【準市場論→社会市場論】
このブログ7月14日付の記事で
京極高宣氏(国立社会保障・人口問題研究所長)による
「混合市場」の概念を紹介しました。
(『季刊社会保障研究』通巻第180号の特集の意図)
その際、注記されていた
経済学部の教養過程向け雑誌『経済セミナー』(日本評論新社)
2008年4月号&5月号に掲載されている
「社会市場の理論入門(上)(下)」のことが気になっていました。
過日、勤務する大学の図書館で借りて、該当部分をコピーして読みました。
(写真。4月号pp.46-53, 5月号pp.47-53)
京極先生の「社会市場」に関する整理については、
このブログでも、
『社会保障と日本経済』(慶應義塾大学出版会、2007)
『新しい社会保障の理論を求めてー社会市場論の提唱ー』(社会保険研究所、2008)
を紹介してきました。
『経済セミナー』の方は、最も新しい原稿というわけで、到達点を整理しています。
4月号の方は、「社会市場論」の成立の経緯、これまでの理論との相違を整理しています。
5月号の方は、準市場と社会市場の共通点と相違点について整理していて、このことが「混合市場」理論へと発展した経緯を説明しています。
【社会市場論→混合市場論】
○ 多くの経済学者が考える準市場は準経済的市場であるが、準市場には準社会市場であるという二重性を持っている。
○ 経済市場と社会市場とが接する部分を「混合市場」と概念づけると、
準市場のような類型もあるが、
そのほかに、
・社会保険
・減税支出(例:税額控除)
・社会的資本
なども含まれる。
○ 混合市場のほうが準市場よりは、広いだけではなく長層的な構造になっている。
○ 経済市場では、ソーシャルワーク機能のような役割を評価するシステムがないが、社会市場では、これが意味を持ってくる。
*ソーシャルポリシーとソーシャルワークの関連が強まる。
○ 社会市場論では、観念的な市場経済の理論で抽象的に議論するよりも、人々の暮らしとニーズに即してリアルに考えていくという帰納的なアプローチが重要となってくる。
○ 社会保障に限定されず、教育・住宅・労働などの社会政策にも応用可能な理論だ。
○ 経済学・社会学・政治学のコラボレーションが可能な学際的な社会科学理論となりえる。
*理論的な整理は、目下、京極先生が中心に展開されているようです。
このブログで紹介した『季刊社会保障研究』の最新号(2008 SUMMER)には、各分野を例に他の研究者たちによる実証研究が掲載されている。(順次、このブログでも紹介してみたい)
このブログ7月14日付の記事で
京極高宣氏(国立社会保障・人口問題研究所長)による
「混合市場」の概念を紹介しました。
(『季刊社会保障研究』通巻第180号の特集の意図)
その際、注記されていた
経済学部の教養過程向け雑誌『経済セミナー』(日本評論新社)
2008年4月号&5月号に掲載されている
「社会市場の理論入門(上)(下)」のことが気になっていました。
過日、勤務する大学の図書館で借りて、該当部分をコピーして読みました。
(写真。4月号pp.46-53, 5月号pp.47-53)
京極先生の「社会市場」に関する整理については、
このブログでも、
『社会保障と日本経済』(慶應義塾大学出版会、2007)
『新しい社会保障の理論を求めてー社会市場論の提唱ー』(社会保険研究所、2008)
を紹介してきました。
『経済セミナー』の方は、最も新しい原稿というわけで、到達点を整理しています。
4月号の方は、「社会市場論」の成立の経緯、これまでの理論との相違を整理しています。
5月号の方は、準市場と社会市場の共通点と相違点について整理していて、このことが「混合市場」理論へと発展した経緯を説明しています。
【社会市場論→混合市場論】
○ 多くの経済学者が考える準市場は準経済的市場であるが、準市場には準社会市場であるという二重性を持っている。
○ 経済市場と社会市場とが接する部分を「混合市場」と概念づけると、
準市場のような類型もあるが、
そのほかに、
・社会保険
・減税支出(例:税額控除)
・社会的資本
なども含まれる。
○ 混合市場のほうが準市場よりは、広いだけではなく長層的な構造になっている。
○ 経済市場では、ソーシャルワーク機能のような役割を評価するシステムがないが、社会市場では、これが意味を持ってくる。
*ソーシャルポリシーとソーシャルワークの関連が強まる。
○ 社会市場論では、観念的な市場経済の理論で抽象的に議論するよりも、人々の暮らしとニーズに即してリアルに考えていくという帰納的なアプローチが重要となってくる。
○ 社会保障に限定されず、教育・住宅・労働などの社会政策にも応用可能な理論だ。
○ 経済学・社会学・政治学のコラボレーションが可能な学際的な社会科学理論となりえる。
*理論的な整理は、目下、京極先生が中心に展開されているようです。
このブログで紹介した『季刊社会保障研究』の最新号(2008 SUMMER)には、各分野を例に他の研究者たちによる実証研究が掲載されている。(順次、このブログでも紹介してみたい)