ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Eric Church エリック・チャーチ - Desperate Man

2019-04-10 | Eric Church エリック・チャーチ レビューまとめ
★2021年のニューアルバム「Heart」&「Soul」についてはコチラで★

メインストリーム・カントリーを牽引するトップ・クラスの男性アーティ
ストの一人といえるエリック・チャーチ。2006年から活躍し続け、近
年の作品には、予定調和になりがちなヒット・カントリーから少し逸脱し
たエッジが感じられます。以前に紹介した前作「Mr. Misunderstood」
も、曲目などの文字や本人の姿すらないパッケージに包まれ、アメリカ
南部のブラック&ホワイト・ミュージックを集大成したかのような、完成
度高い秀作でした。今作も、無機的な物体(屋根?)ジャケットからして
カントリーではなかなかないアートな雰囲気を漂わせます。

オープニング"The Snake"で早速ただならぬ空気。カントリー・ブルース
調のアコギと陰鬱なモーン・コーラスをバックに、エリックが呟き、怪し
く歌い、シャウトします。これに続く"Hangin Around"は、60年代後半
のサザン・ソウル風ジャンプ・ナンバーで、エリックのボーカルは通常の
声域を超え、時にファルセットも交えつつエモーショナルに煽ります。
つまり、いわゆるスワンプ・ロック的なサウンドを展開しているのです。


それは続く3連バラードの"Heart Like a Wheel"へも続きます。コクの有
る音色のギターを中心とした演奏には完成度というよりライブ感が満ちて
いますね。"Higher Wire"も同様なギターがフィーチャーされたゴスペル
タッチのスロー曲で、ここでもエリックはソウルフルに、ファルセットも
入れて結構、奔放に歌いあげています。決して”奇麗な”歌じゃないです。

その一方でこのアルバムには、「Mr. Misunderstood」では聴けなかった
アコースティック・ベースのカントリー・ナンバーが中盤にまとめて収録
されている事もポイントです。シングルにもなった"Some of It"は、久々
に聴いたエリックのキレのあるテナー・ボイスが堪能出来る正調カントリ
ーって感じ、アルバムの中でオアシスのようです。"Monsters"も美しいコ
ーラスが印象的。このアタリで、アルバムとして音楽性のバランスを取っ
たってとこでしょうね。



エリックは、現代のアメリカンミュージックでは聴かれなくなった、南部
臭の濃厚なダウンホームなサウンドをここに表現したかったのでしょう。
それは80年代以降、音楽産業が大きくなって以降、メインストリームで
は聴けなくなった音楽です。正直、一部の歌唱にラフすぎる部分も有りま
すが、適度に和みタイムを入れ、スワンプ・ジャンプ"Desperate Man"で
キャッチーに締めて、通してまずまず楽しめるアルバムになってると思います。




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