カレンダーばかり見つめる10月。
この日に電話したな。
この日がふみこと話した最後の日。
そんなことばかり考える10月。
母が居なくなって三年。
後悔することばっかり…
たられば、ばっかり。
もっと早く気付いてあげられたら
あの時すぐ函館に帰っていたら
母は助かったかもしれない。
もしどうにもならない病気だったとしてもあの時すぐに帰っていたら一人で死なせることはなかっただろうな。
たった一人。
一人ぼっちであの家で死なせてしまったことが申し訳ない。
玄関のほうを向いていたって聞いた。
待ってたのかもしれない。
ただいまって帰ってあげればよかった。
ただいまって言いたくて仕方ない。
おかえりぃってくわえタバコで出迎える姿が恋しい。
どんな時も私を抱き締めてくれた母の手はもう無くて。
2人で明け方まで飲んで大笑いして…
時には大喧嘩もして…
実家の玄関のガラスがないのは私が蹴って割ったから。
自宅で亡くなったから警察の人に
「ここは元々どうなっていましたか？侵入の形跡かもしれません。」
って真顔で言われた瞬間、実は笑ってしまった。
だってそれ私が蹴ったんだもん！！
寂しくて寂しくて決められないままきちゃったけど…
3年の日、母を函館に還してきます。
東京のお寺でいつでも会いに行ける方がよいのか散々悩んだけど。
母は函館に帰りたいと思うから。
おはよう
いってきます
ただいま
乾杯
おやすみ
毎日、遺骨に向かって言ってきたから粉骨のために骨を手放す時は辛くて。
骨壷開けて小さな欠片をいくつか出してしまった。
函館の海に散骨してきます。
母が愛した土地に還してきます。
これでいいんだと思う。
ふみこと飲みたいなぁ。