虹のある星

おバカに真剣、じゅんめんの自由帳

ちょんまげ!

2007-05-24 23:59:22 | 感動の箱
うちは時代劇専門チャンネルのお得意様だったりします。
私は特別、時代劇が好きな訳じゃありませんが、家族が観ていると、つい一緒に、ということがあります。ま、作品にもよりますけどね。
『水戸黄門』とか『遠山の金さん』とかは、ほとんど見た事がないです。大河もちょっとつらいですね。
どんなのが好みかというと、『鬼平犯科帳』(中村吉衛門版)、『木枯らし紋次郎』、『子連れ狼』など。…古いのばっか。
いやぁ、萬屋錦之介さん、好きなんですよ。『破れ傘刀舟』なんて最高! 刀舟先生に実在して欲しいと切に願っている次第です。
で、放送されてたのはちょっと前になってしまうんですけど、すごいの見つけちゃったんですよ。
『新撰組 血風録』
傑作だと思います。40年くらい前の作品みたいです。土方歳三役の栗塚旭さんも、近藤勇役の舟橋元さんも知らなかったのですが、沖田総司を演じているのは『はぐれ刑事純情派』の課長役、「おい、やっさん」でおなじみの島田順司さんです。若いです。かわいいです。島田さんの名前は『じゅんし』と読むそうで、作中、『そうじ(総司)』のことを『そうし』と呼んでいるのは島田さんに因んでのことらしいです。
全話観たわけではないのですが、印象深かったのは、戦いに敗れ、これまでの幹部とも意見が分かれ、沖田も病に臥せってしまったけど、近藤と土方が二人だけでも新撰組を立て直そうと話しているところです。
戦の混乱で行方不明になっていた斉藤一がやって来て、
「私はそう簡単に死ねませんよ、なにしろ、これを預かっていますからね。」
と言うんです。そして、懐から取り出し広げたのは、『誠』一字の新撰組の旗印なのです。すると、それまで表情の暗かった近藤も土方も目の色が変わるんです。
まぁ、ね、泣くところですよ、普通はね。正直、私もグッと来ましたよ。
でもね、その時、私の頭の中をよぎった言葉は何かというと、
「こんなボロキレ一枚に命懸けやがって、バッカじゃねえの?」
です。こういう時代だったんだから、他に生き方なんて無かったんだから、と言われればそうかも知れません。この頃に比べれば今の日本は平和なのかも知れません。なにかひとつ、信じるものの為にひたすらに、というのは格好良く見えるかも知れません。しかし、それは本当に正しいことでしょうか?
作品の中で土方はさんざん
「私に意見など無い。」
「私は戦うだけだ。」
というような台詞を吐きます。そうして、粛清と言っては闇討ちをかけ、掟を破ったと言っては仲間に切腹させます。
私は思うのです。己の無い人が剣の道を行くことほど恐ろしいことは無いのではないかと。人は迷うのが本来の姿ではないでしょうか? なにかを信じ切って、いつでも自信満々なんて異常だと思うのです。
最終的に土方は仲間を失い、建国の理念も無く、北の大地で一人無益に死んで行くのですが、その辺をしっかり描いているのがこのドラマの素晴らしい所だと思います。
コメント
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