介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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イギリスにおける地域包括ケア【多田羅浩三】

2008-04-22 18:25:17 | 地球→ドイツブログ
【地域包括ケアシステムをめぐる国際的動向】
というタイトルで
『海外社会保障研究』(Spring 2008、No.162 国立社会保障・人口問題研究所)
の最新号をこのブログで紹介したのは、4月5日でした。

7カ国の地域包括ケアシステムが専門家によって紹介されており、第1回として
デンマークに関する論文をとりあげたのでした。

著者の関先生のホームページにデンマークの詳しい情報があることを知り、そのサイトの紹介ですませました。
*先生から、コメントがあり、私が20年前にお世話になった伊東敬文先生がなくなられた、とありました。

【イギリスの場合】
日本における「後期高齢者医療制度」の問題を考えている時に
先進各国(高齢者対策という意味でも、これらの国々は日本より「先行」している)の高齢者の医療のことを考えていました。

日本では、
・医療が民間の(営利企業的な)原理で行われている(国民皆保険という意味での医療費の統制はあるようにみえます)
・75歳という人為的な年齢の区切りをしている
・給付率が7割と結構低い
という点で、特異な国です。(アメリカも医療を市場に任せているという意味では特別な国です)

そこで、
デンマークからとりあげたのでしたが・・
今日は、気を取り直して?イギリスについての論文を紹介します。

【イギリスでは長い論争があった】
執筆は、多田羅浩三先生(放送大学教授)。p16-p28
先生は、長く、大阪大学教授で公衆衛生学がご専門。

論文では、

○ イギリスでは、1909年の救貧法審議会の報告以来、医療サービスの管理体制をめぐって長い論争があった。1990年の国民保健サービス・地域ケア法の成立は画期をなす。

○ 中世以来のアポカリーといわれる庶民の医師の伝統がある。1911年の国民健康保険制度により、この「一般医」に登録患者の人頭報酬を受けてきた。
1946年、国民保健サービス。

○ 2004年から、一般医の制度の改革。→「新しい契約」といわれる。
・夜間、週末、休日診療から解放される。
・診療の達成目標と点数が示される。

【日本とイギリス】
多田羅先生は、イギリスの医療システムの歴史的研究から、イギリスでは、公的なシステムが基本で「上意下達」の弊害がある。日本は、この点はイギリスほどひどくは公的なしばりがないのでは・・というニュアンスをもらしておられるのが新鮮でした。

*国営医療ということでイギリスは日本の対極です。ソーシャルワークの母国という意味でも学ぶ意味が大きいのですが、錯綜していて勉強の方法が難しいです。

矢部久美子のイギリス福祉情報

は、イギリス在住の社会福祉士の情報で、イギリスのサイトの紹介も豊富です。
彼女は、20年前、日本社会事業学校研究科で私の講義を受けています。
筒井書房の目次から入ります。(毎月、3本程度の最新情報が掲載されている)
最新号の記事は、4月15日付、No.80、記事番号230でした。

*写真は、鹿児島大学キャンパスで先週土曜日。
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