サイレント

静かな夜の時間に・・・

亜空間(2)

2006-08-20 06:33:50 | Weblog



師匠はたった一言しかいわなかった。
捕縛できない一派を捕縛しろ、
たったそれだけだ。

その一言だけでは全く意味がわからないので、
私は即座に自分のカゲに調べさせて、
やっと具体的な事情を知ったのだった。
それが前述の内容だ。


異世界におけるその組織が、
この世の多くの人命を贄として狙ったという、
その「仕掛け」とやらについて、私は興味をもった。
そしてそれをカゲに尋ねた。

カゲ「いま世間を騒がせているアレですよ」
私「アレ?」
カゲ「・・・・・・」
私「アレといわれてもわからない」
カゲ「・・・・・・」

実をいうと、師匠だけでなく私のカゲも、
異世界の出来事とリンクするこの世の出来事を、
詳しく私に知らせることをしたがらない。
告げるときも必要最低限にとどめようとする。

その、知らせたがらない理由はいくつかあって、
そのひとつをあげると、
この世で人として生きる者にとっては、
異世界のことなどあまり詳しくは知らない方が、
必要以上に悩まずに生きていけるのだそうだ。


だがこれは仕事の話だ。
この時の私は、あえてカゲに吐かせた。

カゲ「耐震偽装です」
私「あ、マンションのアレか?」
カゲ「そうです」

最近、大きな社会問題として発覚し、
連日ニュースで報じられだした、
まさにその問題こそが「仕掛け」という意味だろう。

私「ああ、アレな」
カゲ「・・・・・・」
私「中規模の震度の地震でも倒壊してしまって・・・」
カゲ「・・・・・・」
私「多くのマンションの住人の人たちが・・・」
カゲ「・・・・・・」
私「死んでしまうかもしれないという・・・」
カゲ「・・・・・・」
私「例のアレだな」

アレ、を私も連発することになり、
自分でも苦笑してしまった。

私「しかしそうか・・・」
カゲ「・・・・・・」
私「あの問題は、背後で糸を引いてる連中が・・・」
カゲ「・・・・・・」
私「しっかりといたわけだ」


よくあることだ。
旅客機事故、海難事故、列車事故、大火事などの事故、
のみならずさまざまな自然災害、
これらの多くの惨事の裏で、
霊的に干渉して仕掛けて儲けている連中がいる。

そう、こういうことは、
怖いくらいによくあることなのだ。