ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Thomas Rhett トーマス・レット - Life Changes

2019-04-06 | Thomas Rhett トーマス・レット レビューまとめ
新作「Center Point Road」のリリースが5/31に控えているトーマス・
レット。これは2年前のリリースになるサード・アルバムです。CMA
アワードでここ最近、2年連続で男性ボーカル賞にノミネートされる程
の存在になった彼、取り上げておきたいと思います。 2013年デビュー
で、この頃に出て来た、”シュッとした感じ”(カントリーにしては、で
すが)の男性アーティストの一人。というより、長年カントリーに ディ
ープに親しんでいる方には、90年代に一時活躍した甘いマスクの美声
アーティスト、Rhett Akinsの息子と云えばピンと来るでしょうか。

そのシュッとした感じの男性アーティスト達としては、フロリダ・ジョー
ジア・ライン、サム・ハントSam Hunt、ブルット・エルドリッジBrett
Eldredge、ハンター・ヘイズHunter Hayesあたりが思い出されますが、
 特に前2者は、カントリー・フィールドにヒップホップのフレーズやR
&Bのグルーブを大胆に持ち込み、今に至るカントリーのトレンドの起
点を作ったと思っています。このトーマスもセカンド「Tangled Up」で
その流れに乗り、その地位を確立しました。そこでは、ラップやスクラ
ッチ音を始め、懐かしいZapp(ロジャー)風のトークボックスや、ソ
ウル・レジェンド、サム・クックの”ウッ!アッ!”のギャングコーラス
等、R&Bらしい要素をあちこちに散りばめて雰囲気を盛り上げていま
したね。
 

簡単にプロフィール。1990年ジョージア州生まれのトーマスは、カント
リー・スターを父に持 持ってはいましたが、高校生の頃までは父の後を
追う事は考えませんで した。それでも、マール・ハガードやハンク・ウ
ィリアムスらのカント リー・レジェンドに親しむ一方、ミレニアル世代
らしくレッド・ツェッペリンやローリング・ストーンズなど雑食的に音
楽に傾倒していたのです。音楽への路を真剣に進もうとした大学生時代
に、EMIとソングライティング契約を結びますが、2010年には早く
ジェイソン・アルデ ィーンの「My Kind of Party」に"I Ain't Ready 
to Quit"が採用され、頭角を現すのです。

この「Life Changes」は、前作「Tangled Up」の作風は踏襲せず、AOR
的パワー・ポップ集といったような感じですね。オープニングは、マレン・
モリスのボーカルをフィーチャした、ディスコ調の"Craving You"で颯爽
と滑り出します。トーマスのテナー・ボイスが実に軽やかです。ロマンチ
ックなバラード"Marry Me"はポップ・カントリーの王道と云える佳曲。や
はりカントリーはバラードがキモですから。特にお気に入りは、カントリ
ー・ミディアムの"Sixteen"あたりです。
 
そんな艶やかな作品群の中で、"Drink A Little Beer"に驚きました。父、
Rhett Akinsとのデュエットというだけでなく、ケイジャン風のストレート・
カントリーなのです。更に、ブレイク後、バンジョーがバリバリ鳴り出した
と思ったら、ハイスピードのバーン・ダンスが展開するというトラディシ
ョナル・スタイル。こんな曲が、シンセが大仰に響く"Leave Right Now"
のようなエレクトロ・ポップと並んでるのだから、この人の守備範囲の広
さは半端ないですね。どんなスタイルも爽やかに歌いこなせる人です。
 
 
一時期のR&Bグルーブ一辺倒から、カントリー界のトレンドも変わって
来そうで、このトーマスも、新作でどんな変貌を見せるか楽しみです。
 
 
 

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