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渡辺美里さんfanブログ。

■「うまいと言われない歌い方」(1988年インタビュー記事より抜粋)

2014-08-07 00:24:25 | 美里文庫
■こんにちは。

先月、FCイベントのMCの中で
「難しい曲だとしてもそれを感じさせるような歌い方はしない、
歌い上げるようなことはしない」
また、「喉は楽器だから、歌うための身体づくりを常に心掛けている」
というような話をしていた美里。
通常のライブではそこまでの突っ込んだ話というのはなかなか聞けないので
個人的にはこのあたりのMCはとても刺激的で嬉しく。
で、その話を聞いて、アルバム『ribbon』リリース時の
1988年、美里が21才のときのインタビュー記事を思い出しました。
なかなか尖った発言もあったりしますが(笑)、
でもデビューして丸3年とは思えないプロ意識の高さと、
この頃から「歌」というものに対する考えがしっかりあったんだなあ、と改めてうなります。
インタビュアーは平山雄一氏。抜粋になりますがお持ちでない方はぜひ !


【渡辺美里インタビュー(『WHAT'S IN ?』1988年6月号より抜粋)】

--初めてレコーディングした時に、
歌ってみたら誰々っぽくなっちゃって自分の歌い方がわからないというような話をしたよね。

「誰々っぽくなってしまうというよりも、
どんな歌でも器用に歌ってしまう、ということだったんだけど。
当時は、自分が何でも歌えるって錯覚していたのね」

--去年、熊本のBEATCHILDで見た時は、歌の技術を意識して歌っているなと感じた。
けど、この前の代々木体育館ではそれをクリアして自然体で歌っていたと思う。

「熊本の時は、ほとんど雨に打たれて、私はスコーンと抜けてしまったという感じだった。
だから歌をどういうふうに歌ったかというようなところまで、特別に意識はしていなかった。
このあいだの代々木の時は、ごくごく普通に、自分たちの庭で楽しくやればいいわ、という感じだった。

歌を意識してこう歌おうと思ったのは「きみに会えて」だったんだけど、
この歌は「わぁ、うまいわねぇ」という歌い方はしていない。それが私の作戦だったんです。
歌い方ということで言えばね」

--うまいと言われない歌い方 ?

「そう。言われるのが嫌だっていうか。あの歌はそういう歌ではないと思うんです。
心のひだに触れるような、触れてもいいのかなという歌い方というのは
どういうものだろうと思ったのは、あの歌だったんです。
それ以外は歌について、こうして歌ってやろう、ああして聴かせてやろうといった意識はないですね。
今回のアルバム(『ribbon』)に関して言うと、
吐く息だけでなく、吸う息まで聴いてもらおうという意識はありますけど」

--「きみに会えて」以来、歌を演出することは考えてこなかった ?

「ただただ頭で考えるよりも、体が先に曲に合わせていくというか、
動物的カンでそうなっていると思います。
歌って、いわゆる好き嫌いだと思うんです。
歌は生理だと思っています、私は。」

--好かれるように歌うってこと ?

「そういうことはしたことがないのでわからないけど、
そういう歌い方もあるのかなって気はします。
私にとっては歌うことって、手術をするような、化石を発掘していくような、微妙な作業だと思います。
だから難しいし、やりがいもあるし、でも楽しい。
で、結局判断を下すのは、自分の好き嫌いですよね」

--歌がうまくなりたいと思ったことはある ?

「私は自分でうまいと思っているから。
ツアーを重ねてもっとうまくなればいいなと思ってる。
うまく歌うことは簡単なんですよ。
人が「この人、うまい」と思うような歌い方は、私にとって簡単なことなんです。
チビッ子うた合戦の延長みたいなもので。
だけどプロフェッショナルっていうのは、そういうことじゃないでしょ」

--そういうことはいつごろから意識してたの ?

「器用に何でも歌えちゃう自分が嫌だなと思ったのは、デビュー前からありました」

--デビュー・アルバムでそれはある程度クリアできたのかな ?

「初めの一歩ができたかなって感じ」

--じゃ、次の一歩は ?

「今回のアルバム(『ribbon』)かな。
"戦後最大のポップアルバム"っていうものをやりたくて。
肩の力を抜いて、心地良さを追求するのがポップであるというのを、
サウンドもさることながらボーカルに関しても極めたいなと意気込んで始めてみて、
ポップっていうのがどんなに難しいものかすごくよくわかった」

--それは、うまく歌うこととは違うの ?

「えーっ、それはできますもん、誰でも」

--できないよ。

「そうかなあ。私はどちらかっていうと血の匂いがする歌っていうのがいいな。身を削るっていう。
ジャニスみたいねって言ってほしいとはとっても言えないけれども。
血の匂いっていうとちょっと怖いですけど。
うーん、もっとヒューマンタッチでありたいと思う。だって普通に生活してるんだし」

--ヒューマンタッチで歌う時に、自分は声に恵まれていると思う ?
それとももっとジャニスみたいにガラガラ声だったらよかったと思う ?

「なんか、あるものを上手に使おうって(笑)。うまくやりくりしようと思ってね、うん。
きっとあたし、神様から恵まれてこの声っていうか楽器をもらったんだと思うから。
ノドのことで入院した時にお医者さんにそう言われましたけど。
ビデオカメラをノドに突っ込んで、ノドをビデオで撮るんですよ。
で、ちゃんとテレビで見れるの、自分のノドが。
その時に、「君はすごい楽器を持ってるね」って。
「上手に活用しなきゃダメだよ」って言われたんですよ。
何かちょっと自信持っちゃったの(笑)。
お医者さんが、そういう楽器ばっかり見てる人がね、
そうやって言ってくれたんだわー、みたいに思って」

--自分の歌いたい歌と、自分の歌える歌と、自分の持ってる楽器についてはどんなふうに考える ?

「やりたいこと、できること、どちらも可能性は無限大に伸びているから。
だから早く次のアルバムを作りたいと思うんだけど(笑)。欲深いかしらねー、なんて」

--昔のナンバーで歌い方が変化してきている曲はありますか ?

「 「きみに会えて」とか「eyes」とかは少しずつ目線が高くなってきてるかもしれませんね」



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