04:54:50 | 医療
【年間30兆円】
医療にかかるお金は、年間で30兆円という大きさで、1年間の日本の経済活動の9%に相当します。

ふだん、風邪をひいて近所のお医者さんへ行って、窓口でお金を払ってどのように思われますか?意外と安いのでは、と思うときもありますね。

今日から、読んでいきたい本は、少し前に出た岩波新書『医療の値段』(2006年)
です。(写真。古本屋で300円ぐらいで買った)
この本の著者、結城康博(ゆうき やすひろ)という方は、
社会福祉士・介護福祉士・ケアマネジャーだという。
(検索では、新宿区区役所で勤務とか)学部は社会福祉学部で、修士を経済学でとり、博士を政治学でとったと、奥書にあります。

医療の値段という大事だけれども難しい問題を、政治学の視点で考えた社会福祉の現場人、ということで
理論面・医師の立場での考察を続ける二木立先生の御本と併せて読んでみよう、というわけです。この本は、博士論文をベースにして書かれたものです。

【医療費とのかかわり】
新書版ですから、直接求めることも簡単かと思いますが、このような視点の本は少ないので、何回かに分けて読みながらコメントしてみましょう。

というのも、何度か書きましたが、私は、25歳前後の頃、当時の厚生省で保険局医療課という、まさに健康保険の医療の価格を決める部署に勤務していたので、それ以来、このテーマに関心を持っているのです。
*余談ですが、千葉大学の広井良典先生、山口県立大学の田中耕太郎先生も、若い時この「医療課」に勤務しています。

【本書の構成】
本書は、5つの章と序章・終章とで7つの章から成り立っています。

序章 病気を治すのにいくらかかかる
第1章 医療の値段の決められ方
第2章 利益団体と医療ー医療費をめぐる政治史(1)
第3章 医師会と医療費ー医療費をめぐる政治史(2)
第4章 かかりつけ医制度と医療費
第5章 「医療の値段」と政治ー日歯連事件からの検証ー
終章 公正な医療の値段とは何か

2006年1月という時点の刊行で
・2006年の医療費が前年度比初めてマイナスとなった
・日本歯科医師会から自民党幹部への献金問題が話題となった
・いま「見直し」論議の沸いている高齢者医療制度について、筆者は賛成の理由を述べている(p188)

などは、2008年の今と2006年との違いを感じさせます。
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