<概要>
リッチランド高校の“キノコ雲”は
町のいたるところで掲げられ、
「原爆は戦争の早期終結を促した」と
誇りを口にする人々。
一方で「川の魚は食べない」と語る者たちは、
核廃棄物による放射能汚染への
不安を今も抱えながら暮らしている。
町の歴史を誇りに思う者がいる一方で、
多くの人々を殺戮した“原爆”に関与したことに
逡巡する者もいる。
そしてまたハンフォード·サイト自体、
ネイティブアメリカンから“奪った”土地だったのだ。
様々な声が行き交う中で、
被爆3世であるアーティスト·川野ゆきよが
リッチランドを訪れ、町の人々との対話を試みるのだが。
多くの犠牲のもとで、多くの命を奪い、
存在そのものが人類の脅威となってしまった“原爆”。
『オッペンハイマー』のその後、
アメリカは“原爆”とどう向き合ってきたのか?
その罪と痛みを背負うのは誰なのか?
近代アメリカの精神性、
そして科学の進歩がもたらした人類の“業”が、
重層的に浮かび上がる叙事詩的ドキュメンタリー。