介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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反発しあう理念や思想の共生

2008-01-25 06:26:47 | 社会福祉
【第4章 幸福な「科学」化の終焉】
三島亜紀子『社会福祉学の<科学>性ーソーシャルワークは専門職か?』
を読んでいます。

今日は、第4章です。(p103-p131)
次の3つの節からなります。
第1節 反専門主義の嵐
第2節 脱施設化運動
第3節 新たな社会福祉専門職への再調整

これまでの3章でを復習すると、
第1章では、医学との対比で学問的な確かさを問われてきた社会福祉学の初期の姿を
第2章では、先行する学問分野の方法を借りて発展してきた社会福祉学の状況を
第3節では、障害者や児童などが研究の対象となっていく過程を
原典となる膨大な資料の読み込みから分析された。

【反専門主義の嵐】
・医師や教師とならんでソーシャルワーカーも批判を受ける(アメリカ)
・精神病患者の処遇をめぐる施設批判・専門家批判から始まる。
・福祉国家批判の本質とも共通するものがある。
・ソーシャルワーカーの有効性に関する調査
・自立生活運動、脱施設化運動、セルフヘルプ活動、ノーマリゼーション

【脱施設化運動】
・イギリス 知的障害者の「脱施設化」がコミュニティケアの萌芽をもたらす。
・「自立」「地域」などの用語が踊るようになる。
・ホスピタリズム研究にみる「脱施設化」の文脈
・治療としての脱施設

【新たな社会福祉専門職への再調整】
・ノーマリゼーションの意味内容の変化と再調整
・医学モデルから生活モデルへ
・ケアマネジメントの手法のようなプロセスが重要視されるようになる。
・専門家と非専門家との間の違いとは?

【読んでもわからない教科書・・私の感想】
社会福祉学の教科書は、アメリカのソーシャルワークの引き写しか、日本の制度の説明かで、
他の分野(法律学や経済学)と比較しても、学問の定義とか意義がはっきりしない。「社会福祉原論」といわれる基礎科目で一番ひどいようだ。

このことを、筆者は「客観主義と主観主義の共存共栄」(p129)といい、
そのあとで、今日のタイトルの「反発しあう理念や思想が共生する」姿を教科書や概説書にみている。
私自身、2007年4月から初めて「社会福祉概論」を講義する機会を得て痛感した。教師にわからないことをどのように学生に理解しろというのだろうか。

著書は、このような共生(並存)を「意図的なものとすれば、何を意味しているのだろうか」(p129)というが、
私には、意図的なものではなく、何人かの大家の原稿をそのまま1冊の教科書に掲載しているものがあるように思われます。

次章第5章でもう1展開したあと、終章に向かいます。
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2 コメント

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障害者の自立とは? (genesislife)
2008-01-25 07:45:35
 >【脱施設化運動】

 福祉施設、特に知的障害者を収容する各種学校や作業場を無くし、そこに通う人たちが自助努力によって社会に出るという事は受け入れる側にも準備が必要だと思うのですが。

 例えば社員食堂

 磁気カードリーダーを食券販売機に差込み必要な職権を選択しボタンを押すという動作が理解できない人も中には居るでしょう。

 そして各コーナー(和食とか中華の)に並ぶ事すら理解できない人も。

 ※ひらがなが、ようやく読める人に漢字や、
  ましてや英語のメニューが読めるはずが
  ありません。

 そんな人たちを会社や周りの人たちがサポートしなければならない訳です。

 もしそういう問題(障害者が社会生活を営むうえで致命的な障害となる全ての事)が解決すれば、それは理想的な社会といえると思います。

 しかし現実には、そんな時間とコストが掛かる事を企業が甘受する筈がありません。

 ※私個人としては障害者の社会参加には大いに
  協力したいとは思うのですが。
 ※※ただ貧乏なので経済的な支援は不可能です。

 福祉の専門教育を全く受けていないド素人の考えで恐縮です。
問題点を出して議論をする (bonn1979)
2008-01-25 20:30:07
私の方でも
良くわかりません。

というか
こういうことには
専門・非専門ではなく
経済性のことを含めて
社会全体で
本音ベースで
議論・検討する必要がありますね。

高齢化や障害は
誰にでも起きることですから。

genesislife さんのような感想をもっとほしいし
また、ほかの方からの意見などもあれば
・・・いずれ、そうなれば。

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