ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

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Jason Aldean ジェイソン・アルディーン - Wide Open

2009-10-31 | カントリー(男性)
 2000年代前半、ビッグ&リッチBig & Richによってカントリー・フィールドを席巻したヘヴィーなサザン・ロック・スタイルを受け継ぎ、現在確固たる地位を築きつつある若者、ジェイソン・アルディーン。そんな彼らしい、ストレートなロッキン・サウンドが満載のサード・アルバムです。2年前にプロフィールと共にご紹介したセカンド「Relentless」のキープ・コンセプトといえるラウドな手触りで仕上げていますが、その線が細くて綺麗に通るテナー・ボイスによるパワー・バラードも聴きモノで、なかなかイイ喉を聴かせてくれますよ。

 


 まずはとにもかくにも、かつてなくヘヴィーなギターが唸りを上げる、骨太な"She's Country"。AC/DCや、オジー・オズボーン(ブリティッシュ・ハードの雄、ブラック・サバスのボーカリスト)のソロ時代のギタリスト、ザック・ワイルドZakk Wyldeアタリが引き合いに出される、”カントリーもここまで来たか!”と思わせるハードなサウンドに圧巻。そのギターが前面に出つつも、その奥で鳴り響くフィドルやバンジョー(チョッと調子ッぱずれっぽいところが、ビッグ&リッチ的)が、アーシーなカントリーらしさを醸し出してるところがアクセントです。私の心に引っかかったのが、タイトルソングの"Wide Open"。"She's Country"よりスムーズなノリで、モダンで幾何学的と言いたいギター・リックがナイスな響きを効かせて、ジェイソンのテナー・ボイスに絡みつきます。ストレートな定番ロックだけど、ノセられますね。

 

 
テイラー・スウィフトと


 ジェイソンの声の”美しさ”を堪能できるミディアム~スロー曲。いずれもドッシリしたリズム・セクションで、スケール大きいサウンドを聴かせます。ダウンホームなギターが心に響くミディアム、“This I Gotta See”を皮切りに、 “Fast”“Don’t Give Up On Me”“On My Highway”“The Truth,” と、いずれも美しいメロディを持つバラード群です。一番の注目は、“On My Highway”。コクのあるギターがディープな雰囲気を作り、隠し味のキーボードがちょっぴりスピリチュアルなテイストを加える作品。人生をハイウェイに例えて~カントリーではたびたび見られる手法~、負ける事を恐れてついついスピードオーバーし、コーナーを外れたり、コントロールを失ったり、そして注意を促す表示(サイン)を見落としたりして、結局はGood Loveをつかみ損ねてしまう自分を憂います。誰にでも思い当たるような、普遍的な人生訓を歌う佳曲。私的には、柔らかなリード・ギターの優しみがジェイソンの声と混ざり合う、“Don’t Give Up On Me”がお気に入りです。抑制の効いたエレクトリック・アンサンブルが和ませてくれます。

 いわゆる、純粋なメインストリーム・カントリー嗜好派が最も好むスタイルの、ど真ん中のコンテンポラリー・カントリー作品と言えます。日々ハードな仕事に真摯に取り組んでいる人々の、心身の疲れを癒し、チョッとひと騒ぎしてもらう事が、ジェイソンの音楽の使命なのです。なお、ジェイソンは今年、ライブDVDもリリースしており、こちらについてはまた別の機会に。

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