ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Florida Georgia Line フロリダ・ジョ-ジア・ライン - Can't Say I Ain't Country

2019-03-02 | Florida Georgia Lineフロリダ・ジョージア・ライン レビュー

ハード・エッジなギター・サウンドとヒップ・ホップを融合したデビュ
ー曲"Cruise"で、いきなりビルボード・カントリー・シングルチャート
24週ナンバー1という史上最多記録を打ち立てて以降、クロスオー
バーでも人気を維持し続けているフロリダ・ジョージア・ライン(FGL)。
最近も、ポップ・アーティストBebe Rexhaと共演で、これもクロスオー
バーなビッグ・ヒットとなった"Meant to Be"をモノにしたばかりの彼
らです。



そんな彼らのこの4作目、聴いて意表を突かれました。スキットに続く
オープニング"Can't Say I Ain't Country"から、クリーンながらトゥ
ワンギーなギターがフィーチャーされた、いわゆるストレート・カント
リー・サウンドなのです。時々かすかに聴こえる”ヘ~イィ~”は、そ
 の手の音楽の代表格アラン・ジャクソンがお得意にしている掛け声です
し。確かに、タイトル自体や、古びた小屋を背景にしたジャケット・デ
ザインも、カントリー定番の風情にする徹底ぶり。まさか彼らがこの方
向に行くとは思いませんでしたね。



ちなにみこのスキット、カントリー・コメディアン(という芸人がいる)
Brother Jervelがメンバーの留守電に入れたメッセージという設定。冒
頭のは、テイラー・ハバードがテスラを購入した噂を聞いて、”ちょっと
待て。ヤツのガレージにはまだピックアップ・トラックが有ったぞ”と
反論したけど、気が動転したよ。どうなってんだ!といった感じ。そう、
カントリー・ボーイはエコな車などご法度で、ピックアップ・トラック
がシンボル。これでオープニングのカントリー・アンセムを引き立てて
いるのです。このスキットは4トラック有り、”たまには電話してくれ!”
とか面白い。



"Speed if Love"あたりではさらにテンポ・アップし、ペダル・スティ
ールもキレを増して絡みついてきます。ユニークな曲想でシングルに
もなった"Simple"、これ、クラシック曲でよくフィーチャされた口笛風
のテーマ・フレーズが実に印象的な、カウボーイ・ソングの現代版と
いったところ。シンプルな2ビートのナンバーをシングルにするとは、
かなり志を感じます。



このカントリー・サウンドとブレンドされるのが、前作「Dig Your Roots」
でも聴かれた、今作では"Women"や"Talk You Out Of It"に代表される
メロウなR&B的バラード、スロー曲群です。"Women"では、R&Bスターのジ
ェイソン・デルーロが共演。また、ミディアムの"Small Town"ではトゥ
ワンギー・ギターをバックにお得意のラップを披露。こういう、これま
での彼ららしい意気の良さもキッチリ織り込んでいます。




常にクロスオーバーな方向へ尖っていた彼らの意外に見える展開。ただ、
確かに今のヒット・カントリーは、軽くディストーションのかかったポ
ップ・ギターやプログラミングのタテノリ・ビートが当たり前に聴かれ
 る中で、最近我が国の雑誌ギター・マガジン”カントリー最高説”で特
集された名ギタリスト達~ジミー・ブライアント、ドン・リッチ、ジェ
ームス・バートン等々~によって築き上げられた(そして、90年代に
も隆盛を極めた)カントリー・ギター・サウンドをリバイバルさせる事
は、ある意味、彼ららしい攻め、ではないかと思いました(ただ、隠し
味的にギターで音の厚みを付ける事はしてます)。とにかくこのような
サウンドや曲想のミックスはFGLにしかできない事は確かでしょう。久し
ぶりに旬のホンキートンク・ミュージックが堪能出来て、嬉しいです。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Carrie Underwood キャリー・... | トップ | George Strait ジョージ・ス... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿