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第2742号 教科書としての工夫が欲しかった【新・社会福祉士養成講座 第4巻】

2009-04-16 05:14:51 | 722教室で
『現代社会と福祉ー社会福祉原論』(新・社会福祉士養成講座 第4巻。2009)
について、執筆者を紹介しました。日本を代表する社会福祉学の教育者・研究者です。

【1年生で使える教科書ではない】
「社会福祉原論」は、多くの大学で、1年生で学びます。長い間、教室で教えてきた経験から言って、今度の教科書で実際、新入生に使うことはできないですね。その理由は、難しいこと。そして、学ぶための工夫がされていないことです。

【20年ぶりの実質的な改定】
誤解のないように、最初に言っておきますが、今回の第4巻をこれまでの「社会福祉原論」の教科書と比較すると、各段に社会福祉の現実、研究成果を反映した優れたものになっています。

第2章 福祉の思想と哲学
第6章 福祉政策における必要と資源
第7章 福祉政策の主体と手法 (とくに第2節)
第13章 福祉政策の課題と展望

の各章などは、これまでの教科書の記述のレベルを刷新しました。
これは、この20年間の研究成果の蓄積ですが、それだけ現実の政策展開が急激だったことを裏付けているともいえますね。

【社会政策と社会福祉】
「社会政策」「福祉政策」「社会福祉政策」の関連については、概ね、各章で一致した概念で整理されているp.10と考えられますが、「社会保障」「ソーシャルワーク」といった類似概念との関連づけの吟味には、まだ整理すべきことが残されています。これらのことは、たしかに社会福祉原論の最大のテーマですが、この教科書の整理で1年生に理解させられるでしょうか?

私自身、勉強しているわけではないので期待して読んだのですが・・この点は、機会を改めましょう。

【教科書としての工夫】
これは、出版者側の工夫の問題かも知れませんが、アメリカやイギリスのソーシャルワークや、ソーシャルポリシーの教科書の例と比べても工夫が欲しいですね。

○ 「概念」「文献」先行の記述ではなく、日本の現実・個別例を素材に展開して欲しかった。

○ 写真を多用する。

○ 英語、カタカナの多用を控える。

○ ウェブサイトの紹介がもっとあってもよい。

【「国定教科書」としての制約】
国家資格によれば、カリキュラムや国家試験において制約を受けることはやむをえないですから、自由な論議は、教科書以外の手段で補いたいですね。

それにしても、「カタカタ語の氾濫」p.120と反省していますが、随所に、カタカナ、ましてや英語が散りばめられているという印象を強く受けます。


*写真は、ツアーガイド アマミアン の4月15日付記事からお借りしています。

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