足の弱っている私と二人連れですから、温泉と食事だけを楽しみに山奥の宿を選びました。
玄関に続くロビーに通されて、先ず、眼に入るのは谷川岳の威容です。五月も半ばなのに、残雪が陽の光を受けて輝いています。ふるまわれたお茶でのどを潤しながら見惚れてしまいました。
総ガラス張りの窓から、刻々と形を変える雲が山に戯れている景色は、いくら見ていても飽きません。左右にヒノキ林を従えて、中央には谷川岳。名は聞きませんでしたが、手前には若葉の色もみずみずしい大樹がふっさりと枝を揺らしています。
寝るのは畳の上よりもベッドをと、頼んでおいたら、カバーのかかったシングルベッドが用意されていて、枕の脇には旅館主さんからのメッセージが添えられていました。
二泊三日の短い旅でしたが、後は続きです。