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bomberjuice ♪今日の1曲♪

「気になる1曲」を勝手に厳選し、それをテーマに一言二言三言。

IN FRONT /Keith Jarret

2008-05-12 22:33:24 | Jazz
 今度うちのバンドで、僕が鍵盤楽器をレコーディングすることになったので、
練習用のキーボードを買った。
 いわゆる「カシオトーン」というやつだ。

 ミニ鍵盤ではハッキリ言って練習にならないので、普通サイズの鍵盤で、
49鍵のタイプにした。
 4オクターブあれば、たいていの練習には間に合う。

 しかし、鍵盤楽器を弾くのは学生時代以来だ。
 もともと習っていたわけではないので、単純なコード弾きにも苦労する。
 気がついたら、かなりの時間が経過している。
 ついつい、本業のギターよりも真剣に練習してしまったようだ。

 僕はピアノの音が好きだ。
 ピアノというと、なんだかお嬢様っぽくて、気高くて、
なかなか近寄りがたい雰囲気を持っているイメージがある。
 ピアノを弾くのは、一筋縄ではいかない。
 仲良くなりたいのに、なかなか近づけない。
 ピアノという楽器は、憧れの的なのだ。

 中学時代、ピアノが上手な女の子を好きになったことがある。
 背が高くて、髪も長くて、成績もトップクラスで、
笑顔が素敵な女の子だった。
 でも想いを伝えることなく、別々の高校に進んだ。
 今、彼女は何をしているんだろう……!?

 彼女は、僕の思い出の中だけに生きている。
 何年経っても、あのときのままで……。
 だから、逢わないほうがいいのかもしれない。
 たとえもし逢う機会があったとしても……。

 ピアノという楽器に、今でも彼女の姿を重ね合わせる。
 僕にとって、ピアノという楽器は手の届かない存在なのだ。
 ……おそらく、永遠に。

ALL OR NOTHING AT ALL / John Coltrane

2008-04-06 03:18:28 | Jazz
 久々にジョニ黒をロックで飲んでいる。

 なんだか、美味くない。
 舌が痺れる感じがする。

 明らかに、学生時代とは味覚が違う。

 僕が酒の味を忘れたのか、酒が僕のことを忘れたのかはわからないが、
寂寥感が漂う。

 バイクに乗って、とにかく遠くへ行きたい。
 ……しまった、飲むんじゃなかった。

 僕はいったい、何から逃げたいのだろう。

L'ASSASSINAT DE CARALA / Miles Davis

2008-02-24 22:11:22 | Jazz
 今日は実家に呼ばれ、本棚の移動を手伝った。
 空いたスペースにカーペットを敷き、新しく購入した椅子を運び込む。

 ちょっとした大掃除になったわけだが、その最中にLPレコードが出てきた。

 レコードは、スクラッチノイズ(パチパチ音)が独特の雰囲気を醸し出す。
 今のデジタル世代には、こういうノイズは許せないかもしれない。
 僕も、かつては許せなかった。
 今は、ジャズやクラシックならば許せる。
 ジャズを聴くようになってからは、こういうノイズも「味があっていい」と思うようになった。

 それにしても、CDやMP3というものは、音楽の愉しみ方を劇的に変えてしまった。
 今は意識することもないが、レコードには「A面」と「B面」があったのだ。
 昔はアルバムの半分(A面)を聴いたあと、小休止が入った。
 つまり、レコードを裏返しにするのだ。
 そして気分を新たにし、もう半分(B面)を聴いたものだ。

 レコードを裏返す、という「儀式」があったことを忘れていた。
 CDに慣れてきた弊害である。

 LPレコードが主流だった時代は、ステレオがとても高価だった。
 たとえば我が家では、オーディオラックが父親の部屋、
それも音響を考えて「いい場所」に鎮座していたし、
機械に強い人でなければ、ステレオを触ることができなかった。
 いろいろなツマミを回してレベルメーターを調整したり、レコードの盤面をチェックしたり、
いわゆる「マニアック」な部分が見え隠れしていたように思う。
 また、それがオーディオの醍醐味だったのだろう。

 時代は変わり、今はコンポも操作が簡単になっている。
 そんな今、CDを粗末に扱っていないだろうか。
 少なくとも、CD以上にLPレコードは保存方法に気を使っていたに違いない。
 そして「聴き込む」という作業が少なくなった。
 CDになって「いつでも簡単に聴けるじゃないか」という思いが強くなってきたようだ。
 それが、音楽に対する態度の「甘え」となっている。
 LPレコードの時代は、今以上に真剣に音楽と向き合って、
一音も聴き漏らすまいという覚悟で聴いていなかっただろうか。
 音楽に対して、今以上にひたむきな情熱があったような気がするのだ。

 同じことは、映画にも言えるように思う。

 ビデオが普及し(その後DVDへと変わったが)、自宅で好きな時間に観ることもできる。
 でも、それは本当の映画ファンがすることではない。
 映画はやはり、映画館のスクリーンで愉しむべきではないか。
 そんなことを、ふと思ったりする。

 さて、この曲は、映画「死刑台のエレベーター」の曲である。
 全体的に静かな音楽だ。
 テンポもスローで、身体に染み入ってくる感じがする。

 情景を想像しながら、目を閉じて聴いてみる。
 映画館で映画を観るときのように。

 「死刑台のエレベーター」という映画、いちど観てみたい。

ROLL CALL / Hank Mobley

2008-02-16 21:33:05 | Jazz
 いわゆる「B級ニュース」が好きだ。

 僕は出張に行くと、その地域の新聞を購入する。
 たとえば北海道に行ったときは、必ず北海道新聞を購入する。
 そして、社会面と地方面、それに新聞広告を丹念に読み耽る。

 ローカルニュースには、ふだん味わえない雰囲気がある。
 名古屋に行ったときは中日新聞を購入したのだが、このとき読んだ記事も面白かった。
 ケンカのニュースには、そのときの会話が掲載されていた。

 ……「俺は組の者だ」「お前の誠意を見せろ」などと言いがかりをつけ……

 これを取材した記者にいちどお会いしてみたい。
 本当にそんなベタな会話をしてたのかね……なんだかコントのようだ。

 さて、このハンク・モブレー。
 ハードバップと呼ばれるジャズの名作曲家だ。

 しかし、テナー・サックスの演奏者としては「B級」扱いされていることが多い。
 これは別に彼を馬鹿にしている意味ではなく、むしろ「愛すべき存在」とでも言おうか。

 テナー奏者においての「A級」といえば、やはりあの「双璧」が思い浮かぶ。
 ソニー・ロリンズ、そしてジョン・コルトレーン。
 モブレーの評価は、正直彼らほど高くない。
 故にB級扱いされてしまうのだが、聴き手をグイグイ引き込む曲作りをする彼は、
間違いなく一流のジャズメンだと思う。

 「A級」と「B級」には、決定的な違いがある。
 前者の場合、ともすれば完璧な演奏や構成が仇となり、聴き手に緊張を強いることがある。
 しかし後者の場合、肩肘を張ることなく演奏を愉しむことができ、緊張とは無縁でいられるのだ。

 新幹線の旅もいいが、鈍行列車の旅も味わいがある。
 要は、そういうことだ。

FIVE SPOT AFTER DARK / Curtis Fuller

2008-01-06 17:36:29 | Jazz
 年末年始は、村上春樹を一気に読み耽った。

 「スプートニクの恋人」
 「風の歌を聴け」
 「国境の南、太陽の西」
 「アフターダーク」

 この曲は、「アフターダーク」という小説の中に出てくる。

 まだお読みになっていない方のために小説の内容は伏せておくが、
この曲名を見た瞬間、なんとなく懐かしい雰囲気を感じた。

 実は、初めて「ファイブ・スポット・アフター・ダーク」を聴いたときも
同じ感覚に陥ったのだ。

 どこかで聴いたことがあるような錯覚を起こさせる。
 この不思議な感覚は何だろう……。

 ベニー・ゴルソンの作曲センスによるものなのか、
それともトランペットの存在がないためなのかは定かでないが、
この曲が収録されているアルバム「ブルース・エット」は、全般的に音が温かい。
 しかし、カーティス・フラーの自己主張はきちんと存在している。
 トロンボーンのような丸い音でも、彼は立派に自己主張できることを僕に教えてくれた。

 今、コーヒーを飲みながらこの文章を書いている。
 僕はイメージというものに弱いので、コーヒーを飲みながらジャズを聴いていると、
それだけで「大人の味」を感じて浸ってしまうのだ。
 本当なら煙草も一服くらい喫いたいところだが、
生憎そんな習慣がないので(かなり前に止めた)諦めることにする。
 パイプなんか、ジャズにはものすごく似合うと思うのだが……。
 機会があれば、ジャズを愉しむために小道具にも凝ってみたい。

 このアルバムで唯一残念に思ったのは、ラスト3曲で別テイクを採用したことだ。
 おそらく、CD化したときに「ボーナス・トラック」のつもりで採用したのだろう。
 「歴史的資料価値」という面で見ればそれはそれでいいのだが、
個人的には、別テイクのないほうが「浸れる」。

 恥ずかしい話ではあるが、初めて「ブルースエット」という名前を聞いたとき、
「ブルー・スエット」(= Blue Sweat)だと思っていた。

 正しくは「ブルース・エット」(= Blues-Ette)である。

 「エット」と言われても、僕にはピンとこない。
 辞書によると、「小さい」「女の」「模造・代用品」の意とある。
 ふーむ。
 シガー(葉巻)にetteをつければシガレット(紙巻き煙草)になるわけで、
なんとなく納得。
 この場合は……ブルースもどき? ブルースまがい?

QUIET NIGHT QUIET STARS / Oscar Peterson

2007-12-25 21:50:49 | Jazz
 オスカー・ピーターソンの音楽は、「聴き慣れる」ことはあっても「聴き飽きる」ことはない。
 そんな談話を何かの折に読んだことがある。
 まったく同感だ。
 もっと言えば、「色褪せる」こともないような気がする。

 個人的な考えであるが、「わかりやすく、親しみやすい」というのは非常に重要だと思っている。
 それはつまり、ジャズに関して素人の僕が、入り込みやすい世界でもあるからだ。

 僕は音楽を趣味でやっているが、いつも痛感していることがある。
 「わかりやすく、親しみやすい」音楽を作るのは非常に難しい、ということだ。
 音楽というものは、ともすれば自己満足の世界に浸りがちで、
ついついテクニックに走ったりする。
 また、マニアックなアプローチでアレンジを施し、解説が必要になってしまったりもする。

 彼は確かに超絶技巧の持ち主で、「鍵盤の皇帝」という異名を取ったが、
だからといって複雑怪奇に曲を弄ったりはしなかった。

 88鍵をフルに使いこなし、ミスタッチもほとんど見せず、
明快で力強く、そしてハッピーな演奏を常に提供する。
 ……プロフェッショナルだと思う。

 僕はこの曲(別名「コルコヴァード」)を好んでよく聴く。
 原曲はボサ・ノヴァであるから、比較的スローテンポだ。
 スローというより、むしろ気だるい感じがする。
 ところが、彼の手にかかると変身してしまう。
 この軽快さがたまらない。元気が出てくるようなノリだ。
 「ピアノを弾くことが楽しくて仕方がない」という彼の表情が、目に浮かんでくるようだ。

 オスカー・ピーターソンは、音楽の楽しさを実にさりげなく、
自然にわからせてくれるアーティストだった。
 1993年に脳梗塞で倒れ、リハビリを重ねて復活を果たしたが、
今月23日に腎不全により死去。享年82歳。
 ご冥福をお祈りする。

Warming up a Riff / Charlie Parker

2007-12-10 22:16:29 | Jazz
 この曲は、途中から始まっている。

 この日、チャーリー・パーカーの楽器は調子が悪く、
まともにレコーディングできる状況ではなかったそうだ。
 そこでパーカーは、リズム・セクションだけをバックに、
ウォーミング・アップを始める。

 ウォーミング・アップだから、エンジニアはいったん録音を止めた。
 しかし、エンジニアとしては録音する機械の調子も見たかったようで、
録音を再開する。
 つまり、「試し録音」がこのテイクなのだ。
 この曲のアタマが切れているのは、そういった理由による。

 僕もバンドでレコーディングした経験があるが、
最初のテイクというものは、けっこうノリがいい。
 しかし、残念ながら「完成度が低い」ことがほとんどだ。
 一発勝負であるライブの様子を録音して、後日聴き直してみると、
あまりにも自分たちの演奏が低レベルでガッカリしたりする。

 同じ曲を何回も演奏しているうちに、
完成度は高くなっていくのだが、ノリは失われていく。

 言葉ではなかなか説明しにくいのだが、
レコーディングの場合、「完成度を高める」ということは、
「ミスがあったら録り直す」ということだ。

 納得が行くまで録り直すには、同じことを繰り返さねばならない。
 たとえばギターソロが気に入らなければ、その部分だけを何度も弾き直したりする。

 「同じ箇所を何度も繰り返す」ということは、「ミスが多い」わけで、
時間が経つにつれ、メンバーから「いい加減にしろよ」的な空気が漂ってくる。

 同じことばかり繰り返すのは、正直ツラいものがある。
 弾いている側のモチベーションも自然と下がる。

 こうして悪循環に陥り、ドツボにハマっていく。

 完成度の高いテイクは、やっとの思いでミスをなくした結果であり、
そこに余裕なんてない。
 そんなテイクに、ノリが生まれるわけがない。

 「ノリが失われていく」という感覚は、要はこういうことだ。
 だからほとんどの場合、ノリと完成度は反比例の関係になる。

 しかしパーカーは、常に素晴らしいアドリブを繰り広げ続けた。
 だから、このようなウォーミング・アップですらも音源が発掘され、世に出る。

 「よくこのような音源が残っていたものだ」とつくづく感心するとともに、
ウォーミング・アップであっても手抜きをしないパーカーの姿勢には脱帽する。

 こんなことを書くと、世のパーカー評論家からお叱りを受けそうだが、
逆に言えば、彼は常に全力投球しかできない「不器用」な男だったのかもしれない。

NIGHT TRAIN / The Oscar Peterson Trio

2007-11-29 21:33:59 | Jazz
初めて勤めた会社を辞め、実家へ帰るとき、
飛行機ではなく、夜行列車に乗って帰ってきた。
札幌から上野に向かう「北斗星」という寝台列車だ。

新卒で東京・新宿のオフィスに配属されたが、
新しく札幌に支社ができたとき、僕も北海道へ飛んだのだ。

週末は飲んだくれてばかりで、
毎月の飲み代も相当なものだったが、
それはそれでいい経験をさせてもらった。

札幌駅のホームで、発車までの時間をつぶす。
会社からは早く離れたかったものだが、
札幌という土地を離れるのは、なんとなく惜しい気がしたものである。

 わたし フェリーにしたの
 だって 飛行機も汽車も
 涙 乾かすには
 短すぎるでしょう

これは、さだまさしの「フェリー埠頭」という唄の一節だが、
まさにそんな雰囲気だった。

札幌は僕にとって、第二の故郷なのかもしれない。

TAKE FIVE / The Dave Brubeck Quartet

2007-11-25 19:24:52 | Jazz
これは僕にとって記念すべき曲だ。
というのも、この曲が僕をジャズの世界に引きずり込んだのだから。

僕が初めて買ったジャズのCDに、この曲が入っていたのだ。
ただし、購入先はCDショップではない。

ある日、父親に無断で拝借していたCDを聴いていた。
そこへ飛び込んできたのが、あの「TAKE FIVE」だった。
出会いというものは、いつも偶然である。
「TAKE FIVE」は一時期、栄養ドリンク「アリナミンV」のCMに使われていたことがある。
そんな背景があったものだから、すごく懐かしく思った。
一方的な再会と言ってもいい。
そしてどうしても自分で買いたくなり、近所の本屋に走って購入したのだ。

あれから何度「TAKE FIVE」を聴いただろう。
不思議な曲である。
変拍子であるにもかかわらず、非常にわかりやすいフレーズなのだ。
曲名を知らなくても、聴けば誰もが知っている。
これこそ、まさに名曲ではないだろうか。

ちなみに「近所の本屋」は潰れてしまい、
その後はジーンズショップになり、
さらに病院へと様変わりした。

LULLABY OF BIRDLAND / Sarah Vaughan

2007-11-12 05:06:01 | Jazz
ジャズに関して言えば、僕はふだんヴォーカルものをあまり聴かない。
僕の中で、「ジャズにヴォーカル」というのが、イメージ的にマッチしないだけだ。
ただ、「聴かず嫌い」と言われるのも悔しい。
そういう負けず嫌いな部分も手伝って、サラ・ヴォーンを聴いてみた。

CDレビューをいろいろ見ると、
この曲が入っているアルバムはいわゆる「名盤」というやつらしい。
当たり外れの概念で捉えれば、「名盤」は「当たり」なのだろう。
少なくとも、多くの人が支持しているからこそ「名盤」なのだろう。
「みんなが名盤というなら、まあ聴いてみるか」くらいの気持ちだった。

僕はサラ・ヴォーンに謝らねばならない。

この曲の魅力は、いろいろな部分に散りばめられているような気がする。
サラの歌唱力はもちろんだが、
唄の雰囲気を壊さないクリフォード・ブラウンのトランペットもいい。
トランペットというと、イコール自己主張の塊のように思っていたが、
そうではないことがわかった。
クリフォード・ブラウンが「天才」と言われる所以は、
曲の機微を心得た演奏のできるプレイヤーだったからなのだろう。

それと、意外にオシャレなのがフルートの音色だ。
もちろんフルートの音色が素晴らしいことは知っていたが、
ジャズにこれほど似合うとは知らなかった。

もうひとつ、彼女は教えてくれた。
ピアノ・ソロやドラム・ソロがあるように、
ヴォーカルにも「スキャット」という名のソロがあることを。

やはり僕は「聴かず嫌い」だったようだ。